△性病検査の様子(本当は一列に並んで)ーPainted by M.Yoshida
・昭和44年4月11日(金)曇り(生まれて初めて『ナニ』の検査を受けた)
昨日、職業紹介所から紹介されたNSW州有鉄道シドニー本社のEmployment Inquiry Office(雇用受付所)へ、指定された時間に行った。私の他に10人程が集まって来た。
所定の説明後、別の部屋にて身体検査があった。体重や身長測定から一通りの検査が終って、ある検査係の所に来たら、「全員服を脱いで下さい。」と言った。皆が脱ぎだしたので私も上着、下着、ズボンを脱いでパンツ一丁になった。他の人達を見ると全員フルチン(何も付けない素っ裸の状態)で、驚くほど脱ぎっぷりがよかった。私はと言えばパンツを履いていたので、「パンツも脱ぐのだ。」と言われてしまった。身体検査でオチンチン丸出しの素っ裸は、今まで過って経験無く、恥ずかしさがあった。それでもって我等10人は、オールフルチンで一列に並んだのであった。多分、他の人から見たら滑稽なシーンであった事であろう。中年の男性検査係は左側から1人ずつ、そのオチンチンを手にとって検査(性病検査)し始めた。私は5番目当たりに並んでいた。
そしていよいよ私の番になって来た。性病持ちでないのに男の人に私のナニを触られるのは初めてで、胸がドキドキであった。『清水寺の舞台から飛び降りる』そんな覚悟で、その瞬間を待った。そして終に検査係りの手が私のナニに触れた。その途端、素早く亀頭を前後左右、そして引っ張って「Good」と言った。それは余りにも手際良い検査であった。私は予期せぬ検査で驚いたが、他の人達は当然の様な顔をしていた。
後刻、YMCAで知り合って親しくしているピーターに聞いたら、「オーストラリアでは身体検査の時、性病検査もある。」と言う事であった。オーストラリアでは色んな国の人々が移住として来るから、性病を持ち込まれても困るので、そっちの方の検査も厳しいのであろう。国が変われば検査項目も異なる、それは当然かも知れないと思った。