こんな記事があった。
根本的な課題として「政治が責任を負う姿勢を見せないこと」があると指摘する。
「政治の側は都合が悪くなると、誰かのせいにして本来背負うべき政治責任を負わないということを明らかに繰り返しています。それは先日の五輪の会場での酒類販売について、丸川珠代大臣が『ステイクホルダーの存在がある』とスポンサー企業に責任転嫁しようとしたことにも現れています」
牧原さんは新型コロナという危機に際して、専門家組織がどのように機能しているのかを考察することを通じて政治の動きを分析し続けてきた。
昨年5月には「前のめりの『専門家チーム』があぶりだす新型コロナへの安倍政権の未熟な対応」と題した論考を発表。この「前のめり」という指摘に端を発し、専門家会議の解散と専門家分科会の設置が進んだ経緯がある。
牧原さんの目に、今回の独自提言はどう映ったのか。
「政治家は自己正当化と見せかけて、他の誰かへと責任転嫁し続けている。そんな中で、専門家たちは責任を背負いながら、有志の会として提言を出しました。専門家は提言を出す上で自分たちの役割はリスク評価をすることだと宣言し、決めるのは政治の責任だとはっきりと言いました。あのメッセージは非常に強烈で、政治は逃げられなくなったと言えるでしょう」
「また、会見の場では、尾身先生がこの1年間政府や都道府県にずっと対策の助言をしてきた立場から提言を出すと宣言しました。あのメッセージも重要でした。国民の多くは尾身先生や脇田先生、西浦先生など有志の会のメンバーが昨年から新型コロナの問題にずっと真正面から取り組んできたことを知っています。そうしたこれまでの積み重ねがあったからこそ、今回の提言が多くの人にしっかりと受け止められるものになったのだと思います。その意味で信頼関係を国民との間で確認しながら、情報発信をすることができたのだと考えられます」
「有志の会ではなく、きちんとした会議体からメッセージを発した方が良かったのではないかという指摘はあるとは思います。ただし、分科会などであの提言を出すとなると、その会議体に対して政治が圧力をかけるなど強い反発が起きかねません。また、会議としての意見は、国民に対しては権威的に見える面もあり、一部からの反発も強くなったのではないかと思います。ですから、有志の会として提言を出したことは結果的には良かったと考えています」