猫の音

君の言葉を借りてみた  ~ 心のお天気 覚え書き ~

ライバルは大仏

2004-08-26 | 心のお天気
アタシは1度だけ「電車」に乗ったことがある。
まだミルクを飲んでいた頃であったから
事態は解らないも
心細さから主のTシャツに爪を立てたまま、
けしてキャリーバッグの中には戻ろうとしなかった。

アタシが揺られたことのある、その路線を主が使う時刻は
若干にラッシュを免れているらしいのだが、
「女性専用車両」での席取り合戦は避けられないようだ。

中でも1人強敵がいるらしく、
主としては、その強敵だけには負けたくないのだそうで
勝つべく車内に滑り込むのだと聞く。
年の頃でいえば主の半分、とまではいかなくても
ひと回りはお嬢さんに見えるようで、
それが闘志を燃やす理由なのかもしれない。

強敵と呼ばれるだけのことあって、かなりの腕の持ち主らしい。
一昨日のこと、予想外の「肘鉄の技」をかけられた主は
寸前のところで敗れるところだったようだ。

「肘鉄の技」は反則である。
まったく侮れない相手だ。

主は密かに強敵を「大仏」と呼んでいる。
「女性専用車両」とは結構激しい車両でもあるということだ 。

火の用心

2004-08-21 | 心のお天気
今夜はことの他、虫の音が大きく聞こえてくる。
タオルケットの下に潜り込んで、この音を聞いていると
アタシはいつの間にやら寝てしまう。

猫の語源は「寝る子」から来ていると聞いたことがある。
確かに1日の大半を寝に費やすアタシではあるが、
何も1日を寝る、食すのみで過ごしているわけではない。
たった1度きりではあるがアタシは手柄をたてたことがあった。

ピーピー音のするケトルではない、
ガスもれ警報機の「ピコピコ」でもない、
お湯の吹き零れを鳴いて騒いでアタシはお知らせしたのだ。

今時のガステーブルは
安全装置がついてあるので多くは大事に至らないのだろう。
けれどしかし、アタシには我が家の一大事に感じた。

うんと褒められたけど
「シュンシュン」飛んでくるお湯は本当に恐怖だったのだ 。

悪魔が囁く

2004-08-16 | 心のお天気
さて。

アタシは滅多と叱られることをしない。
がキッチンの壁の爪磨ぎに限っては例外中の例外だ。
とうとう壁紙が破け落ちた。
その落ちた破片をチョイチョイと手で弄んでいたらカミナリが
落ちてきた。
もう誰の目も誤魔化せない、「破け」以外なにものでもない。

アタシの中の天使は何度も注意される意味を解っている。
しかしアタシの中の悪魔が囁く。
爪磨ぎはストレス発散の1つなのだから止める気はないわ。

すると家人たちの視線を横見しながらの爪磨ぎになるわけで
でも、「サクッ」と爪を刺すともう夢中で磨いでしまうのだから
アタシの中の配分は少し悪魔が多いのかもしれない 。

律儀な猫と呼ばれて

2004-08-12 | 心のお天気
アタシはよく「律儀」だと言われる。
呼ばれると十中八九の割合でお膝元まで出向くからであって
別に大したことではない。
都合がつかない時や、その気分になれない時も勿論ある。
そんな時は目を閉じて小さな返事だけ返しておく。

しかし、向こうは諦めない、

折れたアタシは腰をあげて出向くことになる。
そして褒められる。

これが「律儀」な猫と言われる所以だが
ホコリ取りの粘着シート「コロコロ」、という発音を聞くと
自分の事と勘違しアタシは返事をしてしまう。

そんな「C音」にも敏感になってしまうアタシであった 。

それなりに生きる

2004-08-11 | 心のお天気
鳥は生まれて初めて目にしたものを親だと思い込むと
いう。「刷り込み」は鳥類に限ってのことなのだろうか。

アタシが初めて目にしたのは主である。
片目が薄く開花を見せると、もう片側の目は主が
濡らした綿花で開きを促してくれた。
猫に「刷り込み」は値しないのかもしれないが、
アタシは主が大好きで、そして主も我がコ同然に応えてくれる
その信頼関係においての絶対は、けして言いすぎではない。

といっても、主も留守にすることがある。
まして一夜不在となると何かと根回しが要ってくる。

そんな時アタシは即座に次点を探す。
とっても良い子に変身し、自分をアピールする。
何をおいても生命線である食の手配をしてくれる人は必要だし、
場合によっては甘えたい時もある、遊びたい時もある。
だから家人の中でも使える人でなければならない。

確かに主の不在は心細く困ることも多いのだが
主と違って家人たちは口うるさい事を言わない。
だから不自由なようで、実はアタシそれなりにエンジョイしている。

そうこうしていると主が帰宅する、
アタシは最高に甘えた美声で駆け寄る。

「おかえりぃ~ 。」