古本屋で働く主人公について、書く準備が整う。この店では、全員がすべての仕事をかわりばんこにやる。今私は簡単なほうから半分くらいの仕事を経験した。そのクライマックスが昨夜あった。金庫関係としかいえないが、それをやるとき、厳かといってもいい雰囲気になった。高貴なかたがたの朝晩の禊みたいに、こまごまとしきたりがあって、タブーもあって、じつに興味深い。これをそのまま書いたら企業秘密にふれる、くびになるので、フレイバーだけ残して中身は変える。テレビ局やデパートなどに特有の暗号のようなものが、この店にもある。ところてん、というのが、いちばん使われる暗号。入ったばかりの頃は、ところてんの要領がつかめず、ところてんにしてはいけない本を、ついところてんにしてしまって、やんわりと叱られたりした。ご想像あれ。 写真は、ブライアントパークの噴水。