凡庸な作品。夜だったので、モンスターエナジー飲んで挑んだけど、退屈で一度寝た。セリフの99%は創作でしょうね。自由だ正義だ言うけど、結局政治は打算と妥協ということを意図せず描いてると思う。
まぁ米国でヒットしたのは日本における時代劇みたいなものだからでしょうねー。こんなおとぎ話みたいなのに、エンターテイメント性はどこー?
冒頭の泥まみれの殺し合いシーンや中盤の切断された四肢、ラストに出てくるわざとらしく映す死体で、南北戦争の激しさを表現したつもりだろうけど、兵士の視点がまったくないので、全然緊迫感がない。黒人兵多いねぇ。奴隷解放は兵力補充のためと暗に言ってるのかな。
議会のシーンが多いけど、日本の国会中継と変わんない。ヤジや汚い言葉の応酬、つまんない。すごく退屈。
正義だ自由だ民主主義だ言っても、結局買収やロビイングで、リンカーン自身は手を汚さずえらそーに指示するだけ。
主演のダニエル・デイ・ルイスの特殊メイクがっちりで、寄っても表情が分かりにくい。感情をやや表すシーンでは寄らない。なんだコレ。「ギャング・オブ・ニューヨーク」では見事な憎まれ役だったのに。
身を犠牲にとか老けたねとか周りに言われるけど、在任中にものすごい戦死者が出て、ネイティブアメリカンを虐殺すりゃー、そりゃー変なモノに取り憑かれるわな。全然同情できない。
息子は入隊させない身勝手。よく小咄するんだけどつまんない。苦悩するシーンも少なく、老人らしくのんびり、したたかに、戦時中にもかかわらず観劇したり。キューバ危機に対した若いJFKとは大違い。「13デイズ」もつまんなかったけど。
修正第13条の討議の際、人種差別と奴隷制度を分けるくだりがあるけど、黒人を奴隷らしく扱っているシーンは全くない。人種差別の方は今でもあるだろうけど、さすがに奴隷時代を知る人は米国にもいないだろうから、ちょっと説明不足では。奴隷制度とは無縁の国の人間には尚更。つまり虐げられてる黒人が出てこないから、奴隷解放、奴隷制度禁止とか言っても気持ち入らない。米国の人種差別、偏見とかなら「クラッシュ」がよかったな。
黒人や女性の参政権についても話題になるんだけど、実現するのは第2次大戦後の約1世紀後と半世紀後。どこが平等、民主主義なんだろう。もちろん当時の基準は分かってるけどね。
奴隷解放後どーなるか分からないって言ってるけど、未来のビジョンがないのに制度だけとりあえずって乱暴だなー。信念ないの丸出し。奴隷であれば囚人と同じで食べるに困らないだろうけど、社会保障が整っていない時代、いきなり放り出されて上手くやっていける人ばかりじゃなかっただろうねぇ。性急過ぎると当初反対していた民主党員の言うことにも理はある。
それに日々戦死者が増えてるんだから、まず命を守る方が先じゃないの? とゆーのと、この機を逃して憲法改正は!の葛藤は当然として、その描写が弱い気がするなぁ。北部州の経済が大事だったのかねぇ。
ラストの演説、神がどーのとか、美辞麗句並べてるだけで、全然胸に響かない。
劇中ラスト近くで南軍の副大統領に言われるんだけど、ホント偽善にしか聞こえない。
「ザ・コンテンダー」で大統領を演じたジェフ・ブリッジスの演説はよかったなー。
いまだにWASPって幅きかせてるんだろうかねぇ
リンカーン役にはもともとリーアム・ニーソンがキャスティングされていたそう。出演作は良作ばかりではないけれど、辞退したのは英国人にはつまんない内容だからじゃないかなぁ。