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翻訳は隠喩である

2018年08月23日 | 研究

英語の“translation”「翻訳(=移し変える)」の語源は、ギリシャ語の“meta phora”すなわち「隠喩」“metaphor”である。外国語の翻訳もまた拡大された隠喩である。外国語を自国語に翻訳するということは、二つの国の文化が並置され、ひとつの文化をもうひとつの文化を通して「解釈」することである。翻訳は、外国語と自国語の一対一の対応などではない。解釈すればこそ意味が生じてくる。

英語の「マーケティングmarketing」は最も日本語に翻訳しにくい言葉である。ウィキペディアではこうある。

マーケティングmarketingとは、企業などの組織が行うあらゆる活動のうち、「顧客が真に求める商品やサービスを作り、その情報を届け、顧客がその価値を効果的に得られるようにする」ための概念である。また顧客のニーズを解明し、顧客価値を生み出すための経営哲学、戦略、仕組み、プロセスを指す。

日本語にするとなんと長いことか。松下幸之助が、米国で流行しているマーケティング理論について専門家から長々と説明を聞いた後、一言、「要するにお客様は神様です、ってことでんな」と言ったという。名経営者は翻訳(メタファー)が上手い。日本文化を通じて米国文化を「解釈」しているからこそこう言えるのである。
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