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今、自分が出来ること。やれること。それを精一杯やっていかなくちゃ!!

コラム記事【5/21~5/23】

2024年05月24日 02時04分14秒 | マリーンズ2024
≪5/21≫


 「良くも悪くもという感じですね」

 ロッテの西野勇士は、開幕してからここまでの投球をこのように振り返る。今季は5月19日終了時点で、6試合・36回2/3を投げ、3勝3敗、防御率3.44。

 14日のオリックス戦では「取りたい狙った打球を打たせることができていたのかなと思います」と、4-1の3回に先頭の宗佑磨にセンター前に運ばれるも、一死一、二塁でセデーニョをカーブで遊併、続く4回も先頭の西川龍馬に安打も続く紅林弘太郎を1ボール1ストライクから142キロのシュートで遊併に打ち取るなど、走者を出しながらも粘りの投球で、5回、6安打、1失点に抑え、3勝目を手にした。

 ゴロを打たせてダブルプレーに取ったで言えば、今季2勝目を挙げた4月17日の西武戦の初回もそうだ。初回先頭の長谷川信哉を2ボール2ストライクから6球目のインコースシュートが抜けて死球、一死二塁で外崎修汰の初球インコースに投げようとしたシュートが真ん中に入り左安とインコースのシュートを思うようにコントロールできていないように見えたが、続くアギラーを1ストライクから2球目の外角のスライダーで三併で打ち取ったのはさすがだった。 

 西野本人は「何が良くて、何か悪いという時が絶対にあるんですけど、その場でできるだけ判断して使っていくのが大事なのかなと思います」と、常々話す、“何かがダメでもそれを補う球種がある”、“どの球種でも勝負球にできる”強みを活かした投球となった。

 立ち上がり操れていなかったシュートも同日の西武戦では、4回以降に多投し凡打の山を築いた。投げながら調子を取り戻すことが可能なのだろうかーー。

 「感覚的な部分なんですけど、投げていく中でうまく直していくのができないと能力というか、先発として必要な能力なので、投げている中でよくなることは多々あります。他の球種も含めて」。

 ストレート、フォーク、シュート、スライダー、カーブを持ち球にしているが、その中で今季特に良いと感じる球種はあるのだろうかーー。

 「その時によるんですけど、那覇の時はシュートとスライダーが良かった。トータルで真っ直ぐが良い日が少ない。タイミングが合わないというか、そういう時が多い。そこが一番良くなったら、もうちょっとパフォーマンスが上がってくるのかなと思うんですけど」。

 西野自身の中でストレートが良いと感じる登板は少ないという。「あんまり調子が良くないかもしれないですけど、真っ直ぐを見せていかないとその後にフォークが効いてこなくなる」と、武器であるフォークを活かすためにはストレートを序盤から積極的に投げていく必要があるという。

 そのフォークに関しては、「悪くはないですね。ちょっとばらつきもあるんですけど、落ちもしっかり落ちていることも多くて、割と調子の良い球もあるのかなと思います」と自己分析する。

 昨季は登板間隔を空けての先発が多かったが、今季は中6日での先発もあり、今週は前回登板のオリックス戦から中6日での先発。「キツイとも感じていないですし、しっかり中6日で投げていたい気持ちはあります」と、中6日で先発することは全く問題ない。

 「本当はもっとイニングを稼ぎたいんですけど、そこでしっかり貢献できたらいいかなと思います」。理想は少ない球数で長いイニングを投げること。今週も週頭の火曜日に先発する。1イニングでも長く投げて、リリーフ陣にバトンを繋げたい。

取材・文=岩下雄太

(ベースボールキング)

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≪5/22≫


 「いつも通り自分のできる事をやって、チームの勝利に貢献できるよう精一杯頑張りたいと思います!気合いれて頑張ります」。

 ロッテ・種市篤暉は18時から行われる西武戦に先発する。

 前回登板のオリックス戦では最速154キロのストレートを武器に、オリックス打線をねじ伏せた。「前回は(ストレートに)自信があったので、首振っていけたと思います」。特に1-0の8回一死二塁で西野真弘を2ボール2ストライクから5球目の150キロストレートで二ゴロ、続く中川圭太を2ストライクから4球目の151キロストレートで二ゴロと、西野、中川に対しオールストレートでピンチを脱した場面は痺れた。

 ただ春先はどのイニングも150キロを超えるストレートを投げ、今季初登板となった3月30日の日本ハム戦は150キロ超えは38球を投げていたが、前回登板のオリックス戦は8回を投げ150キロ超えは16球。ここ最近の登板では140キロ台後半のストレートで打ち取るイニングが多い。 

「フォームのバランスを意識した中で、アベレージを上げたいと思いますけど、ある程度コントロールした中で強い球を放れたらいいなと思って投げています」。

 それでも、球数が100球を超えても150キロを超えるケースも。前回のオリックス戦の8回のピンチの場面などがそうだ。「いいバランスで投げられているのが一番かなと思います」と話す。

 最大の武器であるフォークに関しては、「ちょっと落とそうとしすぎたかなと思います。西武戦の時のように縦にいくようになっていたら、前回の試合は空振りが増えていたのかなと思います」と自己分析した。

 フォークはシンカー系のフォークを投げている時は球速が速いようにも見える。「(スピードが)出る時は出ますけど、前々回の試合もそうですが、初回フォースラしていた。フォースラしている時は悪いので、前回は進化させようと思って改善できたのは良かったと思います」。

 スライダーも進化している。1-0の5回二死走者なしで福田周平を2ボール2ストライクから7球目の140キロ縦に落ちる変化球で空振り三振に打ち取った。フォークがいつもと違う軌道だったので、球種を確認すると「あれはスライダーですね」と語った。このスライダーは4月16日の取材で「ベルーナで今井にスライダーを教えてもらって、試した感じでだいぶ良かった」と話していたスライダーか訊くと、種市は「そうです」と返答した。

 そのスライダーに関しては、「曲がり幅が小さいのでスピードを出したいと思った中で、前回はすごい球速が出ていたので、フォークとスライダー同じ球速帯でついになればいいかなと思います」とのことだ。

 ストレート、フォーク、スライダー、自信を持って投げられている。「長いイニングをゼロで抑えられるように頑張っていきたいと思います」。今夜もチームを勝利に導くため、腕を振る。

取材・文=岩下雄太

(ベースボールキング)

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≪5/23≫


4年ぶりの完投勝利

 「疲れていますけど、気持ちいい疲れだと思います」。

 戦いを終え、ヒーローインタビューに応えるロッテ・種市篤暉の姿は充実しているように見えた。22日の西武戦、9回・102球を投げ、4被安打、8奪三振、1与四球、1失点の好投で20年7月25日の西武戦以来、自身4年ぶりとなる完投勝利で今季3勝目を手にした。

 立ち上がりからストライク先行の投球で、打者32人中26人に対して初球ストライク。イニング別の投球数を見ても、1回(9球)、4回(9球)、8回(9球)、9回(7球)は10球以内で終え、15球以上要したイニングも失点した6回(21球)のみ。ピンチらしいピンチも6回以外はなく、危なげないピッチングだった。 

 その中でも光ったのがストレート。右打者、左打者にインコースをガンガン攻め、2-1の6回一死満塁で中村剛也に対して初球151キロのインコースストレートで空振り、2球目の152キロストレートでファウルを奪い、2ストライクと追い込むと、2ボール2ストライクから5球目に空振り三振を仕留めた153キロのストレートもインコースだった。

 ストレートもこの日は最速153キロを計測し、150キロ以上は36球。今季初登板となった3月30日の日本ハム戦は150キロ超えが38球あったが、5月15日のオリックス戦は8回を投げ150キロ超えは16球と、ここ最近は140キロ台後半のストレートで打ち取ることが多かった中で、150キロを超えるストレートが多かった。

 2-1の9回、最後の打者となった蛭間拓哉を1ストライクからセンターフライに打ち取ったストレートも151キロだった。試合が終了すると、キャッチャーの佐藤都志也とグータッチをし、マウンドに集まってきたナインとハイタッチ。この瞬間を種市は何よりも望んでいた。

 遡ること2カ月前。3月7日に京セラドームで開催された「カーネクスト 侍ジャパンシリーズ2024日本vs欧州代表」。7回が終了した時点で欧州代表をパーフェクトに抑えていた侍ジャパンの投手陣。2-0の8回に侍ジャパンの一員としてマウンドに上がった種市も、2回を完全投球で、完全試合リレーの最後を締めた。

 「最後みんなでハイタッチできて嬉しかったです。シーズンでも完投してハイタッチしたいと思います」と話していた中で、嬉しいチームメイトとのハイタッチとなった。

誰よりもこだわってきた完投勝利

 種市は完投に関して誰よりもこだわってきた。

 完封、完投勝利を目標にした中で右肘のトミー・ジョン手術から一軍本格復帰した昨季は0だった。昨季終了後の取材で「悔しいですね。悔しいです。完投数を増やしたいです。先発ピッチャーとしての目標ですよね」と悔しさをにじませていた。

 完投数を増やすために課題の1つとなっていたのが球数。特に昨季は初回に球数を要すことが多かった。そこについて種市は昨年11月9日の取材で「単純に技術不足かなと思います。コントロールないし。そこをどうつけていくかと僕は思っているので」と話していたが、今季初回15球以上要した登板は3登板のみ。その他の登板では15球以内にまとめている。

 また、種市がプロ入りから課題にしていたのが、試合途中に足がつってしまうこと。一軍に定着した19年5月16日のオリックス戦では6回2失点で3勝目を手にしたが、「自分はすごい足がつりやすい。この前の試合はちょっと…。つりかけたっす」(2019年5月19日の取材)と、足がつりやすかった。

 「どうやって(足が)つらないようにするか、ストレッチもたくさんしたり、あれとって、これとって、いっぱい試していました。(昨年の)序盤も(足がつっているのを)見せないようにしていましたけど、毎試合つっていたので。4回、5回とかにつるパターンが多かった。どうしたらいいですかと栄養士に聞いていろいろ試しました。それで素晴らしいものを見つけてしまったという感じです」と昨年のシーズン中盤にその問題も解消。

 今年長いイニングを投げられている要因の一つに足がつらなくなったことも要因なのだろうかーー。

 「そうですね、それもありますし、栄養士とも相談しながら、栄養の勉強もしながら、自分で試しながらできているのが一番良いかなと思います。つらなくなりました」。

 試合途中に足をつる不安もなくなり、5月15日のオリックス戦では8回・122球を投げ、22日の西武戦は9回・102球で完投勝利。

 5月は3試合・24イニングを投げ、2勝0敗、22奪三振、防御率0.00。防御率、投球回数、奪三振は月間トップの成績を残す。5月の月間成績は素晴らしいが、種市の持っているポテンシャル、現状に満足することなく新人時代から変わらず高い向上心を持っていることを考えれば、ここが最高到達点ではなく、さらに進化していくはずだ。進化していく姿、ワクワクする投球、種市はいいぞ!と思えるようなピッチングを続けてほしい。

取材・文=岩下雄太 

(ベースボールキング)

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≪5/23≫


 練習中のマリーンズベンチに懐かしい顔があった。5月14、15日に沖縄セルラースタジアム那覇で行われたバファローズ2連戦に姿を見せたのは、沖縄県石垣島出身の大嶺祐太さんだ。

 2007年に、八重山商工から高校生ドラフト1巡目でマリーンズ入り。2021年まで在籍し、翌年はドラゴンズに移籍。その年のオフに現役引退した。故郷の縁から初戦は沖縄のラジオ局、2戦目はテレビ局の解説でスタジアムを訪れ、試合前にはマリーンズの懐かしい顔ぶれと旧交を温めた。

珍しいデザインの理由

 目を惹いたのは、着用していたポロシャツだ。自身が手掛けるオリジナルブランドのもので、胸のマークは肘に手術の跡がある右腕。その手はピースサインを作っている。大嶺さんが19年1月に受けたトミー・ジョン手術(右ひじ内側側副靭帯再建術)を表現しているという。元プロ野球投手らしいといえば、らしい。しかし、なかなか珍しいデザインだ。

「手術はどうしてもマイナスなイメージがすごくある。だからこそ絶対に回復する、元に戻る、大丈夫だよというメッセージを込めて作りました。手術イコール暗い感じがあるけど、それをキッカケに元に戻るどころか、さらによくなる、と。前向きにとらえられるようにという思いも込めました」

 大嶺さんはそう説明して、ニコリと笑った。

西野、種市にもプレゼント

 実はこのポロシャツ、マリーンズの後輩選手たちにもプレゼントされていた。自身が手術を受けた翌年の20年にメスを入れた西野勇士投手、種市篤暉投手らに「同じ手術を受けた仲間ですから」と贈っていた。

「手術後のアドバイスとかをしていたのを覚えています。手術したのは肘でも、その原因は肩をかばっていたことだったりもする。だから肩のインナーを今のうちに鍛えた方がいいよ、と。手術はその時が一番のどん底。あとは上に向かっていくしかないので。みんな前向きでした」と大嶺さんは振り返る。

 アパレルに興味を持ったのは現役時代のオフにイタリアへ新婚旅行にいったことがキッカケだった。ローマ、ミラノ、フィレンツェ……。当初は大好きだった本場のサッカーを見ることが目的だったが、街ですれ違う人たちの服装が強く印象に残った。

「街にいる普通のおじいちゃんたちがカッコよかった。ジーパンや革靴をしっかりとはきこなして。シーズンオフの冬だったんですが、ダウンを着て、その下に襟付きのシャツを着て、カーディガンを羽織ってと。それがすごくカッコよく見えたんです。ああいう風に自分も年をとっていきたい、と思った中でアパレルへの興味がどんどん増していきました」

「Recuperar」に込めた思い

 それから時間を見つけては衣類のデザイン画を描くようになった。現役引退後は、飲食業を営みながら、アパレルブランド作りにもチャレンジしたいと決意。最初に作ろうと決めたのが、トミー・ジョン手術をイメージしたこのデザインだったという。下絵を描いてもらったのは、マリーンズの後輩選手。そこに「Recuperar」というスペイン語の刺繍を入れた。日本語に訳すると「回復する」、「取り戻す」に加えて「好転する」という意味もある。そこには、大嶺さんの強いメッセージが込められている。

「最初のデザインはこれにしようと決めていました。これからトミー・ジョン手術をする人もたくさんいる。その力になればと思って」と大嶺。完成した昨年からインターネットで販売を開始し、好評だという。現在はラインナップが限られているが、「入りやすいのはTシャツやキャップだった。ただ、ゆくゆくはイタリアの人たちが街で来てくれそうな革ジャンとかを作りたいという夢があります」と瞳をキラキラと輝かせる。

「あの時のことを忘れないように」

 5月14日の1戦目。西野が5回を投げて1失点で3勝目を挙げた。「ボクも大嶺さんからアパレルをいただいて、めちゃくちゃ着ていますよ。あの時の事を忘れないように。大嶺さんが最初に手術をして色々と教えてもらい、励ましてもらった」と西野は振り返る。5月15日の2戦目は種市が先発。8回無失点ながら勝ち星はつかなかったが、気迫のこもったピッチングを見せた

 バックネット裏の解説席で2試合を見守った大嶺さんは、優しい目をグラウンドの後輩たちに向けていた。

「西野と種市。偶然ですけど、“トミー・ジョン仲間”が好投してくれた。すごく嬉しい2日間でしたね」

経営者として多忙な日々

 現在は東京・門前仲町で手羽先と石垣牛など故郷から取り寄せた食材をつかった飲食店を経営している。大嶺夫婦とアルバイト4人で仕込みから片付けまで行う忙しい日々を送る。

「野球と一緒で準備を大事にしている。どんな時も絶対に手を抜かないことを心掛けています」

 肩書は代表取締役。経営者としても忙しい日々を送っており、解説のため訪れた沖縄でも午前中に商談を3つほどこなしてから球場入りしたのだという。 

「本当に充実していますね。野球選手だったら絶対に出会えない人と会える。そういう人たちとのつながりが楽しい。多種多様な職種の人。飲食の仕事をしていなかったら出会えなかった。そういう人たちと話をするのは本当に勉強になるし楽しい」

「電車に乗るのが怖い」18歳の頃

 18歳でプロ入りした当時、大嶺さんは「電車に乗るのが怖い」と話していた。「時々、海が恋しくなるのです」。そう言って、時間があれば海を眺めにいっていた若者が今、第二の人生に力強く一歩を踏み出している。店にはマリーンズファンや、野球を愛する人たちがたくさん訪れるという。そんなお客さんと交流し、ぶらりとお店に入ってきた一期一会の出会いを大切にしているのだ、と言う。

 現役時代に、大嶺さんから沖縄のエピソードを聞いたこともあった。ちょうどケガなどで苦しんでいる時期だった。

「爬竜舟」に人生を重ねて

「沖縄には海の安全や豊漁を祈願する船の競争があって、これに参加する船のことを爬竜舟(はりゅうせん)と言うんです」

 そして続けた。

「でも、この競争を見に来てくれるお客さんが一番沸くのは、船が転覆して、それを必死に起き上がらせてまた漕ぎ出す、そういう場面なんですよ。人生も一緒。ボクも一緒。失敗しても、苦しく辛い日々が続いても、また起き上がって立ち向かう。そういう姿をファンの方には見てもらいたいと思っています」

 プロ通算129試合に登板し29勝35敗。多くの注目を集めて入団した右腕にとってプロ野球人生は怪我との闘いでもあり、決して順風満帆な日々ではなかった。ただ、どんな時も起き上がって立ち向かい、闘う男の姿がファンを魅了した。その姿は今も同じ。フィールドを変えても、準備を大事にしながらアグレッシブな毎日を送っている。そこには「Recuperar」を果たした男の姿がある。

梶原紀章(千葉ロッテ広報)

(Number)

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