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今、自分が出来ること。やれること。それを精一杯やっていかなくちゃ!!

コラム記事【6/27~29】

2023年06月30日 00時58分40秒 | マリーンズ2023
≪6/27≫


 ロッカーは静まり返っていた。6月18日、横浜スタジアムでのベイスターズ戦。デーゲームで行われた試合は1対6で敗れた。吉井理人監督は試合後、コーチミーティングに参加をし、その後、監督室でタブレットに試合を振り返り、レポートにして打ち込んだ。勝っても負けても行う作業だ。気づけば、周りには誰もいない。浴室で湯船に浸かり、敗戦の気持ちを切り替え、もう誰もいないと思いながらも選手ロッカーを覗くと一人だけ選手の姿があった。この日、先発をして6回を投げて被安打6(1本塁打)、4失点で敗戦投手となった佐々木朗希投手だった。うなだれるように座っていた。

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 「落ち込んでいるように見えた。少し話をした」と吉井監督。

 投手コーチ時代はよく2人で話をしたが、監督になってから、このように2人きりで話をする機会はあまりなかった。試合前練習で練習を見ながら、ちょっと声をかけたりする程度。久しぶりに2人だけで話をした。

 「責任感の強い子だから。ただ、ピッチャーは打たれることはある。ホームランもある。特に横浜スタジアムは狭い球場。その中でギリギリのホームランだった。色々と反省点はあるとは思うけど、あまり思い込まずにやってほしい」と吉井監督は振り返る。

 吉井監督はコーチ時代から選手たちにいつもパーフェクトを求めないでいいと伝えてきた。「グレートでなくていい。グッドでいい」。ピッチャーはどうしても完璧な投球を追い求め、結果、苦しくなる。実際、一年間で完璧な投球ができるのは、数えても数回あるかないかだ。だからこそ、いつも多少、ゆとりを持った結果を選手たちに目指してほしいと考えている。

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 ファイターズの投手コーチ時代には完璧を求めるあまりに苦しい投球が続く投手に「バカボンのパパのようになれ」と珍しいアドバイスをしたことがあった。唐突なアドバイスにキョトンとする投手に「いつも、バカボンのパパのように『これでいいのだ!』と言いながら投げて見なさい」と付け加え、ニヤリと笑った。それ以降、その投手のピッチングに余裕が生まれ、結果が出るようになったという。

 佐々木朗希は21歳の若さで日本中の注目を一身に浴びている。マリーンズのエース投手として背負っているものはあまりにも大きい。おのずと、どうしても完璧な投球、理想のボールを追いかけてしまいがちになるが、指揮官は「これでいいのだ!」といつも優しい目で見つめている。悔しさと反省が残った交流戦最後の先発登板。そこから若者が指揮官とロッカーで2人だけで話をした言葉を胸に、さらにどのような成長を遂げていくのだろうか。

(千葉ロッテマリーンズ広報 梶原紀章)

(千葉日報)

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≪6/28≫


 「自分は長打をアピールしないといけない。最近は単打が多くて、そこは悩んでいるんですけど、もっと長打を打てるように自分で考えていきたいと思います」。

 26日に行った取材でこのように現在の心境を吐露していたロッテ・山本大斗が27日の日本ハム二軍戦で、本塁打を放った。

 0-1の8回二死一塁の第4打席、根本悠楓が1ストライクから投じた132キロのフォークを捉えた打球は、レフトスタンドに突き刺さる第5号逆転2ラン。この一発でチームも2-1で勝利した。

打撃フォーム改造

 山本は開幕二軍スタートだったが、5月24日に今季初昇格を果たすと、同日の西武戦で『7番・右翼』でプロ初スタメン出場。10-1の7回二死一塁の第4打席、青山美夏人が1ボール1ストライクから投じた3球目の143キロストレートをショートへ内野安打を放ち、これが嬉しいプロ初安打となった。

 27日のソフトバンク戦に『7番・右翼』で先発出場し3打数0安打2三振に終わると、翌28日に一軍登録を抹消。現在は再昇格を目指しファームで技術向上を図っている。

 「一軍から落ちてきて、サブローさん、内田さん、堀さん、栗原さんに見てもらって、もっとリラックスして構えて、リラックスした状態から一発でスイングするバッティングを練習しています」。

 ファームに降格してから打撃フォーム改造に着手。一軍の投手経験をした中で打撃フォームを変更した方がいいと、山本本人の中で感じたのだろうかーー。

「上がった時に力が入ってしまってどうしてもいつも仕留められていたボールが仕留められなかったり、空振りになったりしていた。力まないフォームというのを追及してやっています」。

 打撃フォームを改造してから、外角のボールソーンに逃げていく変化球に手を出さず、見逃すシーンが増えてきたようにも見える。

 「そこもしっかりボールに対して、バットを一瞬で出せるというのができている時はできるようになってきたので、ボールを見る時間が長くなってそういうところも選球眼も上がっているのかなと感じています」。

右方向への意識

 今季は自主トレから逆方向を意識して打撃練習を行い。開幕から“右方向の長打”が増えた。打撃改造前ではあるが、4月2日の日本ハム二軍戦で、0-1の初回一死一塁の第1打席、吉田輝星が0ボール2ストライクから投じた3球目の外角134キロフォークをライトへ放った逆転2ランは素晴らしかった。

 右方向の長打について山本は「バッティング練習からセンターから右中間を意識して打っているので、そのバッティング練習の意識でしっかり入っているのかなと思います」と話し、現在も打撃練習から逆方向を意識している。

 「ここでやってきたこと、この間上がった時に一軍ではできなかったので、もっと自分が試合でも緊張感を持って、想定してやるのが大事なのかなと思います」と山本。

 ファームから昇格した選手たちが、池田来翔をはじめ一軍で活躍している。「他球団を見ても同級生が活躍していたりとか、正直自分のいまの立ち位置でも焦っているというか、もっと結果を出さないといけないなと、常に思っています」。次回昇格したときに、結果を残すため、今は一軍で戦える準備を続けていく。

取材・文=岩下雄太 

(ベースボールキング)

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≪6/29≫


 ロッテの鈴木昭汰がファームで抜群の安定感を誇っている。

 5月24日のヤクルト二軍戦から3試合連続で失点していたが、6月11日のDeNA二軍戦から現在7試合連続無失点中。28日の日本ハム二軍戦では、4-3の4回二死一、二塁の場面で登板すると、田宮裕涼を148キロのストレートで空振り三振。イニング跨ぎとなった5回は先頭の奈良間大己を149キロのストレートで見逃し三振、山田遥楓を149キロのストレートで見逃し三振。鈴木は1回、0安打、3奪三振、0失点という投球内容だった。6月8日の楽天二軍戦で石原彪に本塁打を打たれたのを最後に打者27人・9イニングを投げ、被安打0、与四球0、奪三振12と、ノーヒットピッチングを継続中だ。

 特にここ最近の投球を見ると、ストレート、スライダー主体の投球で抑えている。28日の日本ハム二軍戦は全12球中10球がストレートだった。本人も「真っ直ぐの強さとインコースをテーマに挙げてやっていますね」と話し、「自分の良さをしっかり出せてはいるかなと思います」と手応えを掴む。

 ここ最近抑えている要因について鈴木は「サブローさんからよく助言をもらいますし、ピッチングコーチの大谷さんをはじめよく助言をいただくので、それが良くなってきているのかなと思います」と教えてくれた。 

「今やっている試合で取り組んでいることだけですね。あとはそれをいくら二軍でやっても意味がないので、上でやらないといけない。しっかり上でやる準備をここでやっているという感じですね」。

 一軍の左のリリーフは現状、坂本光士郎のみだが、リリーフ陣は益田直也、ペルドモ、澤村拓一、西村天裕、東妻勇輔、岩下大輝、横山陸人と層が厚くなりつつある。

 「あまり先を見ずにしっかり1試合、1試合、積み重ねていくしかない。頑張ります!」。ファームで圧倒した投球を続ける鈴木は、いつ一軍から声がかかってもいいように腕を振っていく。

▼ 打者27人連続無安打
6月8日vs楽天
入江:捕邪飛
平良:左飛

6月11日vsDeNA
上甲:一ゴロ
西巻:遊ゴロ
森:二ゴロ
田中俊:遊直
勝又:空三振
蝦名:一飛

6月15日vs西武
齋藤誠:空三振
山野辺:右飛
蛭間:遊ゴロ

6月17日vsソフトバンク
ガルビス:遊ゴロ

6月18日vsソフトバンク
勝連:三ゴロ
井上:見三振
正木:遊飛

6月21日vs巨人
増田陸:見三振
中 島:空三振
浅 野:見三振
萩 尾:三失
菊 田:遊併
石川:空三振

6月25日vs楽天
茂木:空三振
黒川:空三振
横尾:遊飛

6月28日vs日本ハム
田 宮:空三振
奈良間:見三振
山 田:見三振

取材・文=岩下雄太

(ベースボールキング)

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≪6/29≫


「コ・バ・ヤ・シ・セ・イ・ジ!」

 交流戦で読売ジャイアンツを本拠地ZOZOマリンスタジアムに迎えての初戦の練習後。C.C.メルセデス投手は元同僚・小林誠司捕手の姿を見つけると、茶目っ気たっぷりに何度も呼びかけて再会を喜んだ。

 昨季まで5年間在籍したジャイアンツでは通算29勝。今季から加入したマリーンズでは、序盤こそ白星に恵まれなかったが、5月14日の日本ハムファイターズ戦で移籍後初勝利。6月の交流戦でも2勝をあげるなど、先発ローテーションの一角として白星を重ねている。

 そんなメルセデスの来日のきっかけは、2016年オフの母国・ドミニカ共和国で行われたジャイアンツのトライアウトだった。「会場には本当にたくさんの選手がいたよ。正直、ここから選ばれるのは大変な事だと思っていた」と懐かしそうに振り返る。

「ジャイアンツのトライアウトを受けたとき、もしこれでダメだったら、野球はやめようと思っていた。それ以前に沢山のトライアウトを受けた。そのたびに同じような気持ちだったけどね」

リゾートの街、自宅の前に野球場

 ドミニカ共和国のラ・ロマーナ出身。海沿いのリゾート地で多くの別荘が並ぶ場所だ。

 元々、自宅の目の前に野球場があったことから自然と野球を始めた。地元出身のメジャーリーガーとしては、MLB通算424本塁打のエドウィン・エンカーナシオンがいる。憧れていたのは投手ではランディ・ジョンソン投手、野手ではマニー・ラミレス。そんな人たちがプレーした夢の舞台・アメリカでチャンスを掴もうと色々な事にチャレンジした。利き腕ではない右で投げたこともあった。野手にもチャレンジし、色々なポジションにも取り組んだ。キャッチャーをしたこともある。それほど貪欲に夢を追いかけた。

 そんな努力が報われ、タンパベイ・レイズに才能を見込まれたメルセデスは2012年からアメリカに渡った。最初はルーキーリーグ。慣れない異国の生活は戸惑いの連続だった。 

「同じラテン系の選手は多かったけど英語は分からない。早く球場に行ってトレーニングをして、英語の勉強もしないといけないし、家に戻って自分で料理も作らないといけない。最初は困難な事が多かった」

 結局、マイナー止まり。メジャー昇格することは出来ず、失意の中、母国に戻る。

 日本との縁はこのころからあったのかもしれない。母国に戻って、野球をやめようかとも思ったが、もう一度野球をする機会を得た。2016年に広島東洋カープのドミニカアカデミーでプレーをすることになる。ここでメルセデスはコントロールを磨く。

「月曜日から金曜日まで毎日、ブルペンに入ったんだ」と、毎日100球近く投げ込んだ。それは今まで経験したことがないことだっただが、そのおかげで力を抜いて投げるピッチングフォームを確立。現在のような制球を身につけた。そして、その投球術がジャイアンツのトライアウトでも光り、2017年に育成選手として日本に渡った。

「納豆以外ならなんでも食べられる」

 ジャイアンツでは選手寮に入り、日本の若手選手と寝食を共にした。異国の生活に慣れるにはその土地に溶け込むことが大事であることはアメリカでの日々で学んでいた。だから選手たちと積極的に会話を重ねながら日本語を覚え、初めて見る食材も多かったが食堂で出される日本料理にもチャレンジした。

「日本の文化やスタイルに溶け込みたいと考えていた。納豆以外ならなんでも食べられる。美味しいよ」

 それは野球でも同じ。クイックはもとから出来る方だったが、開きが早いフォームを指摘され、足のあげ方などに工夫をこらし、徐々に日本型のスタイルを身につけた。2018年に支配下登録され、ローテーション投手として活躍した。 

 メルセデスが感謝するのはリードをしてくれた捕手陣。当時は小林、大城卓三、宇佐見真吾(現・中日ドラゴンズ)が主にマスクを被ってくれた。特に小林はいつも「ナイスボール!」と言って気持ちを乗せてくれた。
「とても面白くていい人。彼はボクのその日の一番いいボール、自分が自信あるボールを中心に配球を組み立てて投げさせてくれる捕手だった。自分の得意球であるスライダーとカーブをうまく使ってくれた。とても助かったよ」

 2018年7月10日、神宮球場でのヤクルトスワローズ戦で来日初勝利をつかむと、その約1カ月後の8月2日の横浜DeNAベイスターズ戦では初の完投勝利。初完封も同年8月24日に東京ドームで行われた阪神タイガース戦で記録した。この日は打っても左中間にタイムリー2ベースを放ち、初打点も記録したことで思い出深い。この時のウィニングボールとユニホームは母国の自宅に飾ってある。そんなふうにトントン拍子に成功を重ねていった。 

「ジャイアンツでは速い球で、勢いだけで抑えるのがピッチングではないことを学んだ。低めを中心に自分のボールを投げることが出来れば抑えることは可能。興奮しすぎることなく冷静にチームメートを信じて投げることを覚えたんだ」

岡本、戸郷とは今も「思い出は永遠」

 メルセデスは今季から戦いの場をパ・リーグに移した。それでもかつてのチームメートとの交流は続く。

 来日した際、岡本和真内野手に「日本に戻ってきたよ」と連絡し、健闘を誓い合った。戸郷翔征投手がWBCで好投した際には「ナイスピッチング!」とメッセージを送った。

「(マリーンズに移籍してからも)色々な人から連絡をもらったよ。オープン戦で初登板した時も連絡をもらった。チームが違えど、思い出は永遠だし、友情も大切にしたい」

 懐かしの古巣との対戦となった5月31日のジャイアンツ戦では、冷静を売りにする男が珍しく力んでしまった。初回から150キロ超えを連発、3者連続空振り三振という最高の立ち上がりだったが、初回から飛ばしたことで徐々に球威を失った。2回に1点を失うと、その後も失点を重ねて5回4失点で無念の降板。

「ついつい力んでしまったね。あれは自分の本来のあるべき投球ではなかった。凄く反省をしている。ジャイアンツ時代に学んだことと、まったく逆の事をしてしまったよ」 

 原点に戻ったメルセデスは、次の登板となった6月7日のスワローズ戦
(ZOZOマリンスタジアム)では7回無失点の好投で今季2勝目を挙げると、同16日のベイスターズ戦(横浜スタジアム)でも7回を2失点に抑えるピッチングで3勝目を挙げた。いずれも力みないフォームからスライダー、カーブを中心にテンポよく低めにボールを集める見事な投球。それこそジャイアンツ時代に培った投球スタイルだった。

「これからもチームの勝利に貢献したい。自分が投げている試合で10試合以上は先発として勝ちに繋げたいね。そして優勝したい」
 悲願のリーグ優勝。そしてその先にもう一度、日本一を決する舞台での古巣との対戦を夢見ている。

 熱心なクリスチャンとして知られるメルセデス。朝と夜、聖書を読み、心を落ち着かせる。自身のグラブには『GOD IS GOOD』と刺しゅうが入れられている。いつも神に感謝をすることを忘れない。神が導いてくれた日本という活躍の舞台。今は千葉で、マリーンズの優勝のために全力でボールを投げ続ける。その先に最高の感動が待っていることを信じている。

クリストファー・クリソストモ・メルセデス
(Cristopher Crisostomo Mercedes)

1994年3月8日生まれ、ドミニカ共和国出身。2012年からMLBタンパベイ・レイズのマイナーでプレー。16年は広島のドミニカアカデミーに所属し、同年オフに巨人の海外トライアウトを受験。17年に育成選手として入団し、翌年から支配下登録。21年にはドミニカ共和国代表として東京五輪に出場し、同国初のメダル獲得に貢献した。23年に千葉ロッテマリーンズ入団。188cm、82kg。左投げ、両打ち。憧れの選手はランディ・ジョンソン

梶原紀章 (千葉ロッテ広報)

(Number)


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