ひとり語り 劇車銀河鐵道 いちかわあつき

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原節子さんの死を悼む。

2015-11-26 09:14:27 | 日記
原節子ファンにとって、とうとうこの日が来たのか
という思いに駆られています。
もちろん、年齢的にはリアルタイムに銀幕の中に彼
女の作品を観ていた世代のファンではありませんが、
小津作品を観はじめてそのファンになったところか
ら、自ずと原節子ファンになったわけですが、これ
がファン心理というものでしょうね、きっと。

訃報(9月5日に亡くなられていました)を伝える昨
夜のニュースに、自然と涙があふれてきました。
前々から、原さんの消息は何も分からなくとも、ただ
この日本に生きておられて、同じ空気の中に存在せら
れているだけでいいのだ、と思っておりました。

まさしく、原節子ファンにとってこれは本当にひとつ
の時代の終幕です。
いや、もうとっくに終わっているといわれる向きもお
られるかもしれませんが……。本当の終わりというも
のはその人の肉体的消滅を持って終わるもののように
思います。

永遠の処女とか、日本のグレタ・ガルボとか云われた
原節子さんですが、そんな形容などどうでもいい程に
彼女は素晴らしい女優でした。唯一無二の存在でした。

どうぞ、まだ原節子を観たことがないという,若い世
代の映画ファンに見て頂きたいと思います。
おじさん何を言っているのかわからない、思う向きも
あるかもしれませんが、それはあくまで個人の感覚の
問題でもありますから仕方ありません。

それがファン心理というものだと、お許しください。

劇車銀河鐵道20周年記念口演第二夜終わりました。

2015-11-18 15:31:25 | 日記
20周年口演が終わりました。
ひとつの節目として、多くの
皆様にお聴き頂けたことを、
嬉しく思います。
ありがとうございました。

本当に、多くの方々に助けら
れてここまでやってこられた
のだなぁと、つくづく実感し
ました。なんと感謝すればい
いのか、ことばが見つかりま
せん。

次回はどんなかたちで銀河鐵
道の自主口演が出来るか未定
ですが、出来ることなら新作
でご案内したいと思っていま
す。

今出来ることのありったけを
ぶっつけられる作品を持って
またお会いしたいと考えてい
ます。今しばらくのご猶予を。

現在はともかく、来年3月と
5月に予定している芝居の戯
曲の執筆と、12月に公演の
ある2つの稽古を頑張ります。

20周年記念口演第二夜が近づいて来ました。

2015-11-12 13:14:34 | 日記
第二夜は、11月14日(土)恵那中山道ひし屋
資料館さんで、午後7時開演となります。

演目は、宮川ひろ・作「おはじき」
さねとうあきら・作「なんばんきつねつき」

この2作品です。

「おはじき」は学童疎開のお話です。それも、昭
和20年の4月に実際にあった出来事をもとに、
書かれた作品です。
この作品を語るにあたって、思い出された人物が
ありました。
それは童謡歌手の川田正子さんという方です。
戦時中の東京で、疎開もせず毎日NHKの放送局
に通い,全国に向けて童謡を唄い続けた、当時の
言葉でいうところの「少国民」でした。

代表的な歌に「兵隊さんの汽車」があります。
のちに「汽車ポッポ」とされて歌い継がれたもの
の原曲です。
今回その原曲の方を探したのですが、どうしても
見つかりませんでした。

物語はいずれもフィクションではありますが、嘘
のない実を込めた言葉で、遠い昔と繋がれるよう
に語りたいと思います。

当日でもまだ大丈夫かと思います。どうぞ、口演
へお越しください。お待ち申し上げております。

柴崎友香著「虹色と幸運」を読む。

2015-11-07 23:51:32 | 日記
この小説は、彼女が4年前くらいに書いた作品です。
もちろん、芥川賞受賞作「春の庭」より前のもので
す。
これぞ柴崎ワールドという作品でした。
30代の3人の女性の登場人物の日常が、それぞれ3
人称で書かれていて、それぞれの内面の描写が交わる
ように書かれているにもかかわらず、それに違和感を
感じさせない彼女の文体は魅力的です。

彼女の作品について、あえて淡々と……という形容を
つけるのは、もういいかなという気分です。
小説、あるいは物語世界に日常ではない事件的なもの
を求める読者でははなからないので、そこのところを
強調する意味もなく、小説にというか、文学に何を求
めるかという事においては、問題ですらありません。

読むという行為の中に生まれる心地よさというものは、
そこに登場する人物たちへの親近感とか、あるいは友
愛、もしくは融和というものの芽生えであり、そうい
う事においては、読んでいる間中幸福感に満ちている
わけなのです(またそれ以上に、言葉との出会いでも
あります)。

日常における人と人との交わり、つながりに匹敵する
ほどの濃さが、読むという行為の間だけ保たれる。
読書はその読んでいる時だけがすべてなのです。

読んだものをいかに記憶するかとかの、マニュアル的
な本が流行りのようですが、そういうことではなくて、
読書は表面的には忘れてしまっても構わないのです。
その蓄積のうえに、内面の中で租借され、醸成されて
いくものが大事なのです。
それが青少年期になされればなおさらに貴重なものと
なります。読書は知識(知性)の蓄積ではなく心の栄
養の蓄積なのです。

「虹色と幸運」から、話はそれてみたいですねぇ。
とにかく、若い人たちへの読書をお勧めします。
選り好みなく乱読することをおすすめします。
柴崎作品おすすめです。