短詩集 「太古という未来」

俳句・短歌・川柳に次ぐ第四の短詩型文学として Maricot Tairaquas

8. 黒い教会

2008-03-18 17:45:21 | 詩法・ガンゼル状態

-あなたあなたわたしにだけ語りたかった-


///////////////////////

  ひきかえしてはいけない。十五年も前に建てようと誓い合った二人だけの黒い教会。私のからだの中を走りつづけたあなた。黒髪。黒ユリを両手に私達は海を見ていた。ライオンはねむり、中庭ではいつもの記念日のように、凄まじい炎を取り囲んで、寮生達はフォークダンスをしている。・・・忘却の中で、あなたの小さな弱い息遣いだけが、まるでふりおろされた凶器のように、私の人生せいあい の奥底から、淡い水泡を浮かばせつづける。
 いつも遠景から、小さな黒い教会が、火葬場のような黒煙を吐き、私の愛欲を喰い取るように焼死させる。十五年も前建てようと誓いあった小さな黒い教会。私があなたを離したように、それは私を離しはしない。-
 白い教会はいつも眼前で崩壊し遠景の黒い教会だけがそんな私を暖かく燃えさせる。
 浜木綿の咲く頃、潮風があなたの吐息を繰り返し、確かな青空から無数の唇が降り落ちる時、私は殉死するために、あの黒い教会に戸惑うことなく駆け込まねばならない。



///
/////////////////////

初出
1973年7月30日発行
「文学塹壕」第3号
編集発行人:君本昌久
タイトル「詩法・ガンゼル状態」
7.黒い教会


7.地下室のアブサン

2008-03-17 23:56:57 | 詩法・ガンゼル状態

-私あなたあなたわたしにだけ語りたかった-

///////////////////////

岡崎公園の光はどこからともなく集まった仲間達の足元に降り注ぐ。雪どけ道。トラファルガー広場にハトが飛び立つ。茶店の前の一本松にコートをつるして、もう一度哲学の道をひきかえす。一斉に、一斉にみんなであざ笑いをする。世界中の奴らに向かって。地下室でアブサン飲んだら、肩並べて、、さあ、白い息吐き、殴り込みだ!

///
/////////////////////

初出
1973年7月30日発行
「文学塹壕」第3号
編集発行人:君本昌久
タイトル「詩法・ガンゼル状態」
7.地下室のアブサン

//////////////////////////

Connie Francis - Lipstick On Your Collar
Connie Francis -
Stupid Cupid ;
DORIS DAY .. PILLOW TALK :
Doris Day : Teacher's Pet :
Doris Day - Que Sera, Sera :

//////////////////////////


6.節分の夜

2008-03-16 15:25:43 | 詩法・ガンゼル状態

-あなたあなたわたしにだけ語りたかった-


///////////////////////

節分の日、山の中腹から立ち昇る巨大な炎。見知らぬ画家は奈良県の土をつけた雑草を手にしていた。公衆電話に駆け下りて知らせた嘘よりは、はるかに重大な真夜中の通行人たち。節分の夜。小心者の電球は突然に光を失す。石油ストーブの灯りで顔を確認しあった私達は、怪文書ではない黒い一冊の小さな詩集を手にしていた。TVプロデューサーをしているベトナム人の妹が闇の向こうで懸命にドアをノックし続けている。節分の夜、白いふとんが催眠術のように舞い上がる。

///
/////////////////////

初出
1973年7月30日発行
「文学塹壕」第3号
編集発行人:君本昌久
タイトル「詩法・ガンゼル状態」
6.節分の夜

追記:
「文学塹壕」第3号にはどういう偶然か
平田守純柏木薫石上弘美
私の身近な友人達がそろって短編を寄せている。

参照:
平田守純氏が登場する私の日記 ;
平田守純氏と柏木薫氏が登場する私の日記 ; 
柏木薫氏と君元昌久氏が登場する私の日記 ;


石上弘美氏とは、業界紙「観光春秋」の対談でご一緒したことや、ある新年の葛城山登山を共同体験したこと等が思い出される。同行5名だ。ロープウェイを使用したとは言え、石上弘美氏は完全和装、ぞうりを履いての新年登山だった。山頂の食堂でミルク入りコーヒーを飲んで私は強烈な下痢をした。その食堂の壁には、誰がいつ貼り付けたのか、もう茶色く変色したデビュー当時の俳優、津川雅彦氏の写真があった。映画「狂った果実」からのものだろう。
山頂は温度が低い分、時間も保存出来るのだろうか。
石上弘美氏に話を戻そう。大阪ミナミであった佐藤友之の出版記念会で、石上氏が私に近づいて来てこう言った。
石上:「あなたは綺麗なのにどうして3枚目するの?」
Br:「質問の意味がわからない」
石上:「黙っていても男が近づいて来るでしょうに」
Br:「大阪という場では3枚目はエチケットみたいなものよ」
石上:「あなたが3枚目するのは正しくない。領海オーバーよ」
Br:「笑いを取れない大阪人は存在理由が無いのよ」
石上:「変な人ね。注目されたいのではなく笑われたいなんて」
石上氏は淡路島の出身で西宮の水上警察に勤めていた。彼女の祖母は70歳を過ぎてから家出を決行、黙って島を出て行方をくらましたままなのだそうだ。それは凄い。30を少し過ぎて彼女は母親の看病のために故郷に戻っていった。行動力から言えば、その祖母のように、70歳、80歳、90歳になってからでも、彼女なら、家出を決行するだろう。願わくばドラマチックに男と出奔して欲しい。まだまだ先の話だけれど。


5.命日

2008-03-15 11:10:35 | 詩法・ガンゼル状態

-あなたあなたわたしにだけ語りたかった-

///////////////////////

賀茂大橋の上でかがみこんでいる嘔吐を告訴する。賀茂大橋の上でセキこむ中年のアメリカ婦人に角材を贈る。フロイト全集の中から奇術のように咲き出る紅薔薇。最後の舌血一滴をアリゾナへ空輸する。強風吹く賀茂大橋の上で号泣したのは死んだ私の剥製ではなかったか。賀茂大橋の上で立ちすくむ澱んだ飢餓人の叫びを半島の先端で沖縄県人のように吐き捨てよ。ポプラ並木が突然に立ち現れたら、その真ん中を胸を張って幽霊のように歩いていく。死んだ観念のあまりの大きさに戦慄しつづける夏の落葉たち。

///
/////////////////////

初出
1973年7月30日発行
「文学塹壕」第3号
編集発行人:君本昌久
タイトル「詩法・ガンゼル状態」
5.命日

参照:
「文学塹壕」第3号
に関連して


4.大阪

2008-03-14 21:53:55 | 詩法・ガンゼル状態

-私あなたあなたわたしにだけ語りたかった-

///////////////////////

 コークハイを片手に道頓堀橋を歩く。大学はじっと後方で死体を集め、私はあてどなく街中を歩く。かつて父が歩いた大地。かつて母を愛した大地。目を見開いてじっと私をみつめた少女。大阪を愛する詩人が無言で大阪に散らばり、そのスモッグの空の下で流れる赤い血を確かめ合う。空中に宙溜りした水泡の中から、あの人の手につかまり、私ははじめて大阪の地に着地した。人間の言葉や肌、排気ガス、立ち並ぶビル。家は完全に崩壊し、私は人づてに歴史をたどる。四頭だての馬車で御堂筋を走った私の血は死滅し、その確認と同時に、私は他人の心と新しい大阪を得た。花がいっぱい咲いていたし、いろんな人がたくさんいた。もう言葉はいらない。音楽もいらない。混沌とした感動の中で、友よ、あの時私は頭の中のがらくたをかなぐり捨てることができたのです。

///
/////////////////////

初出
1973年7月30日発行
「文学塹壕」第3号
編集発行人:君本昌久
タイトル「詩法・ガンゼル状態」
4.大阪

この時代こうして「大阪」を書きながら私は神戸の「風群文学会」
に所属していた。友達のたくさんいる大阪の詩壇を避けたのだ。
そしてペンネイムを使って小説を書き始めた。
姓は統一し名前の方を作品ごとに変え、連作を書いた。
ひとつのストーリーの流れを複眼で書きたかったからだ。
大勢の登場人物の内面をすべて手にとるように知り尽くす
小説における「神の視点」が気に入らなかった。
後に社会思想社の現代教養文庫に収録された
「帰ろう愛の天使たち」はこれら作品群の中から誕生した。


3. パーティーの会話

2008-03-13 10:10:46 | 詩法・ガンゼル状態

-あなたあなたわたしにだけ語りたかった-


///////////////////////

唇を持つ夜。足音のないパーティー。留学の前夜は微笑。血のたぎる鍋にコインを投げ込め! 乾杯の影でからみつく舌。第九のボリュームを上げ無言の誓いがはじける。夜風のビールが肌で笑っている。思い出してはいけない。あの異邦人の群れを。思い出してはいけない。ひざまずいて指先で触れたものを。

///
/////////////////////

初出
1973年7月30日発行
「文学塹壕」第3号
編集発行人:君本昌久
タイトル「詩法・ガンゼル状態」
3.パーティーの会話

参照:
「文学塹壕」第3号に関連して
追記:
この号には早乙女勝元氏、野坂昭如氏の講演のほかに
吉増剛造氏、福中都生子氏、君元昌久氏等
詩人達のエッセイ、さらにどういう偶然か
平田守純、柏木薫、石上弘美等
私の身近な友人達がそろって短編を寄せている。


2.明白な英知

2008-03-12 09:49:50 | 詩法・ガンゼル状態

-私あなたあなたわたしにだけ語りたかった-

///////////////////////

雪が降る、東一条の電停。吉田山に風が吹き黒マントがひるがえる。からみあうシルエットを石段上に見たならば、問うがいい。京都中の流しのタクシーをしらみつぶしに洗うがいい。夜半五重塔上に燃え踊る大小二つの人魂を見たならば、あなたはそれを宇宙船内に送りとどけるだろう。人類の英知、として。

///
/////////////////////

初出
1973年7月30日発行
「文学塹壕」第3号
編集発行人:君本昌久
タイトル「詩法・ガンゼル状態」
2.明白な英知

参照: 「文学塹壕」第3号に関連して


1.胃薬を必要とする夕立 

2008-03-11 19:49:39 | 詩法・ガンゼル状態

-私あなたあなたわたしにだけ語りたかった-

///////////////////////
 
高い、巨大な樹木、雲にとどくような・立ち並ぶその向こうに裏返った太陽がある。まばらな人影が映像のように動く。ひとつの音を聞こうとする時、いつも決まってそれは「死ねよ!」と告げる。私は聞きたかった。「そこには何があるのですか」と。-
 ひとつ大きなくしゃみをして、乱れた髪を整える。色づいたものがチラチラと立ち現れる。ピストルの音が響く。どこかで喜劇のような血が流れ出し、私は胃薬を飲み始める。振り向いた仮面に、私は安堵する。不意に流れる水滴を頬に感じながら、かすかなせせらぎの源に足を向ける。立ち込める闇の中で夕立が静かに上昇していく。

/////////////////////

初出
1973年7月30日発行
「文学塹壕」第3号
編集発行人:君本昌久
タイトル「詩法・ガンゼル状態」
1.胃薬を必要とする夕立

参照: 「文学塹壕」第3号に関連して


山村祐氏からの返信

2008-03-06 14:21:51 | '69年前後

昭和44年9月12日付けの山村祐氏(豊島区北大塚)からの便りを今日偶然発見して驚いている。

お元気ですか。先日は作品集お送り下さり、有難う。お礼が遅れて失礼しました。あなたの最近の仕事については、短詩No.39「作品特集号」の編集後記でちょっと触れましたが、やりたいと思うことはトコトンまで突き詰めてみることに私も賛成です。「言語本来の存在を主張するこれら放蕩児」の実験についても。ただこの作品集のレイアウトは感心しませんでした。あなたの字はあなたの性格を伝える意味で魅力がありますが、読者の大半は非情なものですから。(あなたの狙っているものが、そこにも(レイアウトに)あることは、おぼろげながら解りますが)
それから短詩型作品に於いて「純粋たる抽象作品」は存在し得るかどうかの実験をもしあなたが、志向しているならば、その経過に私は深い興味を持ちます。それが読者にとって、魅力ある作品として存在し得るならば。それは素晴らしく、しかも困難な仕事になるでしょう。
・・・・・・・・・・・・・・・

私は保存するタイプではないので、こういうものを残していることは、全く忘れていた。これは私がガリ刷りで出した初めての短詩集に対するコメントと思われる。言葉を生命体と考えていた頃で、実験詩に関して、さまざまな意気込みがあったのだろう。
この「作品集A]は「現代詩手帖」で(当時詩集評を担当されていた)安藤元雄氏に、それはそれはボロクソに酷評された。「こんなものを受け入れてなるものか」という強いイラダチと、決して看過できない、伝統破壊のエネルギーを感じられたのかも知れない。

手元にわずかに残った’69年の「現代詩手帖」をペラペラとめくってみると、今月の新人作品欄に、芝山幹朗、帷子耀、等の名前が見える。なんという大昔なんだろう!
数年前四方田犬彦氏が「新潮」にこの帷子耀のことを、書いておられた。今はパチンコ屋チェーンのおやじ(当時15歳)になっているそうだ。それにしても、この時代の「現代詩手帖」はのめり込む程に面白かった!

・・・・・・・・・・・・・・・・・

山村祐氏と交流があった方のかかれた記事を発見。


水平に動くエレベーター

2008-01-29 11:20:15 | 2N世代

 まっすぐ立ってドアが開くのを待つ。それは決まって午後6時を少し過ぎた時のことだ。あるいは2階まではやや長いめのエスカレーターで、あとの5階をエレベーター(それは2つ並んでいる場合と5つの場合とがある。あるいは場所が異なるために2つのトコロと5つのトコロがあるのかも知れないし、また横に並んだ数によって場所を自ら変えているのかもしれない。それはエレベーターの勝手であって、私の関知するところではないが)で2+5階まで行く。それはおそらく午後6時以前に私がその場にいる時だ。

「閉」のボタンを押して私は一人で「移動」する。あるいは沢山の顔と移動するのだろうけれど、・・・とにかく気づくのは西梅田駅気付の売店でした初めての牛乳ビンの立ち飲みと、おつりを待つ手に感じる他人の時間の長さと、その背後を通過する人たちの生活の足音と、犯罪のないうしろめたさと、以前改札口で感じた神戸に到る秘密飛行の二人だけの色彩と、もうすっかりダメになってしまった彼女との関係と、日本で5番目の総合商社入社の彼の話と、日本で3番目のスーパーマーケットのひとつのある場所の「近く」に住む彼の話と、日本でX番目の大学と、東大受験中止の年の京大生薫クンとの出会いと、"Where are you going?"ではじまった「夜」と、中を開けたら空っぽだった彼女のカンズメと、カカオフィズに流れる喘息頓服と大阪駅前第一ビルのケッタイな薬局と、その上のレストラン田舎と点心と、その下のJOJOとその上の、ああその上の・・・。飛行機が飛んでるだけじゃないか! おっこちた。

チラリと流し目を送った。それが合図だったのだけれど、今日のエレベーターにも「窓」がない。物理学実験では足元の感覚と、数式と震える詩人たちの指と、行き先不明の彼の友人と、足元をすくわれ首をくくっている誰かさんのイメージ。夜の京都を歩くグレーのセーター。ラーメン持ち抱えてパリ大に留学した男。サッカーから転身した男。アメリカンフットボールから転身した男。マルクスを捨てた男。私は何も捨てないのだけれど、「窓」のない私を囲むエレベーターだけが、どうしたわけか、水平に動いているのだった。


海を眺むる日々

2007-11-25 19:48:53 | 2N世代

ー養護学校で生活を共にしたすべての旧友たちに捧ぐー
 
しののめの弱き光の 映える頃
 かすかなめざめぞ 生まれつる
 ショパンの調べの さざなみが
 心の糸を 爪弾けば
 たったひとりの 仕合せが
 幼き胸に しのび入る

 あかねさす 昼の太陽のぼる頃
 まぶしき波こそ つれなけれ
 モーターボートの 人々と
 楽しく踊れる 海ゆえに
 一人ぽっちの かなしみを
 かばってくれぬ 海ゆえに

 たまかぎる夕日がかなたに 沈む頃
 焦がれし海ぞ 帰りきぬ
 やさしき母の 輝きに
 愛せられたる わが身こそ
 ひと日暮れ行く その刹那
 まことの幸を 給はらめ

 ぬばたまの夜のとばりの おりる頃
 眠れる海ぞ 消え果つる
 潮のにほひと 波音の
 低き寝音は 聞き知れど
 海の青さは いづくにか
 松のみどりも 消え失せぬ

ー 北助松養護学校にて Bruxelles 12歳の作品ー
作品タイトル「海を眺むる日々」
詩集「2N世代」収録
1971年5月発行  編集・装丁 たなかひろこ
凶地街社(志摩欣也代表)発行 凶地街叢書

////////////////

ある詩人の会合で、ぼんやりロビーに座っていた。
ふと隣を見ると、和服姿の新川和江氏がいらした。
「2N世代」をお渡ししたら、その場でご覧になって
「なかなか素晴らしい」とお褒めのお言葉をいただいた。
詩学の嵯峨信之氏にも
詩作品にも君自身にも可能性を感じるので
大切に育てるように、と
わざわざお手紙をいただいた。
饒舌体が氾濫していた70年前後の現代詩壇においては
内容の評価はともかくとして
このような古典的な詩作品が
新鮮だったことは間違いないと思う。

・・・・・追記:2012年8月27日・・・・・
同学年はひとクラス、ひとクラスに5人
その5人のうち2人がその後2年以内に亡くなった。
「お薬が欲しい、欲しい」と言いながら...

病弱という井戸の中で: そのほかの日々


確かめようと

2007-11-25 19:19:42 | 8.フィール・ブレステ


確かめようと苛立つ秘儀

胎盤をさぐる

生涯の飢餓児ら 

A Voir
A VoirA VoirA Voir : A Voir ;


愛と嫉妬に

2007-11-22 18:10:18 | 8.フィール・ブレステ


愛と嫉妬に

交差する弱き輝き

吐息と吐息に復活する

ミスィングリンク前の楽園

A Ecouter ; A Ecouter ; A Ecouter ;


ジョン・コルトレインから

2007-11-18 17:51:37 | 8.フィール・ブレステ


ジョン・コルトレインから流れ出る

唇・・唇・・

夜の奇襲に戦く

白いからみあい

 A VoirA Voir A Voir A Voir 

A VOIR : plus ;
カメルーン人の友人Pauleに
以前 Miles
が演奏するDesmond TUTU
のCDを頼まれたことがある。
AfricaにおけるDesmond Tutuの
存在の大きさを改めて感じた。
Desmond Tutu ;


途中ながらの「あとがき」

2007-11-03 19:43:36 | あとがき

短詩運動の母体となった「短詩」誌は昭和45年、43号をもって分裂的自爆的廃刊となった。俳句に、短歌に、川柳に、そして現代詩にと、仲間たちは古巣に散っていった。
外来語の流入や日常生活そのものの変化に伴い、日本人の語彙、感性、発想等が明らかに変化してきている。第四の短詩型文学の運動は、いわば時代の要請であった筈なのだが。-
私が短詩から学んだこと。それは文中の各品詞間の力学的関係が、造形的に見えるようになったことである。特にシンボル機能を持つ名詞の存在論的意味の特異性に気づいたことである。方法論としては、動詞の多用、直喩の使用等を特徴とした。作品にエネルギーを吹き込み、有機化するためである。私が個人的に特に、短詩の究極の目標においたのは、言葉の伝達性からの離脱と、イメージの喚起力による言葉の自立である。-
文学が、音楽や絵画とクロスオーヴァーしえる程に、自由で実験的であろうとすれば、イメージの喚起力による言葉の自立に着眼する以外にない、と考えている。
この小冊子発行を機に、第四の短詩型文学を確立させるひとつの方法論として”イメージの自立”を、創造的文学の場で、提唱してみたい。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

タイトル: 「太古という未来」
発行日: 1987年8月7日
発行者: Bruxelles

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

20年前に自作をまとめた「太古と言う未来」という短詩集を出版した。このブログはその作品集をWEB上に視覚、聴覚をクロスオーバーさせながら移し換えたものである。まだ途中で、三分の一程しか打ち込みは完了していない。「短詩」とはどんなものか、広く知っていただき、今後は残り三分の二の打ち込みを完了させるだけでなく、旧同人や新しく「短詩」を始めようという方々の作品もこのブログ上でクロスオーヴァーした作品に仕上げて掲載していきたいと考えている。
「短詩」およびこのブログに関するご質問、ご感想、そしてご投稿等をお待ちしています。

/////////////////

参照 : 短詩講座 
参照 : 言語エネルギー論 (短詩作品の解説例として)
参照 : 1行詩ひと呼吸はどこまで続くか、実験詩