ゼペットじいさん

靴修理でいつもお世話になっているおじさんは、まるで童話の中から抜け出してきたような人だ。ひょろりと背が高く、頑固そうな皺の刻まれた顔にまん丸鼻眼鏡、お髭がふさふさ。エプロンも指も靴墨で真っ黒。んもう『いかにも頑固職人』ってなイデタチなのだが、唯一イメージを狂わすのは『寡黙ではない』という点だ。いや寡黙でないどころか、ものすごく話し好きなのだ。靴の話を始めるともう止まらないのね。職人さんの話ってたいへん興味深くおもしろいのでこちらは大歓迎なのだが、客が来るたびにこんなに長話して作業中断しちゃって大丈夫なんかい、とちょっくら心配になったりもする。初めて修理してもらった時の、『またどんな靴でも持っておいで、ぼくに直せない靴はないから』と言った誇りにあふれた笑顔にわしのハートの鳩はぽっぽぽっぽ。以来、リピートしている。今回修理してもらったキャサリン用の靴を持って明日は浦賀でパーティ営業のマスターなのでした。
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