風の吹くままに

昨年2月半に家内が胃癌で他界し間もなく一年が過ぎようとしています。
記憶の中にある思い出を書きしるしていきます。

記憶の中に16

2009-03-24 22:17:15 | 胃癌
12月も20日を過ぎたある日の事
何時もの様に病院へ行くと
家内の母が困り顔で家内は泣いていた。
訳を聞くと、正月に家へ帰りたいと言っているとの事で
担当の医師に帰りたいから状態を教えて欲しいと
お願いして有り、そろそろ連絡があるから
聞いて来て欲しいと言われた。

そんな事を言い出した訳が有って
その日に、親戚の叔母さんが見舞に来て
安易な慰めで、きっと正月には家へ帰れるよ
と言って行ったのが原因だそうだ。

既に一人では満足に歩けなくなっており
自分でも状態の変調には気が付いている。
そこへ変な慰めで、里ごころに火がついた様なのだ。

間も無く看護師が外来の診察室へ来て欲しいと
呼びに来たので私が一人で聞きに行った。

先生の話では、今の状態では正月は迎えられるが
桜の花は見れません。
前回の入院の際、退院は無理だと思ってましたが
一旦退院された事事態が驚異でした。
と言われた途端に、ある程度は覚悟は出来ていた心算だったが
そんなに早いのか!とショックで、ただ有難うございました、と
言って部屋を出て、暗い待合室で泣いてしまった。
どんな風にどう言って慰めれば良いのか
長い間、悲しくて愛おしくて声を殺して泣いていた。

それでも話さない訳には行かないので
気持ちを奮い立たせて病室までの暗く長い
廊下を歩いたがひとりでに涙は溢れてきた。


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