琉球大学+長崎大学の森直樹氏による論文捏造の追及ブログ

琉球大学大学院医学研究科及び長崎大学熱帯医学研究所における論文捏造・研究不正の追及ブログ

論文の本質に関する研究不正(論文の結論を左右するような論文内容そのものに関する不正)

2011-12-25 | 論文の本質に関する研究不正


森直樹氏が長崎大学在籍時に発表していた論文の不正に関しては、2011年の4月11日に、長崎大学と文部科学省の両方へ申し立てました(その後、調査委員会が設置されたという知らせを受け取っています。)

その後、琉球大学で発表していた論文の不正に関しても、
文部科学省(2011年5月22日)と琉球大学(2011年5月20日)の両方へ申立書を送付しました(添付資料を参照してください)。
(しかしながら、この申立書に関して、私のほうに、琉球大学からは何も連絡はありませんので、揉消そうとしているのかもしれませんね。)。
私が申し立てた不正の内容は、データの使い回し・流用(捏造・改竄)に関してです。
ほとんどが、β-actinやGAPDHなどのコントロール実験の画像の使いまわしに関してですが、
そうでないもの(コントロール実験画像以外の、論文の本質に関わるような実験画像における流用など)に関してもいくつか申し立ています。


例えば、
論文#18
 Anti-adult T-cell leukemia/lymphoma effects of indole-3-carbinol.
 Machijima Y, Ishikawa C, Sawada S, Okudaira T, Uchihara JN, Tanaka Y, Taira N, Mori N.
 Retrovirology. 2009 Jan 16;6:7.
に関しては、
指摘項目No.14 において、
「論文#18のFigure6BのHUT-102 cellsのIkBαの画像は、
その下側のTL-Oml cellsのIkBαの画像と類似しています。
これらのIkBαの画像群は、互いに異なるサンプルを測定したものであるにも関わらず、
互いに類似しているということは、極めて不自然です。
よって、データの流用(捏造・改ざん)が疑われます。」
と申し立てています。IkBαの画像は、コントロール画像ではなく、論文の本質に関わるような実験画像といえるでしょう。



また、論文#71
 Helicobacter pylori induces matrix metall
 Expression of survivin in HTLV-I-infected T-cell lines and primary ATL cells.
 Mori N, Yamada Y, Hata T, Ikeda S, Yamasaki Y, Tomonaga M, Yamamoto N.
 Biochem Biophys Res Commun. 2001 Apr 20;282(5):1110-3.
に関しては、
指摘項目No.23-6において、
「論文#71のFigure3のSurvivinの2レーン分の画像は、
同論文#71のFigure2のSurvivinの12,13レーン目の画像と類似していることから、
この画像についても、流用がなされている可能性があり、生データの確認が必要ではないでしょうか。」
と申し立てています。Survivinのデータは、コントロール画像ではなく、論文の本質に関わるような実験画像でしょう。


また、論文#56
 Elevated expression of CCL5/RANTES in adult T-cell leukemia cells: possible transactivation of the CCL5 gene by human T-cell leukemia virus type I tax.
 Mori N, Krensky AM, Ohshima K, Tomita M, Matsuda T, Ohta T, Yamada Y, Tomonaga M, Ikeda S, Yamamoto N.
 Int J Cancer. 2004 Sep 10;111(4):548-57.
に関しては、
指摘項目No.25 において、
「論文#56のFigure5Aの下側のパネルの7,8,9レーン目のJPX/Mの画像は、
論文#56のFigure5Aの下側のパネルの10,11,12レーン目のJPX/Mの画像と類似しています。
これらの画像は、互いに異なるサンプルを測定したものであるにも関わらず、
互いに類似しているということは、極めて不自然です。
よって、データの流用(捏造・改ざん)が疑われます。」
と申し立てています。この画像は、NFkappaBと呼ばれるタンパク質の活性化度合いを示した実験画像であるので、コントロール画像ではなく、論文の本質に関わるような実験画像といえるでしょう。



また、論文#58(既に論文撤回済みですが)
Apoptosis induced by the histone deacetylase inhibitor FR901228 in human T-cell leukemia virus type 1-infected T-cell lines and primary adult T-cell leukemia cells.
Mori N, Matsuda T, Tadano M, Kinjo T, Yamada Y, Tsukasaki K, Ikeda S, Yamasaki Y, Tanaka Y, Ohta T, Iwamasa T, Tomonaga M, Yamamoto N.
J Virol. 2004 May;78(9):4582-90.
に関しては、
指摘項目No.26 とNo.27において、
「指摘項目No.26
論文#58のFigure6Aの一番下のパネルのOct-1の8,9レーン目の画像(C5/MJの画像)は、
論文#58のFigure6Bの一番下のパネルのOct-1のATL5(-,+)の画像と類似しています。
これらの画像は、互いに異なるサンプルを測定したものであるにも関わらず、
互いに類似しているということは、極めて不自然です。
よって、データの流用(捏造・改ざん)が疑われます。
指摘項目No.27
論文#58のFigure6Aの一番下のパネルのOct-1の5,6レーン目の画像(SLB-1+とHUT-102-の画像)は、
論文#58のFigure6Bの一番下のパネルのOct-1のATL8(-,+)の画像と類似しています。
これらの画像は、互いに異なるサンプルを測定したものであるにも関わらず、
互いに類似しているということは、極めて不自然です。
よって、データの流用(捏造・改ざん)が疑われます。」
と申し立てています。
専門外なのでよくわかりませんが、Oct-1のデータも、必ずしも、コントロール画像(対照実験画像)とは呼べないのではないでしょうか。


また、論文#21
 Human T-cell leukemia virus type I infects human lung epithelial cells and induces gene expression of cytokines, chemokines and cell adhesion molecules
 Teruya H, Tomita M, Senba M, Ishikawa C, Tamayose M, Miyazato A, Yara S, Tanaka Y, Iwakura Y, Fujita J, Mori N.
 Retrovirology. 2008 Sep 22;5:86.
に関しては、指摘項目No.15 において、
「論文#21のFigure1の左パネルのβ-actin mRNAの画像は、
同じ実験条件の論文#21のFigure2Aのβ-actin mRNAの画像と類似しています。
一方、論文#21のFigure1の左パネルのTax mRNAの画像は、
同じ実験条件の論文#21のFigure2AのTax mRNAの画像と異なっており、不自然です。
Figure1の方のTax mRNAの画像では、7レーン目に比べ、2レーン目と5レーン目のバンド画像は薄いですが、
Figure2AのTax mRNAの画像では、2レーン目と5レーン目と7レーン目のバンド画像の濃さはほぼ同じであるかのようなデータとなっています。
これは、論文5ページ目の本文中に記載されている「The expression level of Tax mRNA was equivalent in A549 cells cocultured with MT-2 cells at 3 and 5 days, but the expression level of Tax protein was suppressed at 5 days (Figure 2B).」という結果を述べるために、
都合のいい画像をFigure2AのTax mRNAの画像として恣意的に取捨選択したものと推測されます。」
と申し立てています。Tax mRNAのデータは、コントロール画像ではなく、論文の本質に関わるような実験画像でしょう(ただし、このデータの不正に関しては、捏造・改竄といった類の言葉ではなく、恣意的なデータの選択 と呼んだほうがよいでしょう。)



以上のように、
論文#18, 71, 56 は、論文の内容そのものに関する不正といえるかもしれません。
論文#21, 58 に関しては、きわどいところです。
ただ、個人的には、コントロール画像に流用が認められる時点で、その論文の信頼性は失われている思います。

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