
侑さんのソルフェージュ・レッスンがありました。
呉暁「才能を育てる子供のソルフェージュ」上巻をつかって、新曲視唱の基礎練習をかねた和声づけに取りくんでいます。
今日は第1章のハ長調の基礎課題、全83題が終了しました。
ここにいたるまでに、和音記号による和声づけからコード・ネームの使用へ移行しました。和音記号は基礎として残しつつ、より多彩な和音をもとめる場合、コード・ネームをつかったほうが便利なのです。
また属七の和音(ハ長調ならば「ソ・シ・レ・ファ」)だけでなく、マイナー・コード(短三和音)にたいしては、すべてセブンスの音をのせて、よりひびきを複雑にしてもらいました。
例: Dm→Dm7 Am→Am7
ドッペル・ドミナントの和音(ハ長調ならば「レ・ファ♯・ラ・ド」)の考えかたを応用すれば、さらに「ある和音をⅠの和音と見たてて、その直前にⅤ7に相当する和音を設定する」ことで、ある調に属しているほとんどすべての和音にたいするドミナント和音が導入できます。
例: Ⅰ7→Ⅳ ハ長調ならばC7→F
侑さんは和音設定が上手で、考えかたも的確です。和声はたんに旋律にあうような縦のひびきを見つけることにとどまらず、曲全体の構成や意味を知らせるものでもあります。文章でいうと文法のような役割をもちます。
たとえば曲のおしまいに向かって和声の動きをこまかくしたり、ひびきをより複雑にしたり、メロディが盛りあがるにつれて和声もそれなりにふさわしく変化させてゆくなどして、曲の構成を規定し、意味づけしてゆくわけです。
侑さんはこの考えかたをよく理解しています。
コード・ネームを見てすぐに手がしかるべき音をつかむまでに、もうしばらく時間がかかりそうですが、和音記号とコード・ネームは表現のしかたが異なるだけで、じっさいのピアノの弾きかたがすっかりかわってしまったわけではありません。慣れれば、やがてできるでしょう。
そこで第83番のト長調にすすむことにしました。
ここで大きくかわることは、ハ長調とは弾く音がかわるということです。しかし移調をするように、鍵盤に置く手の位置がかわると考えます。すると、音をひとつひとつさぐらなくても、ハ長調の和声進行を弾いていた手のフォーム、指番号、ひびきがそっくりそのままつかえることに気づくでしょう。
まったくあたらしいことがはじまったわけではなく、ハ長調でつちかったことが、ほかの調でも転用できるのです。
和音の組みかえ(リハーモナイズ)の考えかたはかわりません。これは全調で共通する知識なのです。
Ⅰ→Ⅳ→ⅠやⅠ→Ⅴ7→Ⅰといった基本的な和声進行は不変で、ハ長調において「C→F→C」や「C→G7→C」だったものが、ト長調では「G→C→G」や「G→D7→G」になります。
Ⅴ7の前にドッペル・ドミナントを設定することは、ハ長調でもト長調でもおなじです。
ト長調ならばⅤ7=D7の前に、A7「ラ・ド♯・ミ・ソ」が置かれます。
Ⅰの代理コードとしてⅥの和音をあてはめることができます。
ト長調ですと、GのかわりにEm7となります。
はじめは戸惑うかもしれませんが、そのときはハ長調のいちばんはじめの課題でやったように、まずは基本三和音のみを使用し、和声記号による和声づけをしてみるとよいと思います。
ト長調
Ⅰの和音「ソ・シ・レ」
Ⅳの和音「ド・ミ・ソ」
Ⅴの和音「レ・ファ♯・ラ」
Ⅴ7の和音「レ・ファ♯・ラ・ド」
それに慣れたらできる範囲で和音を組みかえ、ハ長調で身につけた知識がト長調でもつかえることを確かめましょう。音はかわっても、考えかたはかわりません。
納得がいったら、さらにコード・ネームに置きかえてゆきます。
コード・ネームは楽譜がなくても弾くべき音がわかる便利な記号なので、ト長調の和音を楽譜に書くことはしませんでした。楽譜ありきではじめると、コード・ネームの本領は発揮されません。手でおぼえてしまいましょう。もともとピアノが主科ですから、できるはずです。
がんばってね。(こうき)
レッスン日 2008年5月9日(金) 18:00
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