
ヒロくんのピアノ・レッスンにて。
ベートーヴェンの「ピアノ・ソナタ 第20番 Op.49-2」第1楽章が仕上がり、しばらく時間のかかっていたバッハの「インヴェンション 第2番 ハ短調 BWV773」ももうすぐまとまりそうです。
3月になりましたので、そろそろ「第22回発表会」のソロの演目を決めたいと考えていました。
春に中学2年生になります。
昨年、レッスンをはじめたとき最初に弾いてくれたのがカバレフスキーの「ソナチネ Op.13-1」でした。速くて活気のある曲調が好きだといっていたのをおぼえています。カバレフスキーのような現代的なひびきのおもしろさに抵抗感がないなら、年齢的にもバルトークはどうかと考えました。
バルトークの定番といえば「ルーマニア民俗舞曲」ですが、ヒロくんがバルトークにはじめてふれるため、「ミクロコスモス」のなかから3曲をえらんで1曲ふうにまとめようと考えました(「ルーマニア民俗舞曲」はいつかまたかならず弾く機会がおとずれる曲です)。
「ミクロコスモス」全6巻は、バルトークの作曲技法だけでなく、現代音楽の語法のカタログのような曲集です。そのなかでも第6巻の最後の6曲「ブルガリアのリズムによる6つの舞曲」は演奏会でも取りあげられるような、独奏曲としての充実した内容をそなえています。
けれども第5巻も曲として、おもしろいものがたくさんそろっています。そのなかから、極端に抽象性の強い曲は避けて、具体的な表題のついている曲をえらびました。
第128番「農民の踊り」
第125番「ボート漕ぎ」
第138番「バグパイプ」
民俗音楽の特性が生かされた「農民の踊り」と「バグパイプ」のあいだに、おだやかで、内省的なひびきも感じられる「ボート漕ぎ」をはさみます。
レッスンでは、まず3曲のCD演奏を聴いてもらいました。
これまでさらってきた曲のひびきから逸脱した、かわった音が鳴りますね。
譜面も見てもらいました。シャープやフラットがたくさんついています。しかし調号はハ長調(もしくはイ短調)のように調号なしの状態です。
バルトークは調性を放棄していませんが、既成の調性にのっとった作曲をしていません。音のとりあつかいがもっと自由なので、かえって調号がない譜面のほうが見やすいのです。調号がないため、楽譜上のシャープやフラットの音に気をつけてゆけば弾けます。ぎゃくにいうと、変化記号のついていない音はすべて白鍵だということです。
ヒロくんは気に入ってくれたようです。
試しに「農民の踊り」と「バグパイプ」だけ、曲のさわりの部分を片手で練習してもらいました。心配していた変化記号の音は、とりあえず片手の段階ではとりこぼさずに見られました。これならばだいじょうぶそうです。
次回から「農民の踊り」を具体的に見てみましょうね。(こうき)
レッスン日 2008年3月7日(金) 19:00
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