goo blog サービス終了のお知らせ 

いろはにぴあの

メッセージ欄を設けました。

芯のある音

2007年12月26日 | ピアノ・音楽
 プロの超有名なお方の演奏を聴きに行きました。実はその方の演奏を聴くのは3度目です。ショパンなどロマン派をよく弾かれています。学生時代はじめて彼女の聴いたときは、正直生意気にも名前ほどじゃないのでは、と思いました。音も間違えていたし。ただ激しい印象が残っていたのを覚えています。社会人になってピアノの先生の紹介で行ったときは、周りがうるさかったのと、曲がスクリャービンで当時の自分には理解できなくてちんぷんかんぷんだったのもあり、こちらもあまり印象に残りませんでした。当時のピアノの先生は音を聴きながら演奏することの大切さを強調されていたのですが、彼女の演奏は激しくてはっきりしているけどただ音をがんがんだしているのではないか、とまたまた生意気にも思っていました。だから評判がよい割には冷めた捉え方をしていました。
 しかし今回は評判どおりの演奏をされるかもしれない。そして私の感じ方も変わっているかもしれない、と思って期待していました。ラフマニノフ、ショパンという彼女お得意のプログラムでした。その感想は

期待していたレベルをはるかに超えていました!

まさに完璧な演奏。激しいところもたくさんありました。今までだったらマイナスにとらえていたかもしれませんが、彼女の演奏の激しさには音に魂を込めるというのに近く意味がこめられているような気がしました。一つ一つの音が非常に生き生きしていてくっきりとした輪郭をつくっていました。旋律を際立たせる、というのはこのようにしたらいいのだよと演奏をもって示してくれたというか。そして音への魂は弱音のときにもあらわれていました。ショパンノクターン2番のつややかな音色。しっかり歌いこまれていてよわよわしくない。つややかな音色。どんなに小さい音にもちゃんと芯があるのです。これにはおどろきました。
 実は音の間違いもあったのですよ。けれどもそれを超えた力がこめられていたということを改めて感じました。伝えるものがある、ということのすばらしさ。
 こういう演奏を聴くと、たちまち自分もうまくなれそうな気がするんです。耳が肥えそうで。ちょっと前にあった歌メインのコンサートのときも、ピアニストの手を観察し、音を聴き、それをまねたら変わるかな、という幻想をいだいたもの。そういう夢を見ることができるのがいいんですよね。しかし実際にそれができるようになるには大変な努力がいるという現実。でもそうじゃなくちゃいけません。なんでも軽くできるようになるのでは面白さもありがたみも半減するではありませんか。(とえらっそうなことを書きました)

 どさくさにまぎれて書くのをとばしそうでしたが、Sのつく何かもありました。実はとても楽しかったんです。あいにくの雨だったため、ちょっと某童謡を入れようというたくらみはかなわなかったし、音もたくさん間違えたけど、止まらずに気持ちをこめて弾けたつもりです。終わったときは、もっと弾いていたかった気分になりました。オプショナルができないかなと、本番前のあせりはどこへやらのような状態になっていました。しかしです。後で録音を聴いて感じたことは
 音に芯がない。
歌いこむとか作りこむことに気を向けすぎて、いかにもその場をとりつくろったような雰囲気があるような気がしました。ストーンと遠くへとばすような、そういうくっきりした輪郭がもっとほしいものだと思いました。弱音でもできる人はできるんですよ(^^)すごいです。

最新の画像もっと見る