猫の音

君の言葉を借りてみた  ~ 心のお天気 覚え書き ~

アタシがアタシであるために

2004-10-16 | 心のお天気
昔話をしだすと年をとった証拠と言われるそうだが、
アタシの小さな頃の話をしよう。

過去記事にもあるように
保護された時わずか300グラム
鳴けても「ピーピー」としか言えなかった。
お母さんの顔も知らない、お父さんの顔も知らない
兄弟がいるのかいないのか、それも解らない。
震災で更地になったままの空き地に独り
置き去りにされていたそのワケも解らない。
小箱に敷かれてあった夏草は、
置き去った躊躇いの意識の表れだったのかもしれない。

真夏の大きな大きな太陽に炙られて日射病になるか
野犬に遊ばれてしまうのか、
夕立が起きれば屋根のないアタシは一溜まりもなく
待つことしか出来ない明暗に、アタシは耐えるほかなかった。

明とは言えないまでも暗でないことは確かで
主との出会いがアタシを心細さと空腹から救った。

主は言った。
助からない命なら、私の腕の中で見届けてやりたいから
せめて名前だけでも付けてやりたいから。

・・・ 冗談じゃないわ、アタシは生きてくつもりよ ・・・

母さんの心音の代わりに小さな目覚まし時計と
兄弟の代わりに、新生児用の縫いぐるみを一緒に
目が開いて始めて見たのは父さん主。
ヘソの緒がとれて歯が見え始め、泣いて笑って季節は巡り
アタシは今ここにある 。