短詩集 「太古という未来」

俳句・短歌・川柳に次ぐ第四の短詩型文学として Maricot Tairaquas

未読(3) 明治維新という過ち 原田伊織著

2015-10-23 12:17:27 | 飛び入り

明治維新という過ち(改定増補版) 原田伊織著 毎日ワンズ発行
第四章までざっと読み終えたが、持ち時間の関係で、
後半は文字通り(未読)本となる。


明治維新に関しては近年諸説やしっかりした証拠解明が現れているのに、誰一人まともな検証・手術解明をしない。特に武士の子孫たちの無関心ぶりには、絶望に近い失望感を持っていた。だから「明治維新という過ち」、タイトルからしてようやくの期待が持てた。しかも売れ行き良好らしい。筆者の原田伊織氏、まったく久々の力量のある大型新人の登場である。読ませる内容と読ませる情熱を感じた。

◎:P.142「明治維新とは昭和になって、極右勢力によって一般化した言葉であって、幕末の御一新のその時に使われた言葉ではない。
ぱらぱらとめくって、まずこの指摘に注目、期待できそうな本だと感じた。

◎P.136:バリケードに突入する際、彼らの投げつけてくる塩酸ビン、硫酸ビンに言いようの無い恐怖を感じた。
原田氏は私と同世代、当時を良く知っているので、どんな目にあったのか、書かれていないことまで明快に体感できる。「はじめに」のところに「止むに止まれぬ思い」とあるが、その想いには充分共感できる、そしてそういう人の存在と出会うのは、極めて稀なことだ。バリケードに突入、がどれだけ過激なことか、それを一度は行動に移したひとだと、右翼と決め付けられて、かなり痛めつけられたのではないかと。このように70年体験の挿入もあるが、これを抜きにしてはこの本も成立しないかもしれない。

◎長州テロリスト、という過激な言葉が使用され、「吉田松陰という嘘」で、この人の独自の説が展開していく。この辺は斬新で説得力もあるが、私見は差し控える。これで多数の読者を獲得した、という事実は、著者の「読ませる内容と読ませる情熱」に起因する、という感想程度に止めておく。読者各自の読後感に委ねてみたい。

◎無条件に共感を表明できるのは「司馬史観の罪」、特にP.132,彼がノモンハンで行き詰ったところの指摘だ。個人的には彼がノモンハンで何故行き詰ったか、よくわかるのだが、今はもうそれを書く時間が私には無い。「司馬史観の罪」、は一番説得力があり、この本のメインテーマのひとつだと言えよう。無条件に同感である。

 ◎未読としている第5章、二本松・会津の慟哭、は最大の展開部分で、読ませどころである。ここで「未読」の私が口を挟む必要もなかろう。ただこの記事を思い出した。
二本松と聞いて私の頭にひらめくのは、この人の存在である。

朝河貫一とOSSの日本計画
もし今後原田氏が日本の開戦、および敗戦処理に関して考察される際には、この記事と朝河貫一を外さないで頂きたい。この章とこの記事は呼応しない筈はないと、私は思っている。最近ではこの朝河正澄・貫一父子を扱った小説も登場しているようだが、原田氏には考察・検証を重ねた後で、
小説ではない形で独自の見解を切り開いていただきたい。

この本はあとがきも含め第4章以降の後半部から一気に盛り上がるのであるが、そして私は「明治維新」の再考に臨まれた原田氏に最高の賛辞を贈るものだが、
一点、もはやそれまで、とがっかりしたのも事実である。

あとがきを読んでいて、たとえばP.317には「アジア侵略」や「馬鹿げた侵略戦争へと狂騒する」等の言葉に出会った。「こりゃだめだ」と思った。ここに繋がるための「明治維新の過ち」ならば、GHQのWGIPの単なる補強にしかならない。これが「止むに止まれぬ思い」の正体ならば、捏造されたいわゆる昭和史史観に与するだけの、
従来からある薩長新政府史観と何一つ変わらない。
この方は大変日本史好きで、学校の勉強のし過ぎの、
あの時代に限定した瞬間的意味においての、
過激派保守反動に過ぎないのかもしれない。
優れた資質のある方だけに残念である。


・・・・・追記:2015年6月23日・・・・・
明治維新の見直しという意味では
こういう本も見つけた。
新説・明治維新 西鋭夫著
どちらも初めて聞く内容ではないが
本として立ち現われてきた
そういう時代になったということは好ましいことと歓迎したい。
太平洋戦争の解明にも関わってくるからだ。

西鋭夫 思考停止する日本人:

・・・・・追記:2015年7月19日・・・・・


こちらも非常に面白そう。
アマゾンのコメント欄を入れておきます。
日本人が知っておくべき
この国根幹の《重大な歴史》
出口氏には前から興味があった。
この辺りの話も決して初めて聞く内容ではない。


左から王仁三郎、頭山満、内田良平



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