誰ともなく「様子見に行くべ」と言い出したので私もついて行く。
ついて行きながら、〈地震、津波、雪、寒さ、火事…次来る天災はなんだろう?〉と探してみたが、
私の貧困な想像力では思いつかない。
ライトを持参しているのは私だけだったか。
皆の後をついて、山田線のトンネルの方へ迂回して国道へ出た。
ドーンという音は続いていたが火は見えない。
(空がオレンジ色になっていたのはどこかで見た記憶はある)
消防団員は埠頭の方へと歩いて行ったが、爆発音だけで火が見えないので大丈夫と思い、
家の方へと国道を一人で反対に歩いて行った。
国道の水はすっかり引いていて、たまに自動車はあったが瓦礫もなく歩きやすい。
が、国道から市道へ入ると太く長い丸太が横たわっている。
それと津波の流れが速かった道路は泥もなく濡れているだけだったが、ちょっとでも遅くなったと
思われる所はドロドロで、長靴がとられるぐらいだった。
家に近づくと、道路はまだ水に浸かっていた。
なんとか長靴が浸水しない所まで行こうと進むと、私の車を発見した。
きちんと路側に寄った感じで瓦礫に埋もれる事なく、見た目大丈夫そうだったが、
アンテナが伸びきっており、電気がショートしたのは明らかだった。
水の深さは長靴ギリギリになったが、家はもうすぐだったので強行突破した。
幸い水が長靴に侵入する事はなかった。
玄関を開けると一度戻った時とは違い、泥が溜まっていた。
家に上がろうとすると、私が戻った時に脱いだ衣服のそばに、
なぜか女性もののビショビショに濡れた衣服が脱ぎ捨ててある事に気付いた。
二人分の衣服で、一着は大きめのビョウがついたローライズのジーンズ。
それらが玄関の上がり口の所に脱ぎ捨ててある。
なんで?と思ったが、人のいる気配はない。
不思議だったが非常時なのでそんなことは気にしてもしょうがない。
家に入ってヘッドライトで部屋を照らしながら、とりあえず何か食べるものを探した。
不二家のミルキーを二箱発見。と、いいものがライトにうつし出された。
神棚に供えてあった一升瓶が地震の揺れに耐えて無事だったのだ。
これがあれば多少は寒さも凌げるはずだ。とりあえずそれらを持って玄関を出た。
一升瓶を抱えて濡れないように神社へ引き返し、そのまま集会所の中へ入った。
炊事場では蝋燭の灯りを便りに何かしている女性がいたので、
「すいません、外の人達寒いんで、酒持って来たんで湯のみ茶碗か何かありますかね?」
と声をかけると準備してくれた。
広間の中で子供の声が聞こえていたので、「ミルキー持って来たんで子供達に分けて下さい」
と手渡すと広間から「ライト持ってる人、ストーブの火が消えたからつけてちょうだい」と呼ばれた。
広間の中に入ろうとすると、足の踏み場もない。
まるで養鶏場のような密集具合と喧噪だった。
「火が消えたストーブはどこですか?」と大きめの声を上げ、「通ります」と言いながら進んだ。
ストーブは年代物で危なそうだったが、手こずりながら火をつけた。
外へ出ると後から女性がお盆に湯のみを乗っけて来てくれた。
「酒持って来たんで、寒い人、持病のない人、自己責任でどうぞ」と声をかけて回ったが、
最初は皆遠慮していた。
スーツ二人組と堤防の釣り見知りの人達が手を出すと、徐々に湯のみを取りに来る人が増えた。
いちばん人の集っているドラム缶の所で、犬見知りの久○さんがいたので酒を勧めると、
ちょっといつもと違う雰囲気だったが「寒いから、自己責任で」と言って湯のみを手に取らせた。
最後に少々余ったので、数人がおかわりをしてすぐに空になった。
空きっ腹に結構効いたがまだ寒いので、もう一本あった方が良かったなとも思ったが、
取りに行くのも面倒くさい。
皆で火を囲んでしばらく電波の悪いラジオを聞いていた。
ついて行きながら、〈地震、津波、雪、寒さ、火事…次来る天災はなんだろう?〉と探してみたが、
私の貧困な想像力では思いつかない。
ライトを持参しているのは私だけだったか。
皆の後をついて、山田線のトンネルの方へ迂回して国道へ出た。
ドーンという音は続いていたが火は見えない。
(空がオレンジ色になっていたのはどこかで見た記憶はある)
消防団員は埠頭の方へと歩いて行ったが、爆発音だけで火が見えないので大丈夫と思い、
家の方へと国道を一人で反対に歩いて行った。
国道の水はすっかり引いていて、たまに自動車はあったが瓦礫もなく歩きやすい。
が、国道から市道へ入ると太く長い丸太が横たわっている。
それと津波の流れが速かった道路は泥もなく濡れているだけだったが、ちょっとでも遅くなったと
思われる所はドロドロで、長靴がとられるぐらいだった。
家に近づくと、道路はまだ水に浸かっていた。
なんとか長靴が浸水しない所まで行こうと進むと、私の車を発見した。
きちんと路側に寄った感じで瓦礫に埋もれる事なく、見た目大丈夫そうだったが、
アンテナが伸びきっており、電気がショートしたのは明らかだった。
水の深さは長靴ギリギリになったが、家はもうすぐだったので強行突破した。
幸い水が長靴に侵入する事はなかった。
玄関を開けると一度戻った時とは違い、泥が溜まっていた。
家に上がろうとすると、私が戻った時に脱いだ衣服のそばに、
なぜか女性もののビショビショに濡れた衣服が脱ぎ捨ててある事に気付いた。
二人分の衣服で、一着は大きめのビョウがついたローライズのジーンズ。
それらが玄関の上がり口の所に脱ぎ捨ててある。
なんで?と思ったが、人のいる気配はない。
不思議だったが非常時なのでそんなことは気にしてもしょうがない。
家に入ってヘッドライトで部屋を照らしながら、とりあえず何か食べるものを探した。
不二家のミルキーを二箱発見。と、いいものがライトにうつし出された。
神棚に供えてあった一升瓶が地震の揺れに耐えて無事だったのだ。
これがあれば多少は寒さも凌げるはずだ。とりあえずそれらを持って玄関を出た。
一升瓶を抱えて濡れないように神社へ引き返し、そのまま集会所の中へ入った。
炊事場では蝋燭の灯りを便りに何かしている女性がいたので、
「すいません、外の人達寒いんで、酒持って来たんで湯のみ茶碗か何かありますかね?」
と声をかけると準備してくれた。
広間の中で子供の声が聞こえていたので、「ミルキー持って来たんで子供達に分けて下さい」
と手渡すと広間から「ライト持ってる人、ストーブの火が消えたからつけてちょうだい」と呼ばれた。
広間の中に入ろうとすると、足の踏み場もない。
まるで養鶏場のような密集具合と喧噪だった。
「火が消えたストーブはどこですか?」と大きめの声を上げ、「通ります」と言いながら進んだ。
ストーブは年代物で危なそうだったが、手こずりながら火をつけた。
外へ出ると後から女性がお盆に湯のみを乗っけて来てくれた。
「酒持って来たんで、寒い人、持病のない人、自己責任でどうぞ」と声をかけて回ったが、
最初は皆遠慮していた。
スーツ二人組と堤防の釣り見知りの人達が手を出すと、徐々に湯のみを取りに来る人が増えた。
いちばん人の集っているドラム缶の所で、犬見知りの久○さんがいたので酒を勧めると、
ちょっといつもと違う雰囲気だったが「寒いから、自己責任で」と言って湯のみを手に取らせた。
最後に少々余ったので、数人がおかわりをしてすぐに空になった。
空きっ腹に結構効いたがまだ寒いので、もう一本あった方が良かったなとも思ったが、
取りに行くのも面倒くさい。
皆で火を囲んでしばらく電波の悪いラジオを聞いていた。