3月に入り、また後輩が入ってくる。それに合わせてところてん式に転勤がある。普通に勤めていると3年ぐらいで転勤になると、先輩が言ってた。とするとあと1年でわたしも転勤だな。もし転勤を拒むものなら辞めさせられる。辞めるとつぶしが利かないこの職業、路頭に迷うのは困る。そんなことを考えながら通勤していたら、駅のホームの看板が目に入った。「電子計算学院、4月1日開校、生徒募集中」と描いてあった。1968(S43)年3月、阪神電車今津駅でのこと。

↑ 「電子計算学院」の看板があった阪神電車・今津駅。(再現)
電子計算学院ってどんな講義内容だろう? もしかして仕事に役立つかも。 そう思ったとき、中学時代の恩師、「まんりょうはん」の言葉を思い出した。
「いま欧米では、コンピュータの開発競争しているんだ。中でも、アメリカに本社を置くアイビーエムという会社は、世界中に支社を持ち、世界のコンピュータの8割以上を占めているのだ」と。日本でも雑誌の裏表紙に I・B・M xxxと刷りこまれて、アイビーエム・コンピュータの使用を示している。当時、そんなことを農家の子供達に説いてどうなるんや。その時は理解できず、軽く聞き流していた。
それから4~5年後、毎朝聴くラジオで、「コンピューターがお応えします」という番組が耳に留まった。聴取者から寄せられたよろず質問に、コンピュータが考えて、答えを三国一郎さんが応えるという内容だった。コンピュータが考えるといってもラジオに効果音が流れるだけ。宇宙の彼方から虻か蜂が飛来するような、そんなイメージ音だった。
さらに2~3年経って先日のこと、支店の事務データを本部のコンピュータに移行する手伝いをした。よその課の仕事だが、暇人は手伝うようにと命が下ったのだ。今までの手書台帳から移行用紙へデータを書き写す。少人数でやるには量が大すぎるので、みんなで分担したのだ。書き写したデータは、その後どのようになったのか知らない。コンピュータが勝手にやってくれるのだと、誰かが言っていた。
これからはコンピュータの時代だな。そう思っていたとき、駅の看板に出会った。何か良いことがあるのかもしれない。今の仕事は、将来失業したとき、つぶしが利かない。そう言った先輩の言葉を思い出したわたしは、パンフレットだけでもともらいに行く。場所は難波の大阪球場西隣とあるから、尼崎から近い。
翌日は土曜日。半ドンの勤務を終えて午後、申し込みに行く。受講料は4万7千円は、給料2カ月分に近い。高いのでどうしようか? しばらく考えた末に、清水の舞台から飛び降りる覚悟でお金を払った。

↑ 「電子計算学院」の看板があった阪神電車・今津駅。(再現)
電子計算学院ってどんな講義内容だろう? もしかして仕事に役立つかも。 そう思ったとき、中学時代の恩師、「まんりょうはん」の言葉を思い出した。
「いま欧米では、コンピュータの開発競争しているんだ。中でも、アメリカに本社を置くアイビーエムという会社は、世界中に支社を持ち、世界のコンピュータの8割以上を占めているのだ」と。日本でも雑誌の裏表紙に I・B・M xxxと刷りこまれて、アイビーエム・コンピュータの使用を示している。当時、そんなことを農家の子供達に説いてどうなるんや。その時は理解できず、軽く聞き流していた。
それから4~5年後、毎朝聴くラジオで、「コンピューターがお応えします」という番組が耳に留まった。聴取者から寄せられたよろず質問に、コンピュータが考えて、答えを三国一郎さんが応えるという内容だった。コンピュータが考えるといってもラジオに効果音が流れるだけ。宇宙の彼方から虻か蜂が飛来するような、そんなイメージ音だった。
さらに2~3年経って先日のこと、支店の事務データを本部のコンピュータに移行する手伝いをした。よその課の仕事だが、暇人は手伝うようにと命が下ったのだ。今までの手書台帳から移行用紙へデータを書き写す。少人数でやるには量が大すぎるので、みんなで分担したのだ。書き写したデータは、その後どのようになったのか知らない。コンピュータが勝手にやってくれるのだと、誰かが言っていた。
これからはコンピュータの時代だな。そう思っていたとき、駅の看板に出会った。何か良いことがあるのかもしれない。今の仕事は、将来失業したとき、つぶしが利かない。そう言った先輩の言葉を思い出したわたしは、パンフレットだけでもともらいに行く。場所は難波の大阪球場西隣とあるから、尼崎から近い。
翌日は土曜日。半ドンの勤務を終えて午後、申し込みに行く。受講料は4万7千円は、給料2カ月分に近い。高いのでどうしようか? しばらく考えた末に、清水の舞台から飛び降りる覚悟でお金を払った。