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言語相対論の現在

2013年10月17日 | 研究
「サピアはこれをアインシュタインの世界を揺るがす理論になぞらえて、「言語相対論」と名づけた。観測者の外界知覚は--と、サピア流相対論はいう---慣性基準系のみならず、観測者の母語にも依存する。以下に言語相対論がたどった歴史を紹介しよう---不面目に終わった理論の物語である。一度はもてはやされたが、サピアととくにその弟子のウォーフが認識のレベルまでに影響を及ぼすと主張したものが無理なこじつけで、実は文法組織の差異にすぎなかったとわかったとたんに地に堕ちた。いまでは言語相対論が話題になりかけるだけで、大方の言語学者は居心地悪そうになり、「ウォーフの仮説」は概して神秘主義的哲学者や幻想家、ポストモダンの知ったかぶりにとっての言語学的タックスヘイブンになっている」 --『言語が違えば世界も違って見えるわけ』(ガイ・ドイッチャー)--

言語学の主流からは、「サピア=ウォーフの仮説」はトンデモ理論の扱いを受けていることが分かる文章である。「仮説」を他のメディアまで拡張した「メディア論」がアカデミズム内で置かれている立場も似たようなものなのだろう。「メディア論」が現実世界にもたらした影響を考えれば、狭いアカデミズム内の理論闘争などどうでもいいことではあるが・・。
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