アメリカ!編みんぐ_AMING

アメリカ/ 魅了された編み物生活

私の職場/感激の一瞬・その1

2006-06-01 11:37:11 | Weblog



おととしの秋、感謝祭も近ずきクリスマスの準備も始まったある日のことである。その日は木枯らしの吹くグルーミー<gloomy>なお天気で,ストアを訪れる客足もさっぱりであった。忙しくもない日は顧客のリストを整理したり、ウイッシュリスト<こんな商品が入荷したら連絡して、こんな色のものを捜してというような顧客の希望をノートしている>を整理したりしていたのだが、ふと、そそくさとフロアを早足に歩き回る、黒のニットのポンチョを着たロングヘアの女性に目が留まった。

普段は当店に来る顧客は大概、ブランド物のハンドバッグに靴、ダイヤの指輪、腕時計、スーツや帽子まで目を見張るような、それこそつま先から頭までざ~~っと100万はくだらない衣装に身を包んでやってくるのでうちのセールスはわ~~~~つとアプローチするのだが、彼女は典型的なシンプルルックのアメリカ人買い物客といったいでたちであったが、以外にも私には気になる人だった。

彼女の歩き振りや様子からなんとなく<Leave me alone/ほっといてくれ!>というオーラを感じたのでしばらく、彼女がバッグやショール、スカーフを両手一杯に抱えて歩きまわるのを見ていたが、最後の商品を棚から取ろうとして手を伸ばした瞬間に、抱えている商品が落っこちそうになったのですばやく、彼女に近ずき<May I help you ?>と声をかけた。<Yes please !ええ、お願い。>私は何点かの商品をレジスターのカウンターに置き<もしもっと商品をお探しのものがあるんでしたら、この商品はここでお預かりしておきますから、自由に見て回ってくださいね。>というと<あちらのフロアでも居るものがあるんだけど、ここに持ってきて一緒に精算できるかしら?><ええ、もちろん、うちのストアは他のフロアの商品も一緒にまとめて精算できるんですよ。>というとほっとしたようにして<じゃあ、他の商品も見たいから、また戻ってくるまで預かっててね。>と言って立ち去った。
小一時間ほどして両手一杯に商品を抱えて彼女が戻って来た。
ざ~~っと合計して3500ドル、約40万くらいの買い物である。これとこれにはギフトの箱をつけてねと指示しながらも、彼女は<ところで、このショールを私のクリスマスプレゼントに主人にしてもらおうと思うんだけど?クリスマス前ころまであるかしら?>とレジーの後ろのラックにあったバーバリーのカシミアのショールを指差した。それはすばらしいカシミアのチェックに黒のフォックスの毛皮のトリミングがある3500ドル、約40万もする豪華なショールだった。たくさんの顧客がため息まじりにさわったり、試着したりしているものだったが、買う顧客は未だいなかったのだ。私は<ええそうですねえ、クリスマスまでまだ一月もありますから、そのころまで必ずあるとは確約できませんけど、ちょっと全米のストアの在庫数を確認しますね?>といってレジーで在庫数とどこの支店に何点あるかを確認した。うちの店の良い点は、レジーがパソコンになっていて、すぐに在庫数や場所、色違いなどの情報を引き出せるようになっている。プリントアウトしてその紙を彼女に見せながら説明した。<全米店舗で5点ありますがそのうちの2点がサンフランシスコ店にあります。ここにスタイル番号からすべてありますから、良かったらご主人にお渡しになって、いつでも電話で注文できるようにしてください。念のため私の名刺をあげますから、万が一当店のショールが売り切れても他のストアで捜すお手伝いはできますよ。>その紙を渡すや、彼女からクレジットカードをもらいレジーで勘定をすませようとしたとき、なんと!<メリンダ ゲイツ>と言う文字が目に留まった。

いや~っ、まさか~っ??ほんまかいな??聞いてもいいかな??
失礼かな?いやこれは聞いたほうがいいぞと心の格闘をしながら、とうとう
<すみませんが、個人的な質問をしても良いでしょうか?>と切り出した。

メリンダいわく<ええ、もちろん>
私 <ひょっとして、ゲイツさんのご家族の方でしょうか?>
メリンダ <ええ、そうですよ。>
私、しつこく突っ込んで <そしたらあなたは、奥様のメリンダさんでしょうか?>
メリンダは私の変ななぞとき質問風の言葉に微笑して<ええ、そうよ。>と答えた。
私は思わず、イエ~~~~イ!やったぜベイビーとまでは叫ばなかったものの
それに近い感動で<いや~~~~~~~~~っ、日本人としてとっても光栄です!!>というと彼女は笑っていた。
彼女はそそくさとショッピングバッグを抱えて、入り口の方へ来たときと同じ足早に消えていった。
おそらく、運転手が外で待っているのだろう。
世界で一番の金持ちにボディーガードもついていない、お忍びのショッピングであった。
世界一の金持ちであるビルゲイツの自宅をご覧あれ。http://www.itmweb.com/f101601.htm

私の職場、その1・

2006-06-01 10:04:56 | Weblog
 

写真はサンフランシスコの歴史的建造物を当社が25年前に買い取って開店した。ドームの天井にはすばらしいステンドグラスがはめ込んである。


私の職場はサンフランシスコにある、アメリカでも創業100年になる老舗の某、超高級ストアである。かの有名なモナコ王妃のグレースケリー&レニエ大公の結婚式のドレスから出席者のためのドレスもご用達したストアで、アメリカの2%の高額所得者を顧客の対象としたコンセプトの商品つくりをしている。平たく言えば、セレブリティ<有名人>や世界の富豪を対象として成長したストアである。サンフランシスコストアは旅行者やアジア人も多いこともあって、そんなにお高い店には見えないがデンバーやダラスなんぞではさすが地元の石油富豪や政治家の家族が徘徊する店である。

先日、日本に帰国した際、親戚と会う機会があり、うちのストアのことを紹介していたが、あまり日本では知名度がないせいか<まあ、アメリカのスーパーの売り子さんするのも大変ねえ~~??>なんていわれて一瞬当惑してしまったものだったが、後、母から電話で<まりこさんからこの前、興奮した電話をもらったのよ。何でもご主人が日経新聞かなんかで森ハナエさんが、大昔、あんたのストアを訪問してそれがきっかけで世界のプレタポルテのデザイナーを目指したと言う記事を読んだそうで、そのストアに勤務ということでびっくりしたそうよ。><まあ、そんなにたいそうに考えてもらわなくってもいいんだけど、まあ世界のファッションのリーディングストアってくらいに理解してもらえればありがたいねえ、、、。>とだけ言いました。

有名なヴォーグ誌もWWDも当社が所有しているので、いかに宣伝力もあるか検討つくと思います。ストアでは早朝に勉強会もあり、最新のパリコレのファッションが紹介され、当社専用のスタイルがシャネルから発注されているとか、ヴァレンティノ、ディオールのイブニングガウンなど何百万円もするドレスや上下で100万くらいのスーツなぞ、ため息のでるようなドレスをモデルさんが着て紹介されるのも当社、独特の光景です。