6月29日、久方ぶりに見る島は、目の覚めるような緑に包まれて、あちこちに点在する赤や白の建物、真青の海、とても綺麗だったなあ。
私達の船の横に、ハーゲンクロックの旗を立てた、ドイツの潜水艦が一隻停泊していて、水兵が私達に手を振っていた。
朝入港して、軍装を整えて夕方上陸、宿舎まで行軍。夜の昭南の町には電灯が輝き、私達をびっくりさせた。宿舎までは随分遠かった。田口上等兵は
「自分はもう歩けません」と、すっかり参って道路端にうずくまろうとした。
「この馬鹿野郎!」引率者のゲンコツが飛んだ。歩こうとするが駄目らしい。仕方がないので、周りの者が銃を担いでやったり、背嚢を背負ったりしてやったが、それでもヒョロヒョロとして歩く始末だった。
そして、とあるガラス戸の広い間口のある店先で小休止が出た。へたへたと座りそうになる周囲の者に、
「腰を下ろしてはいかん、立てなくなるぞ」と言ったが、殆どがアスファルトに腰を下ろして休憩したが、私は立っていた。
「出発!」の号令で直ぐ立てた者は少なかった。大半は手を引いてもらったり、銃を杖にヨロヨロと立ち上がったりして、足を引きずり、ビッコを引きながら、歩き始めた。 こんな時、足を地面から離して休憩をすると、今度歩き始めると、足の裏に針でも刺さるようにチクチクして痛むのだ。
私達の船の横に、ハーゲンクロックの旗を立てた、ドイツの潜水艦が一隻停泊していて、水兵が私達に手を振っていた。
朝入港して、軍装を整えて夕方上陸、宿舎まで行軍。夜の昭南の町には電灯が輝き、私達をびっくりさせた。宿舎までは随分遠かった。田口上等兵は
「自分はもう歩けません」と、すっかり参って道路端にうずくまろうとした。
「この馬鹿野郎!」引率者のゲンコツが飛んだ。歩こうとするが駄目らしい。仕方がないので、周りの者が銃を担いでやったり、背嚢を背負ったりしてやったが、それでもヒョロヒョロとして歩く始末だった。
そして、とあるガラス戸の広い間口のある店先で小休止が出た。へたへたと座りそうになる周囲の者に、
「腰を下ろしてはいかん、立てなくなるぞ」と言ったが、殆どがアスファルトに腰を下ろして休憩したが、私は立っていた。
「出発!」の号令で直ぐ立てた者は少なかった。大半は手を引いてもらったり、銃を杖にヨロヨロと立ち上がったりして、足を引きずり、ビッコを引きながら、歩き始めた。 こんな時、足を地面から離して休憩をすると、今度歩き始めると、足の裏に針でも刺さるようにチクチクして痛むのだ。