「この本を見えるところに置いておくのもイヤ。」
これは先にこの小説を読んだ友人の言葉。友人はホラー好きではない。
一方、実話怪談好きの私にはたまらない本だ。おなじみの作家の方々も登場される。もう、素晴らしいの一言。
怖い。最初はなんてことないが、白い和紙に一点の墨を落としたような始まりの怪異が、だんだんとにじんで広がって行くような怖さだ。実話怪談なのか、それを模したフィクションなのかはそれぞれで判断するとして、まるで記者のルポのように淡々と書かれているところが、変に怖さをあおられるより怖いのだ。
とあるマンションの一室の怪異。それはなんてことない音。しかし時間が経つにつれて、他の部屋での怪異や住人が居着かないことが明らかになっていく。マンションとその横の戸建ての数件にまで怪異は及んでいた。怪異の源泉をたどる長い長い話だ。中盤までは細く続く話が、後半一気に明らかになっていき恐怖の坂道を転がり落ちるような勢いだった。
すべての怪談好きにおすすめしたい。
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