ロシアのウクライナ侵攻の為、プーチン御用達指揮者のゲルギエフ氏が指揮をするウィーン・フィルのカーネギーホール・コンサートがキャンセルされた。指揮者無しで演奏したらよかったと思う。
以前、指揮者のデュダメルが粋なはからいで、アンコールに同じ曲を指揮無しでどうぞとステージを下りて、楽団だけで演奏するのを見た。デュダメルより若いメンバーでさえ、「私等は君が生まれるずっと前からこの曲を弾いておるのじゃよ。」みたいな顔で堂々と弾いてた。そりゃウィーン・フィルだもの。立場によって正義は揺らぐ。伝統は揺るがない。
「文化は政治や戦争の駒になってはなりません。中略。音楽は人々を繋ぐもので、離反させるものではありません。」
と言うウィーン・フィルの団長は正しい。音楽は揺るがない。
「ニックの悪夢」
僕は、昔のエイブリー・フィッシャー・ホールへ向かってタクシーでブロードウェイを下っていた。隣りに君も居た。僕の膝の上には、ブラームスのピアノ協奏曲第一番ニ短調の楽譜。よく知っている曲だ。冒頭くらい弾けるかもしれない。だがピアノで全曲弾き切るとはとても思えない。何故僕は引き受けてしまったのか。おまけに渋滞で本番に間に合わない。もう駄目だ。どうしよう? そうだ!
「マニー・アックスに電話しよう!」
と叫んで、目が覚めた。
以上がニックの話だ。
夢の中の私は何も言わなかったらしいが、言うとすれば、「それよりニューヨーク・フィルに電話して、急きょプログラムをドボルザークのチェロ協奏曲に変更してもらいましょう!」だろう。