ぼやきなおかんの本棚

本や映画、劇などのレビュー。
英米の古い短編怪奇小説、
日本語で入手困難なものを紹介してます。

洋書のおすすめ小説! 「とらわれて夏」

2014-05-13 | ブックレビュー 洋書

 映画化された「とらわれて夏」の原作「Labor Day PS」

Labor Day(レイバー・デイ)とは、アメリカの祝日です。

9月の第一月曜日に定められています。またこの日は夏休みの最後の日。この日が近づくと「Back to School」(新学期)というフレーズがスーパーなどであちこちに掲げられます。

アメリカの新学年は9月にスタートします。

病院から逃走した囚人(Frank)をかくまうことになった母(Adele)と息子(Henry)だけの家庭。この三人のLabor Dayまでの6日間を描いています。恋愛小説と言っていいと思います。

電球を付け替え、おいしい料理を作り、庭でキャッチボール。美しいけれど、ダメダメな引きこもりの母との生活にFrankは息吹を吹き込んでくれます。

小説の視点は息子(Henry)です。13歳の少年から大人になる彼の成長とともに物語が進行します。

英語でも比較的読み易いです。シンプルな言葉で綴られる回想シーンに涙してしまいました。英語が好きなら、ぜひ原書をオススメします。

おそらく、この「息子の視点」というのでなければ、かなり陳腐な小説になったかも知れませんね。ニコラス・スパークスの恋愛小説を思い出させます。

Henryの両親は離婚していて、父親は新しい家庭があります。そこには継母とその連れ子(Henryと同い年)と父と継母の間に生まれた妹がいます。なんとも複雑。

この父親の心境も息子の視点からとらえられていて、小説の中盤以降で物語に深みが加わります。

Labor Day (P.S.)
クリエーター情報なし
William Morrow

海外ミステリーおすすめは? マイブームは北欧!

2014-05-08 | ブックレビュー 和書

海外の翻訳ミステリーが好きです。

若い頃からホームズやルパン、ポアロやミス・マープルが大好きだった。

外国の文化に浸れるのも、海外ミステリーの醍醐味。

そしてマイブームは、英米以外ヨーロッパのミステリーです。

特に北欧ミステリーは、上質。生活の様子や文化的なもの、社会問題などなど、物語の中にいろんな要素があるからです。

社会保障は充実してるし、冬は長いけれど人々は生活を楽しんでいる。

北欧の国々ってそんなイメージでした。

まあ、そうです。でも女性や子どもや若者を取り巻く社会は驚くほど日本のそれと似ています。

先進国の病でしょうか。

スエーデン・ミステリー「静かな水のなかで」は女流作家ヴィヴェカ・ステンによるシリーズものの一作目です。

他殺とも事故とも不明な一人の男の死。それに連なる彼のいとこの死によって、連続殺人の可能性が高くなる。日常生活のすぐそばにある事件。

伏線が張り巡らされていて、クリスティーの現代版のようでした。

謎を解くのは幼なじみのふたり。それぞれ、家庭や人間関係に問題を抱えています。すっかり彼らの気持ちになってしまいました。

読み応えのあるミステリーでした。

静かな水のなかで
クリエーター情報なし
早川書房