不安は我々が、精神の進歩発達とともに、ますます増すものです。小児の時よりも、年をとるほど心配事は多くなる。医者になるにも、病気の事を多く知れば知るほど、気になる事は多くなり、貧乏よも、金持ほど苦労が多くなる。
エジソンのような発明家になれば、発明したい事が、いくらでも増してくるのである。我々は不安があり、取越苦労が多いほど、行う事は多くなり、初めて人生の生き甲斐を感ずるのであり、そこに初めて、不安障害は跡をたつのである。
人は火を涼しく感じ、水を温かく思いたいという時に、そこに迷妄を生じるのである。人は自然に帰れば、冬は寒く、病は恐ろしく、不潔は厭わしく、人に対しては差恥を感じるべきである。不安障害は、冬を暖に、夏を冷に感じようという欲望をたくましくするものある。