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拾い読み★2018-011≪コラム記事≫

2018年01月11日 19時37分49秒 | マリーンズ2018

【伊東勤の野球論】我が強くなる前に教え込んだ炭谷&田村

 今年からスポーツニッポン新聞社の評論家に就任した伊東勤氏(55)が、現役22年、監督歴9年で培った勝者の「野球学」を連載で紹介します。「捕手編」から「最強チーム編」まで全5回。選手、監督時代を通じて15度のリーグ優勝と9度の日本一を経験。試合を知り、勝利を知り尽くした伊東氏の野球哲学を伝えます。

 《(1)捕手編》

 捕手は「いかに犠牲になれるか」に尽きる。自分のことは二の次、三の次で、投手、チーム、相手打線を最優先に考える。私も自分のことを考えられるようになったのは、正捕手として試合に出られるようになって3、4年たってからだった。

 監督になってチームづくりをするとき、最初に捕手を決めた。捕手は監督の分身だし、そこが落ち着かないとチームも落ち着かない。西武では06年に高卒1年目だった炭谷を開幕捕手に抜てきし、ロッテでも高卒の若い田村を重用した。それは「捕手は我が強くなる前に教え込む」という持論から。大学、社会人で実績ある選手はいいところもあるが我も強い。捕手は頭が柔らかいうちに徹底して教え込むことが肝心だと思っている。

 その点で炭谷も田村も純粋だった。5年間見てきたが田村も捕手らしくなってきた。今はイケイケからの転換期。今は苦労して苦労すればいい。

 捕手に一番大事なのは構え方。安定感のある、投手が安心して投げやすい構え方をしないといけない。ソワソワしていると投手に伝わる。そして決してボールを後ろにそらさないこと。走者が三塁にいても投手が安心して変化球を投げられることが捕手には必要だ。

 現役選手ではソフトバンクの甲斐、オリックスの若月あたりは成長している。とくに甲斐は昨秋に侍ジャパン(アジアプロ野球チャンピオンシップ)で接したが、性格の強さを持ちながら投手に対して謙虚さを感じた。

(スポニチ)

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井口資仁の感じた「日米メディア」報道の差

「BEST T! MES」連載30問30答、2018年最初に登場するのは2017年の雪辱を期す千葉ロッテマリーンズの新監督・井口資仁氏。日本野球、メジャーリーグとさまざまな「野球」を知る井口氏に「メディア」に違いがあるかを聞いた。

メディアと信頼関係を築くために重要なこと

 ファンとの距離に似たような日米の違いは感じますね。

 米国にもパパラッチのようなメディアは存在しますが、基本的にはスタジアムの外で記者やカメラマンに追い回されるようなことはありません。

 米国の野球メディアが取材をするのはスタジアムのみ。そのために試合前と試合後の決まった時間内で、ロッカールームをメディアに開放していて、そこで選手たちはどんな質問も受け付ける、という約束になっています。

 日本でも同じようにロッカールームを開放すればいいという意見があるのは知っていますし、僕自身もできるのであればオープンにすべきだという考えです。でも、現在のような選手とメディアの関係だったら、まだ実現するのは難しいでしょうね。
 ロッカールームは、そもそも着替えなどをするプライベートな空間です。選手の立場から言わせてもらうと、今すぐにロッカーを取材オープンにした場合、たとえば「〇〇選手のロッカーは汚い」などと書かれてしまう可能性がある。他にも、ロッカー内では選手のほとんどが裸のような状態ですから、そんなことまで記事になってしまうのでは……と思ってしまうところがあります。

 もちろん、信頼関係はお互いに築くものだから、ロッカールームがオープンになれば、選手にもプロとしてメディアの質問に真摯に答えるという姿勢がより求められることになるでしょう。選手とメディアが、それぞれの言い分を理解して前に進んでいく。選手にとって、メディアの先にはファンがいるわけですから。個人的には、1日でも早く、ロッカールームをオープンにできるくらいの信頼関係を築いていきたいとは思いますね。


戦犯を探すかヒーローを探すか

 もう一点、メディアに関しては、その報じ方にも日米の違いを感じています。
 たとえばサヨナラ決着の場面。米国では打ったヒーローにだけスポットライトを当てることが多いような気がしますが、日本では、打たれたピッチャーの表情まで、写真を使ったりしてかなり詳しく扱いますよね。言葉は悪いですけど、「戦犯は誰だ?」みたいな感じに受け取ってしまう選手もいるわけです。

 試合後に出す監督のコメントにも同じような傾向があります。メジャーリーグの監督は、自分の采配について話すことがメインだけれど、日本の場合は、敗因について選手個人の名前が挙がることがある。それが、メディアを通した監督のメッセージだという考え方もあるそうですが、僕はあまり賛成できません。自分の言葉がきちんと伝わればアリだとは思いますが、コメントを切り取られたりして、こちらの真意が選手に伝わらない場合もあるでしょうからね。

 それに、次の日のスポーツ紙に自分の名前が戦犯として掲載されているのを見たら、選手は気分を悪くします。今だったらインターネットがあるから、帰宅するころには、もうそういう記事が上がっている。たとえ、その選手のミスが原因で負けたとしても、それはその選手自身が一番身に染みていることなんです。

 北海道日本ハムファイターズの栗山英樹監督は、負け試合の後、必ずと言っていいほど、「監督の自分の責任」とコメントしています。選手のミスで負けた試合まで「自分が悪い」と言うつもりはないですが、決して選手に責任を押し付けない姿勢は見習いたいです。自分が敗因だと理解している選手も、そこで自分の名前が出なかったことをありがたいと感じるはずですから。

 もちろんいいことばかり報じてほしいわけではありません。日本には日本なりのメディアとの関係があって、その先にいるファンとの関係がある。もちろん選手との信頼関係も必要です。新しい時代のメディアとの関係もしっかり築いていかなければいけないと思っています。

〈明日の質問は…「Q8.日米でプレーされて感じる「野球技術」の差はなんでしょうか?」です〉

構成:田中周治

(BEST T! MES)

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前ロッテ・田中英 環境に左右されない「トッププレーヤーのすごさ肌で感じた」

【第2の人生へプレーボール】

 史上初の京大出身プロ野球選手として注目を集めた前ロッテ・田中英祐投手(25)は、わずか3年の現役生活でユニホームを脱いだ。野球人生にも区切りを付け、今春からプロ入り時に一度は内定を辞退した三井物産に入社する。思うような活躍ができなかった秀才右腕の苦悩と決断を追う。

 ◇  ◇

 田中は現在、4月1日の三井物産入社に向けて準備中だ。

 プロ野球は自主トレ便りが届くようになった。114人のルーキーたちもまた、寒気の中で熱い息を吐いている。野球の無名校出身者がいれば、東大法学部の日本ハム・宮台もいる。

 宮台は同じ高学歴で注目を集めそうだが、田中は「自分はプロで結果を残せていないので、安直にアドバイスできる立場にはないと考えています」と話しながらも、キッパリと言い切った。

 「ただ私が言えることは、私にとってプロで野球ができたことは本当に貴重な体験だったということです」

 17年10月3日、田中は球団幹部から戦力外を通告された。「今年は勝負の年になると思っていた」と覚悟はしていたが、秋風がやけに身に染みた。

 その田中に3年前に内定を辞退した三井物産の採用担当者から「もう一度、就職試験を受けてみないか」との誘いがあった。

 田中のプロ3年間の成績は2試合で0勝1敗、防御率13・50。15年5月1日の日本ハム戦を最後に1軍から姿を消した。

 田中はプロ野球の壁をこう振り返る。

 「自分の良い状態を環境に左右されず、1年間通して維持する難しさを痛感し、それを何年にもわたって続けるトッププレーヤーのすごさを肌で感じた」

 話題先行でイップスにも陥った。それでもサイドスローに挑戦するなど、厚く高い壁を越える努力を重ねた。

 人生100年時代にあって、3年間はある意味有意義な“社外研修”だった。採用を決めた三井物産の懐の深さがうかがえる。田中は「世界中の挑戦する人たちのために社会に新たな価値を提供したい」と入社後を見つめる。

 さらばプロ野球、とは言わない。「今後はプロ野球ファンとして、陰ながら応援させていただきたいと思っております」-。

  ◇  ◇

 田中 英祐(たなか・えいすけ)1992年4月2日生まれ、25歳。兵庫県出身。現役時代は右投げ右打ちの投手。白陵から京大を経て、14年度ドラフト2位でロッテ入団。15年4月29日・西武戦(QVCマリン)でプロ初登板初先発(敗戦)。17年10月に戦力外通告を受け現役引退。今春から三井物産に就職。

(デイリー)



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