投手陣の踏ん張りで3位へ滑り込んだロッテ。優勝へ補強は不可欠【2015通信簿】
ここ一番で踏ん張った先発&リリーフ
【投手3点】
クライマックスシリーズファーストステージ第3戦。
初回に足がもつれて転倒するアクシデントに見舞われながら、7回途中まで北海道日本ハム打線を1失点に抑えた涌井の粘投に代表されるように、今季のマリーンズ投手陣は「ここ一番」でよく抑え、よく踏ん張り、よく投げた。
15勝を挙げて6年ぶり3度目の最多勝を獲得した涌井秀章は、そんな投手陣の中心として活躍し、オールスター明けの後半戦はなんと9勝2敗。彼がいなかったら今年のマリーンズの成績はなかった、そう言えるだろう。
12勝12敗で今季の勝率が5割だった石川歩も、9月に4勝を挙げて月間MVPを獲得。9月28日に行われた埼玉西武との直接対決では菊池雄星に投げ勝つなど、ここ一番の強さが光った。さらに昨秋の入団テストを経て加入したチェン・グァンユウも、シーズン5勝中3勝を9月に挙げるなど活躍。涌井、石川、チェンの三本柱がシーズン終盤に安定した働きを見せたことで、埼玉西武を抜き去り逆転のクライマックスシリーズ進出を決めることができた。
セーブ機会34で失敗0のストッパー西野勇士の存在は何より心強かったし、彼の故障で戦線離脱後も内竜也、大谷智久ら他の救援陣がその穴を埋める働きをした。
4月途中から先発ローテーションを守り、8勝を挙げた大嶺祐太や韓国人投手初の二ケタ勝利まであと一歩の9勝をあげたイ・デウンのことも忘れてはいけない。通信簿の採点は限りなく4点に近い3点だ。
故障者多し、外国人選手も不振で打線に物足りなさ
【野手2点】
個人打撃成績の上位を見ると今年ブレイクした清田育宏(4位.317)と、角中勝也(6位.293)の二人が名を連ねている。しかし、チームOPS.688は上位進出のチームとしては物足りないし、高く評価することはできない。
期待された主砲デスパイネが、シーズン通した不振に陥り、決定的なチャンスを潰すこともしばしばも見られた。ベテランの福浦和也の献身的な打席とはこれまた対照的に映り、不満を募らせるファンも多かったのではなかろうか。
さらにラインナップを組む上でベンチを悩ませたのが、今江敏晃、角中勝也ら主軸に故障が相次いだこと。当然得点力は半減され、その分の負担は投手陣に強いられた。
シーズン前半はルイス・クルーズが突如として覚醒し、5月まで12本の本塁打を放つなど驚かせたが、やがて他球団に研究され、6月以降はわずか4本塁打。あの騒ぎは何だったのかと、首を傾げるくらいおとなしくなっていた。
そんななかでの救いは中村奨吾や高濱卓也が経験を積み、来季の期待が繋がったことくらいか。辛口の採点にならざるをえない。
チームを救った田村の盗塁阻止
【守備3点】
シーズン終盤の淡泊な打撃とは対照的に、数々の美技でチームを救ったルイス・クルーズ。こうした計算できない意外性が、打席に立つたび「今日もダメか」と嘆息しながらも、「また使うか」となってしまう魅力なのかもしれない。
浅いファールフライでも懸命に追いかけてキャッチした、これまた福浦の献身的な守備はQVCに集まるファンを何度も涙させたし、そうしたプレイがあったからこそ、本塁打を打つわけでもない、打率が特別高いわけでもない、チャンスに打てるわけでもない、ないないずくしのマリーンズを3位に滑り込ませた一つの要因になったようにも思える。
高卒3年目の捕手・田村龍弘の成長は見逃せない。
盗塁阻止率.429はセ・パ両リーグ合わせても最高で、彼が盗塁を刺すことで、試合の流れを引き戻すシーンが何度も見られた。
限られた戦力でAクラスへ導いた伊東監督
【ベンチワーク4点】
豊富な戦力とは言いがたかった今年の千葉ロッテで、3位に滑り込むことができたのは伊東勤監督を中心とするベンチワークの賜物だろう。
「長距離打者を育成してほしい」「もっと足(特に盗塁)を使った攻撃を増やしてもいいのでは」といった課題があることはあるのだが、若手を積極的に起用しただけでなく、中堅やベテランのモチベーションを上げながら、万遍なく起用し、結果としてリーグ3位に滑り込み、クライマックスファイナルステージに進出できたのは、1軍首脳陣だけでなく、2軍首脳陣との連携までうまくいったからではなかろうか。
先発でなかなか頭角を現せなかった阿部和成が、シーズン後半に中継ぎとして覚醒の兆しを見せたことや、2年目の二木康太が来季はローテーション入りが期待できるほどの成長を見せたことは、その代表とされるところである。2016年に向けて楽しみも多い。
【総合2点】
とは言え、来季に向けてやるべきことは山積みであることは間違いない。優勝した福岡ソフトバンクとの間にできた18.5ゲームの差はそう簡単に埋まるものでもないし、個々の採点が甘めになったのも「この戦力にしては…」の部分が正直強い。
先発陣の軸になくてはならない唐川侑己の再生はチームの命題だ。
打線の中軸を固定できなかったのも18.5ゲームの差に表れているようにも思える。投打ともに力の抜きん出た選手がもう2、3人ほしいところだ。
「3位滑り込み」ではなく、「優勝」を狙えるチームに変貌することを切に願う。
永田遼太郎
(ベースボールチャンネル編集部)
ここ一番で踏ん張った先発&リリーフ
【投手3点】
クライマックスシリーズファーストステージ第3戦。
初回に足がもつれて転倒するアクシデントに見舞われながら、7回途中まで北海道日本ハム打線を1失点に抑えた涌井の粘投に代表されるように、今季のマリーンズ投手陣は「ここ一番」でよく抑え、よく踏ん張り、よく投げた。
15勝を挙げて6年ぶり3度目の最多勝を獲得した涌井秀章は、そんな投手陣の中心として活躍し、オールスター明けの後半戦はなんと9勝2敗。彼がいなかったら今年のマリーンズの成績はなかった、そう言えるだろう。
12勝12敗で今季の勝率が5割だった石川歩も、9月に4勝を挙げて月間MVPを獲得。9月28日に行われた埼玉西武との直接対決では菊池雄星に投げ勝つなど、ここ一番の強さが光った。さらに昨秋の入団テストを経て加入したチェン・グァンユウも、シーズン5勝中3勝を9月に挙げるなど活躍。涌井、石川、チェンの三本柱がシーズン終盤に安定した働きを見せたことで、埼玉西武を抜き去り逆転のクライマックスシリーズ進出を決めることができた。
セーブ機会34で失敗0のストッパー西野勇士の存在は何より心強かったし、彼の故障で戦線離脱後も内竜也、大谷智久ら他の救援陣がその穴を埋める働きをした。
4月途中から先発ローテーションを守り、8勝を挙げた大嶺祐太や韓国人投手初の二ケタ勝利まであと一歩の9勝をあげたイ・デウンのことも忘れてはいけない。通信簿の採点は限りなく4点に近い3点だ。
故障者多し、外国人選手も不振で打線に物足りなさ
【野手2点】
個人打撃成績の上位を見ると今年ブレイクした清田育宏(4位.317)と、角中勝也(6位.293)の二人が名を連ねている。しかし、チームOPS.688は上位進出のチームとしては物足りないし、高く評価することはできない。
期待された主砲デスパイネが、シーズン通した不振に陥り、決定的なチャンスを潰すこともしばしばも見られた。ベテランの福浦和也の献身的な打席とはこれまた対照的に映り、不満を募らせるファンも多かったのではなかろうか。
さらにラインナップを組む上でベンチを悩ませたのが、今江敏晃、角中勝也ら主軸に故障が相次いだこと。当然得点力は半減され、その分の負担は投手陣に強いられた。
シーズン前半はルイス・クルーズが突如として覚醒し、5月まで12本の本塁打を放つなど驚かせたが、やがて他球団に研究され、6月以降はわずか4本塁打。あの騒ぎは何だったのかと、首を傾げるくらいおとなしくなっていた。
そんななかでの救いは中村奨吾や高濱卓也が経験を積み、来季の期待が繋がったことくらいか。辛口の採点にならざるをえない。
チームを救った田村の盗塁阻止
【守備3点】
シーズン終盤の淡泊な打撃とは対照的に、数々の美技でチームを救ったルイス・クルーズ。こうした計算できない意外性が、打席に立つたび「今日もダメか」と嘆息しながらも、「また使うか」となってしまう魅力なのかもしれない。
浅いファールフライでも懸命に追いかけてキャッチした、これまた福浦の献身的な守備はQVCに集まるファンを何度も涙させたし、そうしたプレイがあったからこそ、本塁打を打つわけでもない、打率が特別高いわけでもない、チャンスに打てるわけでもない、ないないずくしのマリーンズを3位に滑り込ませた一つの要因になったようにも思える。
高卒3年目の捕手・田村龍弘の成長は見逃せない。
盗塁阻止率.429はセ・パ両リーグ合わせても最高で、彼が盗塁を刺すことで、試合の流れを引き戻すシーンが何度も見られた。
限られた戦力でAクラスへ導いた伊東監督
【ベンチワーク4点】
豊富な戦力とは言いがたかった今年の千葉ロッテで、3位に滑り込むことができたのは伊東勤監督を中心とするベンチワークの賜物だろう。
「長距離打者を育成してほしい」「もっと足(特に盗塁)を使った攻撃を増やしてもいいのでは」といった課題があることはあるのだが、若手を積極的に起用しただけでなく、中堅やベテランのモチベーションを上げながら、万遍なく起用し、結果としてリーグ3位に滑り込み、クライマックスファイナルステージに進出できたのは、1軍首脳陣だけでなく、2軍首脳陣との連携までうまくいったからではなかろうか。
先発でなかなか頭角を現せなかった阿部和成が、シーズン後半に中継ぎとして覚醒の兆しを見せたことや、2年目の二木康太が来季はローテーション入りが期待できるほどの成長を見せたことは、その代表とされるところである。2016年に向けて楽しみも多い。
【総合2点】
とは言え、来季に向けてやるべきことは山積みであることは間違いない。優勝した福岡ソフトバンクとの間にできた18.5ゲームの差はそう簡単に埋まるものでもないし、個々の採点が甘めになったのも「この戦力にしては…」の部分が正直強い。
先発陣の軸になくてはならない唐川侑己の再生はチームの命題だ。
打線の中軸を固定できなかったのも18.5ゲームの差に表れているようにも思える。投打ともに力の抜きん出た選手がもう2、3人ほしいところだ。
「3位滑り込み」ではなく、「優勝」を狙えるチームに変貌することを切に願う。
永田遼太郎
(ベースボールチャンネル編集部)
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