ずっと前から読んでみたかった、
「折れた竜骨」(米沢穂信)
やっとKindle化、バンザイ! だって小さい字がつらいんだもん。
折れた竜骨 上 | |
クリエーター情報なし | |
東京創元社 |
ファンタジーとは知らなかった。でもミステリー小説です。
16歳の少女(アミーナ、領主の娘)の語りと視点で、話しは進みます。
読んで3ページで、この少女が好きになった。時代は12世紀。王位争いが続くイングランド領内の孤島が舞台。十字軍とか騎士が活躍した時代です。それだけでもワクワクするのに、これは論理と観察が主導する、正真正銘の本格派推理小説です。
領主である父が殺害され、敵襲に備えなければならない事態に直面します。謎解きと歴史ファンタジーが楽しめました。
読んでいて何やら心地よさを覚えるのは、そう、大好きな「修道士カドフェルシリーズ」と同じぐらいの時代背景だから。これは、作者のカドフェルへのオマージュ作品のようです。
正直、携帯やネット以降のミステリーには、あまりときめかない。(なくてはもう生きて行けないかも、の生活をしているけれど)
「観察と論理」。ミステリーってこうであって欲しいと思えるような小説が、この「折れた竜骨」や「カドフェルシリーズ」です。
ちなみに、修道士カドフェルはイギリスの作家、エリス・ピーターズの推理小説です。舞台は12世紀のウェールズの国境に近い、イングランドの修道院。王位争いにも翻弄されながら、市井の生活の中で起こる事件の謎解きを、十字軍上がりの修道士カドフェルがすぱすぱとやっていきます。
当時の生活がわかりやすく描かれていて、ヨーロッパの歴史好きには外せないシリーズです。
「折れた竜骨」は、魔術師がからむのでファンタジー小説でもあります。しかし荒唐無稽な印象はあまり受けなかったです。むしろ未知の世界の、話しの広がりにワクワクさせます。