10月23、24、25日に静岡県掛川市大須賀の横須賀街道で開催される「第11回 遠州横須賀街道ちっちゃな文化展」に参加するため、先月上旬と先週、下見に行ってきた。

御前崎と富士山
このイベントは私が大学生の時から、かれこれ8年前から参加させていただいているもの。初回はgallery sensenciから数人で参加、次は小品を出展、2004年から2008年までは野外で「アートかくれんぼ」という企画を行った。
そして今年、初めて一人でブースを借りて展示をさせていただくことになった。
会場は、大須賀の方々の精神的支柱となっている三熊野神社正面、戸塚さん宅倉庫。

右側の建物が会場

三熊野神社
ここは、今回初めて文化展にブースとして貸してくださることになった場所。だからまだ倉庫の中に、ものがたくさん詰まっている。こたつ布団、衣装ケース、雛人形の箱、家紋が入った番傘や提灯などもある・・・
家の方によると、母屋とこの倉庫は昭和9年に建てられたものであるらしい。

こんな文字が壁に残っていたりする。
最初の下見から帰って、色々考えて、ここが初めて使われる年は、私がここに自分が作ったものを持っていくよりも、ここにあったものを使うべきなのではないだろうか、と思った。
それで掃除がされる前にもう一度行き、倉庫の中にあったものを一品ずつ、肖像写真のように撮影してきた。
写真の技術など全くないけれど、一品一品心を込めて撮る、それだけ頭に置いて撮っていった。
撮っている最中、お家の方が様子を見に来る、近所のじいちゃんが通りすがる、すると撮っているモノについて話が始まる。本当は、こういう話が一番面白いのだと思う。これをどう作品に変換できるか?
2日間で撮影をしたのだけれど、気づいたら母屋のお宅に上がりこんで、家族の方と一緒にラーメンを食べる、家系図を見せてもらう、家族のアルバムを見せてもらう。作品作りというものを通して他人の私がこんなに関わらせていただける、ということはすごいことだと思う。
初回の下見の際、同じく文化展に参加される乾久子さんにお会いすることができ、少しの時間だったけれど内容の濃いお話をすることができた。乾さんが訪れた越後妻有アートトリエンナーレのこと、ミュンスター彫刻展のこと。ここで何をするべきか。もう一度下見に来ることにつながった。
2度目の下見では2軒隣の永田材木店で出展されるgallery sensenciの柴田さん、森妙子さんにお会いすることができた。gallery sensenciは初めて作品の発表をさせていただいたギャラリー。柴田さん夫妻には大学の時から本当にお世話になっているし支えていただいている。森さんは乾さん同様、心から尊敬するアーティスト。尊敬するアーティスト、大好きなアーティストが静岡にはたくさんいる。全部sensenciで繋がった人たち。
今や全国に町を使ったアートイベントがたくさん溢れている中で、この「遠州横須賀街道ちっちゃな文化展」のあり方は貴重だと毎年参加させていただく度に思う。呼んできたキュレーターやディレクターがいるのではなく、「横須賀倶楽部」という町のかっこいいおじさんたちが何から何まで全部作っている。その働きっぷりがすごい、町への誇り、愛情がすごい。結局こういうことが人を動かすのだとつくづく思う。
毎年開催して今年11年目となるこのイベント、参加させていただけることが本当に嬉しい。