-私はあなたにだけ語りたかった-
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高い、巨大な樹木、雲にとどくような・立ち並ぶその向こうに裏返った太陽がある。まばらな人影が映像のように動く。ひとつの音を聞こうとする時、いつも決まってそれは「生きよ!」と告げる。私は聞きたかった。「そこには何があるのですか」と。-
ひとつ大きなくしゃみをして、乱れた髪を整える。色づいたものがチラチラと立ち現れる。ピストルの音が響く。どこかで古典劇のような血が流れ出し、私は苦笑をこらえながら、恐るべき孤独に向かって再び駆け出していた。白みはじめる東空から、朝雨が静かに流れはじめる。
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初出
1973年7月30日発行
「文学塹壕」第3号
編集発行人:君本昌久
タイトル「詩法・ガンゼル状態」
8.精神分析入門
「文学塹壕」第3号に関して
最後の二編は
杉山平一氏の「詩と青春」
君本昌久氏の「蜘蛛の彼方で」-詩と青春-
共に日本詩壇、特に関西詩壇内部における
交遊録として貴重な資料となっている。
杉山平一氏は現在
関西詩人協会の代表をされている。
テーマ曲なのか、パッフェルベルの「カノン」
がお出迎えしてくれるSiteがある。