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レポピ - Piano Lesson Report

埼玉県上尾市&桶川市にある「たかすぎ音楽教室」(ピアノ・声楽・ソルフェージュ・楽典)のレッスン風景をつづります。

「悲愴」の第2楽章

2007年08月14日 | レッスン

まきさんのピアノ・レッスンです。

これまでさらっていたモーツァルトの「ピアノ・ソナタ ハ長調 KV545」第3楽章にマルがついて、つぎの曲を相談したら、ベートーヴェンの「ピアノ・ソナタ ハ短調 Op.13 悲愴」が弾きたいといいます。

おお、これはシリアスな大曲だ! と思ったら、おだやかでゆっくりの第2楽章を弾きたいとのこと。もちろんOKです。

まきさんにとって難関になりそうなのが、フラット4つという調号。それから4声体の書法。最後に、ひろい音域をカバーしなければならないということ。

変イ長調の調号である♭×4を心配したのは、これまでの曲のさらいかたを見てきて、まきさんがどうしてもハ長調(調号なし)を基準に、「この音とこの音とこの音…が黒鍵になる!」というとらえかたで調号に対応してきたからです。

それがうまくゆくときもあるのですが、調号がふえると黒鍵さがしの負担は増大しますから、端的にスムーズに譜読みがすすむかどうか一抹の不安があったのでした。

黒鍵うんぬんよりも変イ長調には、本来ならばハ長調をはじめほかの調性とは異なる固有の手のポジションがあることをおぼえたほうがよいのです。それには変イ長調のスケールと、カデンツの練習をよくすること。変イ長調の曲は、基本的に鍵盤のどこに手があればよいか、これによって実践的におぼえられます。

さて第2楽章をたんに耳から聴くと、まずうつくしい旋律があり、それが和音でささえられている和声音楽(ホモフォニー)のように思えます。
しかし楽譜を見ると、伴奏パートには3本の独立した横のながれがあり、ソプラノの旋律パートまでふくめると4声体の多声音楽(ポリフォニー)の書法で書かれています。

ポリフォニーのむずかしさは、これまで数曲さらってきたバッハの小曲で体験ずみ。たった2声体であっても、独立した声部のながれをコントロールするのはたいへんだということをまきさん自身が知っています。それが4声部ともなると…。

音域のひろさは指づかいの工夫と、ペダルでなんとかなるかもしれません。

いずれにせよ、ここはむずかしいかもしれないという上記3点をまきさんに伝えて、とりあえず譜読みをすすめてもらうことにしました。

調号に関しては、心配したほど混乱がみられませんでした(よかった!)。

即効性のあるアドバイスとして、♭系の長調の場合(変イ長調も該当する)、じゅんばんにふえてゆく調号(♭)はすべてじっさいの黒鍵に対応しているので、♭×4ならば、鍵盤上に見える黒鍵5つのうち、「ソ♭」をのぞく黒鍵はどれも弾くことになる、と意識してもらいました。

まきさんにとっては、おおいに役にたったようです。

今日は第16小節まで見ました。

弾きとおしてもらったあと、バス声部だけ取りだして弾いてみました。こうして1声部ずつ取りだして弾き、弾きながら聴くと、ついつい縦のラインばかりに注意がむきがちな両手奏のときよりもパートごとの横のながれが意識できます。

バスを弾きながら、あたまのなかでは主旋律がイメージできるとさらに効果的です。

つぎに左手のバスに、右手の内声だけをくわえてもらいました。伴奏パートができあがります。内声が左手で弾くようにできていれば、この曲もいくぶん弾きやすくなるわけですが、右手でとらえるように書かれています。

伴奏パートで、すでに両手奏になります。
和音の移りかわりを耳でとらえながら、やはり心のなかで主旋律を歌ってもらいたいと思います。そうして心のなかで歌っているうちに、「自然に右手の指がその音を弾きたくなる」というくらいに、伴奏部のみの両手奏を練習してくださいとお願いしました。

まきさんは、こうして伴奏パートのみ取りだして弾く練習はまだおこなっていなかったといっていました。片手ずつの練習はしたようですが。
そう、この曲は片手ずつ練習しても伴奏パートにはならないんですね。ぜひ今日のように、パート別に取りだしてさらってください。

それから、つぎの部分の装飾音の入れかたを練習をしました。楽譜上は複雑ですが、ショパンなどの装飾音とちがって、きちんと音価のなかにおさまるようになっています。
第21小節はターンといって、譜面の音を基準にして上2度、下2度の音をとおって、もとの音にかえってくる音型になります。「ファ・ソ・ファ・ミ・ファ」
左手の和音のきざみに、きちんとおさまるはずですよ!

つづく前打音「シ・ド・レ」をふくむこまかいパッセージでつかえてしまうのは、まず直前のターンのリズムを整えることが先決です。それからとまらずにターンから「シ・ド・レ・ド・シ♭・ソ」まで一気に指が動くこと。リズムや指づかいのことを考えていたら、流暢にはながれてゆきません。

繰りかえし弾いて練習しました。来週、再確認しましょう。

そういえば、まきさんはオリンピックの聖火ランナー(!)になるらしいのです。聖火ランナー募集の案内に応募したそうです。すごいですねえ。
どの区間を走るのか詳細はまだわからないそうですが、この夏のあいだに本番だそうです。「マスコミの取材があったら、ぜひ僕にも知らせてね」といって応援しました。
でも、まきさん、数ヶ月前は足にギプスをしていてたいへんだったのに…。タフですね。

がんばってください!(こうき)

レッスン日 2007年8月8日(水) 19:00


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