よろず放談

日頃見聞きする種々の事柄に対しての独断と偏見による辛口批評

棋士雑観

2005-05-06 11:13:11 | 将棋
テレビで将棋の対局を見るのが楽しみである。いろいろな棋士がいるがどの棋士

にも共通するのは、負けたときの態度の素晴らしさである。心の中は屈辱と

後悔の念で煮えくりかえっているに違いないが、それを少しも外に表さず,平然と

局後の研究を続けるあの抑制は見事である。以下は諸棋士の印象に残るスナップである。

桐山清澄九段:以前は燻し銀といわれたが、このごろはもっぱら激しい喧嘩将棋。

どうも年を取ると持久戦型から急戦型に移る人が多いようである。中原永世十段然り。

閑話休題:相手の強い駒を取るときの仕草が魅力的。舌なめずりをして、駒を何度も

撫でさすりながら取り上げて、愛おしむように駒台にのせる。よほどうれしいのだ。

羽生善治さん:この人は何段だか分からないし、しょっちゅうタイトルを取ったり

取られたりするから、なんと呼んでいいか分からない。とにかく強い。滅法強い。

駒を打つときの手つきが凄い。一旦横から大きく手を回して打ったり、ここぞという

とき相手の急所にねじ込むように打ち据える。そしてハブ睨み。相手にあたえる

ダメージ甚大。

森下卓九段:勝負師とは思えない端正謹厳の紳士。棋風は守り主体の堅実派。

相手の突いたり、打ったりする歩をことごとく取り---「取っても利かされ、

取らなくても利かされなら取れ」という格言の信奉者----気がつくと駒台

にはいつも歩がいっぱい。今度はそのありあまる歩を使って、ネチネチ攻める。

中川大輔七段:長身痩躯。口ひげをたくわえ、ジムで格闘技を鍛える。

精悍な風貌通りの目一杯の熱闘。この人の対局を見ていて期待を裏切られたことは

一度もない。筆者お気に入りの棋士。

畠山鎮六段:畠山成幸七段とは双子の兄弟。名前とは正反対の攻め将棋。

駒の置き方に特徴がある。駒を升目の底に並べるので有名なのは有吉九段、島八段。

この人はすべての駒が少し傾いている。しかも駒を打つときも斜めにもって

押すように静かに置く。内藤九段,田丸八段の華麗な手さばきとは対極的な地味な

手付き。

太った体にピンク色のスーツを着てテレビの司会者顔負けの手八丁口八丁

の神吉(カンキ)六段、テレビゲームのスーパマリオそっくりの武者野六段など

多士済々だが、今日はこの辺で。