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民主主義

2012年11月05日 | 研究
「民主主義は最高の政治体制である」と言われる。あるいは、「民主主義は最悪だが、他のどの政治体制よりもマシだ」という言い方もある。いずれにしても、今日、民主主義を否定する類の主張は、おそらく非民主的な国においてさえ困難である。マクルーハンは、「民主主義」を古代ギリシャの識字文化によって喚起された思考方法であると言った。アルファベット識字がアテネ人の部族的な伝統を打ち破り、個人を部族から切り離したことから民主主義は生まれたのである。カール・ポパーも同じことを言っている。

「アテネにおいて、ヨーロッパの最初の識字市場が成立したのです。アテネのあらゆる人がホメロスを読みました。それは、ヨーロッパ最初の教科書であり、バイブルでした。ヘシオドス、ピンタゴラス、アイスキュロスそして他の詩人たちがつづきました。アテネの人びとは読み書きを学んだのです。そして、彼らは民主的になったのです」(ポパー/『よりよき世界を求めて』)

ネットリテラシーは民主主義を加速させるのだろうか、それとも衰退させるのだろうか。民主主義が識字文化による幻覚だとすれば、ネット社会において「国家は誰が支配するのか」という問いが改めて問われなければならない。その答えは、「一般意思」でも「一般意思2.0」でもないのかも知れない。

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