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日常のちいさな旅

平 川 渚 Hirakawa Nagisa

作ったもの、見たもの  記録、お知らせ、報告

3ヶ月の間に 7

2009年09月16日 | event
8月22日、23日と大分市アートプラザの「アートマーケット」に参加させてもらって、展示とワークショップを行った。

ワークショップにはたくさんの子どもや大人が参加してくださった。毛糸・ビーズを針で通してくもの巣を作って持ち帰ってもらい、部屋の好きなところに飾ってもらう、題して「巣作りワークショップ」。

それぞれ作り手の個性が出ていて、見ていてとても楽しかった。私なんかより、よっぽど自由でカラフル。かわいい。楽しそう。心が癒された。









 

 

 

  
↑個性的なくもの巣!

素敵な作品をたくさん見れた上、アートプラザのスタッフの方たちが皆さんほんとに気持ちよく対応してくださって、はっきり言ってすごく楽しかった。なんか、私がんばろう、と思えた。アートマーケットに出店していた美術家・Nさんの助言で、次回もしやる機会があったら、それぞれが家でどんなところに取り付けたかを画像で送ってもらって公開していったら面白いのでは、という話になった。またやれるといいな。

3ヶ月の間に 6

2009年09月16日 | event
混浴温泉世界終了後、わくわく混浴アパートメントコーディネーター、遠藤一郎君の展示の手伝いに別府から何人かで種子島と甑島へ行った。

●種子島


皆既日食にあわせて、「時の芸術祭」というイベントが開催されており、空き店舗などにアーティストが作品を展示していた。遠藤チームでは、たまたまみんなで遊んでいた海岸に落ちていたもので構成した宇宙空間を作った。メンバーが拾った一つ一つのものを惑星や宇宙船などに見立て、最後壮大なストーリーが出来上がった。

それと、7月22日の皆既日食当日、種子島宇宙センターのある南端の浜辺で「皆既日食写生大会」を行った。南端なのでぐるっと周囲が海、という場所だった。たまたま日食を見に来ていた小学生の集団がたくさん参加してくれた。その中にいた小学2年くらいの女の子に、「皆既日食って知ってる?」と聞いたら、「うちで飼っている犬の黒目が大きくなったり小さくなったりする だから毎日見ている」と言った。
さまざまな人がさまざまにこの浜辺で皆既日食を迎えていて、絵を描く人は皆既日食の瞬間も絵を描いていた。そういう人に紙と鉛筆を渡すことができてよかったと思った。皆既日食の瞬間、周囲がぶわっと暗くなって、空が圧倒的な力を持って、なんだかわからないけども腕と脚に力がみなぎる感じがした。皆既日食以来、自分が住んでるとこは宇宙の中の惑星のひとつなんだ、という意識が強くなった。

●甑島

甑島では「KOSHIKI ART PROJECT 2009」が開催されていた。そこで遠藤チームは連凧に島民の人たちに夢を書いてもらって、それを空に揚げる、ということをした。私が行ったのは最初の方だったので凧も20mくらいだったけれど、最後は70mくらいのが3本にまでなったらしい。
この甑島というところが素晴らしいところで、独特の景観と空気を持っていた。人間じゃないものもたくさん住んでいそうなところ。参加作家たちは空き家で共同生活をしながら、「作る、食う、寝る」というサイクルでそれぞれ制作をしていた。島の太陽にさらされて、みんなシンプルな顔つきをしていた。









3ヶ月の間に 5

2009年09月13日 | event
混浴温泉世界のファイナルとして、別府市公会堂で「オープン・ルーム」というダンスのイベントがあった。その会場に糸の作品を展示させてもらいました。

6月に入ったくらいの頃、ダンスのディレクターの方がわくわくアパートを見にきてくださり、たまたまそこにいた何人かで立ち話しをしていて、混浴温泉世界はアート、ダンス、音楽とあったけれど、最後にその三つが混ざったものを作りたい、そういう話になった。私もかねがねダンスの方と一緒に何かできないかと思っていたし、別府市公会堂も一年前に展示をした縁もあり、とても好きな場所だった。そして何より、最後に三つが混ざったものを作る、これこそ「混浴」のひとつのありようなのではないか、ぜひともやるべきなんじゃないか、という思いで参加させてもらった。わくわくアパートから私も含めて6人の作家が手を挙げて参加した。準備期間が2日間くらいしかなかったけれど、各作家それぞれ美術担当としてやれることはやった、と思う。参加できて本当によかった。

ひとつ目の作品 ダンサーの森下真樹さんが踊る部屋の隅。
レトロな柄の壁紙、森下さんの赤い衣装、花の冠、そういった雰囲気にあわせて白い糸とビーズを使って作ったものを展示した。



森下さんが即興で蜘蛛の巣に絡んで踊ってくれた。
タワーナイトの時もそうだったけど、自分以外の人が自分の作品に絡んでくれることが、すごく嬉しかった。それだけで、ああ、作ってよかった、と思った。人が関わる様子を見ることで、自分の作品が、確かにそこに存在してるんだ、という実感が持てた。不思議だけれど。


ふたつ目、みっつ目の作品 3階の廊下。
もともとある窪みの部分に糸を張った。この建物と、なんとなく別府の海や海面に反射する光のイメージで、紺や青、金、銀の糸を使った。





最後にダンサーの森下さんと北村成美さんが廊下で踊った。この日たまたま北村さんの衣装が糸と同じ色だった。

このダンスの企画が本当に素晴らしいものだった。公会堂のあちこちで一般から募った「主婦」「おやじ」「若者」「子ども」などのダンサーが踊り、それを観客は館を回遊するように見ていった。なかでも子ども達の演目に感動した。子どもが子どもらしく元気いっぱいいること、その自然のことがダンスになっていた。

ダンスイベントの終了と同時に、混浴温泉世界の閉幕式もこの会場で行われた。終了後、サックスで参加していたYさんの助言もあり、別府市長が会場の糸の作品を見てくださって、この場所にこのままキャプションを付けて残しておいていいということになった。
これは私にとって色々感慨深く、とても嬉しいことだった。市長はアパートの作品も見てくださっていたようで、「あの作品を蜘蛛の巣、と言っていいのかどうかわからないけれど、これまできれいだと思わなかった蜘蛛の巣を、きれいだな、と思いました。これがアートということなのではないでしょうか」とおっしゃった。ご褒美のような言葉だった。

3ヶ月の間に 4

2009年09月12日 | event
混浴温泉世界期間中、「タワーナイト」というクラブイベントが毎週土曜日に別府タワーで開催されていた。その内の一回に会場装飾というかたちで参加させてもらいました。

会場に一夜限りの糸を張り巡らせた。その糸の中でさまざまなパフォーマンスが行われた。






糸の中でダンサーが踊ったり、ライブが行われたり、DJが音を鳴らしたり、お客さんも最後糸と絡みながら踊ってくれたりして嬉しかった。


みんなが踊ってる中で少しずつ糸を増やした

このタワーナイト、混浴温泉世界の会期前から始まり、終了まで全部で13回あった。その毎回毎回が、全く違う内容で、色んなジャンルの色んな表現が繰り出されてた。わくわく混浴アパートメントに参加している作家も、パフォーマンスや音で表現する人が割かし多かったので、毎回のように誰かが出演していた。アパートから出て表現ができる場として、週に一度のとてもいい機会になっていた。そしてアパートでの「展示」というかたちとは別の、様々な出来事が生まれた。
その様子の一部はOitaweb.TVにタワーナイトのアーカイブがあります→http://oitaweb.tv/video/291

会期終了後の現在もタワーナイトは継続されていて、月に一回のペースで開催されている。
次回は9/22(土)「愛と未来と爆弾ナイト」

3ヶ月の間に 3

2009年09月12日 | event
「混浴温泉世界」わくわく混浴アパートメントで、糸の作品とは別に、写真作品も制作しました。

初めてアパートに下見に訪れた時に、この建物自体の力と、2年前までここに住んでいた人達の気配が随所に色濃く残っているのをすごく感じた。管理人室に掛かる各部屋の鍵、鍵にぶら下がる様々なキーホルダー、ふすまの穴を隠すように貼られた草刈正雄のブロマイド、砂壁にささる緑の羽根、ドアに貼られた「ずぐ帰ってきます」の文字・・・生活はお祭りじゃない、自分達はたった2ヶ月やそこらで、この生活感の重みにかなうものができるのだろうか、とまず最初にすごく思った。

4月になってフェスティバルが始まり、掃除がされ、多くのアーティストが入ってきて作品を作るにつれて、このアパートに生命感が注ぎ込まれる一方で、確実に消えてしまうものがある、保存することのかなわない埃だらけの畳の美しさや薄暗い部屋の空気、部屋の住人に残されていったものたちの存在感、そういったものを記録に残しておきたいという思いで制作しました。

「清島アパート」 全40ページ、フイルム撮影










大家のレイコさんがアルバムを見てくれて、当時の思い出を色々と語ってくださった。