第41話 「捕捉」
「アルクスローナは速い。合わせる必要はないんじゃないかな…武器は強くなっているし、アゼラの場所は分からないけど」
守里の言葉にベラーナはフンッと言いたげ答える。
「あのストラーダって奴は気に入らないね、どこか余裕ぶっててさ!」
守里は普通に答えた。
「ベラーナの嫌いなタイプだろうな…」
ベラーナが答える。
「剣は気に入ってんの?まさかでしょ。あんな斜に構えてる嘘つきめ!」
守里にとって納得のいく相手のわけがない。
親父と手を組んでいるならなおさらだ。
守里たちは廊下にいたが、デッキへ向かっていた。
ベラーナが思い出したように話す。
「あのさ。ちょっと忘れ物したから先に行ってて。大したことじゃないけどリラックスって必要じゃん?」
守里は髪の毛を気にしていたベラーナが、何をしょうとしているか見当がついた。
そしてベラーナに言う。
「あんま時間ないぞ?」
ベラーナが答える。
「40分ちょうだいってアル・レレン艦長によろしく!」
その場に歩いてきたのは書類を持ったカンナとリリアンだった。
カンナが不思議そうにベラーナを見て守りに聞く。
「何あれ?この状況で髪染め??」
手をあげて守里は答えた。
「こんな時だからこそおしゃれにしたい、だそうですよ?」
カンナとリリアンは書類を持ったまま唖然としていた。
守里が持ち物を代わりに持とうとすると、リリアンが遮って言った。
「守里君はデッキでしょ?私たちは広報のライの元だから方向が違うの。気持ちだけありがとうね」
守里は着々とアゼラの場所を調べようとしていることを知った。
それを守里やベラーナに気を遣って、戦いに集中するようにしている。
カンナが少し荷物を崩しながらリリアンと歩いていくのを見ていてから、デッキへと急いだ。
アル・レレン艦長は守里が現れるなり話し出す。
「敵は死海には入れないらしいから、このまま潜水して移動する。その機能はついているからね。守里君たちは1時間後に偵察に出て欲しい」
守里がベラーナのことを伝えると、アル・レレン艦長は気にしないでリラックスしているように返事をする。
ララの笑い声が響いた。
「うるさいな!仕方ないじゃん!」
廊下で響いていると、ベラーナの髪の色がアッシュのようで白毛のようになっている。
思わず笑ってしまったララだったが、守里は近づいてアル・レレン艦長に1時間後の話をした。
ララがその場で答える。
「あのバカ兄貴のことだから近くにいるわよ!…しかしこの頭…」
笑っているものの、守里もベラーナもアストラーダが近くにいることを感じていた。
「おじさん、準備しておこう…」
守里は笑いをこらえながらベラーナに言う。
「おじ…お前なぁ…」
ベラーナも返事をしながら戦闘準備に入ろうとしていた。
その時広報のライから連絡があった。
「みんな集まってくれ!」
デッキに急いで集結する。
守里はなんとなく気づいていた。
どこにも隠しておくことなどあり得ない、アゼラはどこかにある。
「困った問題だ…アゼラは1箇所じゃない!」
ライの言葉に守里もベラーナも顔を見合わせた。
アル・レレン艦長は答えた。
「勢力は少し増しているだけだろう。今は上の問題だな」
見えていたのは死海の上だった。
どう見てもアルクスローナ1機だった。
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