goo blog サービス終了のお知らせ 

レポピ - Piano Lesson Report

埼玉県上尾市&桶川市にある「たかすぎ音楽教室」(ピアノ・声楽・ソルフェージュ・楽典)のレッスン風景をつづります。

4声体の和声聴音

2006年04月26日 | レッスン

みおさん(中学3年生)のソルフェージュのレッスンにて。
今日はいちばんはじめに、4声体の和声聴音をおこないました。

和声聴音では、バス+上3声(ソプラノ、アルト、テノール)の計4音による和音の連続を、一定回数のうちに聴き・書きとります。和声聴音を確実にクリアしてゆくもっとも基本的なポイントは、4音の縦のひびきを感じとりつつ、ひとつのパートを横にたどって聴いてゆくことです。頭ではわかっても、これがなかなかむずかしい。

みおさんは和声聴音をはじめてまだ日があさく、4音の和音のひびきに慣れていません。もともと音感はよいので縦にどのような音が鳴っているか、全体のひびきは直感的に把握できるのですが、バス→テノール→アルト→ソプラノの順に正確に音をいいあてることができません。
これはとくに開離形(テノールとソプラノ間の音程が1オクターヴ以上はなれた配置)で顕著です。

たとえば、バス+上3声が開離形「ド+ソ・ミ・ド」と鳴ります。バスから上にむかって順に音を答えてもらうと、「ド+ミ・ソ・ド」と密集形(テノールとソプラノ間の音程が1オクターヴ以内におさまる配置)で答えてしまう、などです。
全体が「ドミソ」のひびきであることは直感でわかっています。しかし、きちんと各音の音高(ピッチ)をとらえることに不慣れなのです。

これはあるていど慣れることによって解決します。4音をバスから順に、すこしタイミングをズラしながらアルペジオのような奏法で鳴らし、それを聴くのはよい練習方法です。慣れてきたら、ズラしていた音をしだいに同時に鳴らすようにします。
また、上3声だけをとりだして聴くこともよい方法です。

さて4声の和声聴音は、つぎの手順で聴きとってゆきます。
①まずバスとソプラノの音を、横にたどって聴きとる。1回で両方が聴きとれればいうことなし。これによってひびきの枠組みがきまる。
②最初の和音が密集配置なのか、開離配置なのか注意しながら、アルトとテノールの最初の音をとる。
③ふたつの内声(アルトとテノール)の音を横にたどって聴きとる。

こうした手順をふんでも音の配置によってはなかなか聴きづらく、音の横のつながりを見うしないやすい箇所が出てきます。
もちろん耳で聴きとれればそれに越したことはありませんが、聴きづらい箇所は和声法のルールにもとづいて音を予測し、「この音が鳴るはずだ」という意識をもってあらためて聴くと、きちんと聴こえてくるものです。
つまり耳を訓練すると同時に知識を連動させると、ある音がつぎにすすむべき音を予想できるのです(極端な例では、古典的な和声法に準拠したシンプルな課題では、バスとソプラノを聴きとった時点で、そのほかの内声は聴かなくても音がわかる場合すらあります)。

今日はハ短調・2分の3拍子・8小節の課題でした。
短調を聴きとる場合、長調とちがってとくに気をつけなければならないのは、音階の第7音に臨時記号をつけて導音に変化させなければならないことです。ハ短調の場合、音階の第7音「シ♭」は、主音にむかう際にかならず半音高められ(導音)、主音と半音関係になる「シ」にしなければなりません。譜面上にはナチュラルが必要となります。

そのつど聴きとる手順やヒントをあたえながら、1声部ずつ聴きとりました。
ソプラノは1回で聴きとれました。バスもほとんどだいじょうぶです。見うしなった箇所にヒントをあたえると、そのあとは最後まで音を横にたどってゆけました。

ところが、やはりテノールとアルトにおいて、音がおたがいの声部のあいだを行ったり来たりしてしまいます。アルトだと思って聴いた音がじつはテノールだったり、ぎゃくにテノールだと思って書いた音がアルトだったり、ということです。

音高にたいする感覚をそだてることが大切です。「ド-ミ」と「ミ-ド」は似たようなひびきをもっていますが、やはり固有のピッチをもっています。

それから和声は、もともと和音を「なめらかに」つないでゆくための定石です。「なめらか」とは、2音のつながりがおなじ音であったり(保留)、となりの音であったり(順次進行)する状態を意味します。
ですから音を見うしなってもあわてず、ぎゃくに予測して待ちかまえて耳をすますこと。ソプラノとバスが聴きとれていれば、あともうひとつの(鳴るべき)音はおのずとわかるはず。

レッスンで課題をこなすだけでなく、おうちで復習してみてください。(こうき)

レッスン日 2006年4月21日(金) 17:00

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« うごく音、とまる音 | トップ | スケールとカデンツ奏 »

コメントを投稿

レッスン」カテゴリの最新記事