__ いま地上波で、🎬『るろうに剣心』シリーズを順繰りに放映しているが、佐藤健くんの居合や納刀は、よく訓練されていて美しい。彼は戦闘シーンでも、ちゃんと刃筋を立てて斬っているのですよ。
日本刀というものは、刃筋が通っていないと斬れないのです。
『るろうに剣心』の飛天御剣(ミツルギ)流には、刃を下に向けた居合が多い気がする。幕末に、新撰組が「薩摩の初太刀は外せ!」と云って怖れたのは、野太刀(薬丸)自顕流の斬り上げのことだそうです。
居合で、刃を下にして抜いて斬りあげると、内股の動脈や金的はじめ正中線上に致命傷となる刀疵をつけやすい。例の「きぇ〜い」という「猿叫」とともに下段から上段に斬りあげるのだから堪らない。
ー 逆手居合抜きといえば、黒澤明『椿三十郎』のラストの居合が有名である。詳細が探られて判明しているので、wiki を参照してみる。
>弧刀影裡流居合術(ことえりりゅういあいじゅつ)は、九州出身の野瀬庄五郎が西南戦争に従軍した経験から編み出した居合術。
> 黒澤明の映画『椿三十郎』のラストで主演の三船敏郎が繰り出した技は、この流派の形(抜き手、切りかかる手に切りつけるもの)を参照して殺陣師の久世浩(久世龍)が編み出したものだとされる。
『「映画を愛した二人」黒沢明 三船敏郎』によると「逆抜き不意打ち斬り」という名で、心臓を切る技とされる。 映画では相手の室戸半兵衛役の仲代達矢が抜刀するより早く帯刀の刀を 左手で 逆手に抜き(元になった弧刀影裡流の技では順手に抜く)、刀の峰に右手を添えて刀を押し出して仲代達矢の右腕の下付近を切ったように見える。三船敏郎は早く抜くために普通の刀より5寸(15cm)ほど短い刀を使用したという。
さて、三船敏郎の迫真の演技を観ていただいてから、今度はリアルな古武術の妙技を観ていただこうか。
浅山一伝流のチャンネルから、実にカッコイイ抜刀術をご覧ください。
みるほどに美しい居合の型ですな。【弓手(ゆんで=左手)抜きの演武は、動画の 6:50秒辺りからです】
新陰流って、ほんとうに姿が佳いといいますか、無駄なく機能的に美しい動作が眼裏にのこるといった感じです。特に二人で演武する型は、対手を動かせて勝つという「後の先」の新陰流の面目躍如たるものがあります。
現代の達人・黒田鉄山師は、四つの流派を伝承なさっていますが、その中の「駒川改心流」が柳生新陰流から派生した流派です。新陰流って、洗練された高度な理合を保つ高等剣術なんですね。黒田師の演武は、まるで芸術ですよ。
「判官(ほうがん)」とは、役付きの官僚を指すそうです。まー殿中を想定した武術ということになりますか。
下から斬りあげてから、流れるように連動させる上段打ちも見事ですな。無外流の小手斬りのように、浅い傷を負わせて戦意を削げればそれで事足れりとする実戦剣術なんですな。
この動画に出ておられる、浅山一伝会の 関展秀(のぶひで)先生は、浅山一伝流兵法第22世宗家でいらっしゃいます。
浅山一伝流の居合については…… テレビによく出ておられた、居合の達人・町井勲氏からは現在、ずいぶんと厳しい批判(投げ抜きなど実戦では使えない等)をうけておられるようだ。素人には、その辺はよく分からない。
ただ、関宗家の佇まいや身のこなしが、実に美しく術理にかなっている様を鑑賞いただきたい。「新陰流判官派・弓手抜き」は、是非佐藤健くんから演じてもらいたいものだ。
__ 最後に、映画の殺陣シーンから「男の振るう薙刀」をご覧いただきましょう。
映画『ラスト・サムライ』で、そのあまりの剣捌きにトム・クルーズがビビってしまったという真田広之の、精魂こめた薙刀術です。
片手で薙刀を払っても微塵も震えることのない膂力がまず見事です、よく鍛えられた剣技です。
最近では、『モータル・コンバット』の忍者や、『将軍』でも主演は張っているが、いまやハリウッドが頼りにするほどの名バイプレイヤーとして重宝されている真田広之である。
1987年の、この深作欣二監督作品では、まだ口元に軽躁な狂気を漂わせているが、JACでのニックネーム「ミスター・パーフェクト」の名に恥じない、見事な立ち回りに感服つかまつる。
真田広之の、こうした「陽」の剣捌きは珍しいんだよね、日本舞踊も名取だけある美しい足捌きで、戦国乱世の武将のような凄味がありますね。
時代劇の歴史に名を刻んだ、素晴しいチャンバラではなかったでしょうか。
外国人からみても、日本の剣道は戦う姿がうつくしいとはよく聞く話です。
_________玉の海草