新潟久紀ブログ版retrospective

土木部監理課11「収用委員会の事務局は景気低迷で良くも悪くも低調」編

●11収用委員会の事務局は景気低迷で良くも悪くも低調

 土木部監理課に初めて勤めてみて、こんな業務もあったのかと思えたものの一つに収用委員会の事務局がある。
 収用委員会は、公共の利益の増進と私有財産の調整を図るため、土地収用法に基づいて各都道府県に置かれている準司法的機能を営む行政委員会で、知事から独立して起業者、土地所有者及び関係人のいずれにもかたよらず、公正中立な立場でその権限を行使する機関だ。新潟県の場合は法律、経済又は行政に関してすぐれた経験と知識を有し、公共の福祉に関し公正な判断をすることができる者のうちから、議会の同意を得て、知事が任命する7名の委員で構成されていた。
 収用の裁決申請に基づいて、起業者と土地所有者等との間における土地の区域、損失の補償などの争いを中立の立場で公正に審理し、適正な補償金の額などを最終的に裁決により決定するところで、当事者間で協議が成立した場合には、和解により解決することもできることになっている。
 私が在籍した平成26年当時は、バブル経済崩壊以来の長引く景気低迷と地価の下落により、とりわけ新潟県内においては民間デベロッパーによる新たな用地開発は低調であったし、県財政の悪化により公共投資も抑制基調であったので公共用地買収も減っていた。なので、土地所有者が買収価格をめぐり自治体や民間の起業者と争いになるという事案そのものが減っていて、数件ほどの長年の塩漬け案件に殆ど動きのないことを情報共有する程度の開催内容となっていた。
 車の運転していると、急に幅が狭くなったり、妙なクランクになっていたりと違和感を覚える道路や街路が時折あるものだが、大方は地権者とのもめ事が続いている土地がらみであり、当事者による協議がいよいよ決裂となると、収用委員会が裁決を下すということになる。
 新潟市に暮らす中でも長年見慣れたそうした箇所がいつ裁決事案となって取り扱われることになるのか、私は事務局として構えていたものだが、2年の在職中には結果して全く裁決の事務に携わることは無かった。それほどまでに経済活動や公共投資は低迷しているのかと心配になったが、気になっていた幾つかの箇所のうちの一つは事業の予算付けが戻り始めて進捗する中で、収用法を持ち出されてもめるよりはこの辺で手打ちした方が得策との地権者の思惑と重なって和解に至ったものもあったようだ。
 土地取引というのは思惑がらみの最たるものだと思う。もう少し多様な事例を学び知見を深めたかったが、そう思う頃には異動というのが公務員の常なのだ。

(「土木部監理課11「収用委員会の事務局は景気低迷で良くも悪くも低調」編」終わり。「土木部監理課12「建設業の新分野への進出の優良事例表彰」編」に続きます。)
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