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ミセスローゼンの道後日記

インデイアンサマーと云ひて街へ下る

インディアンサマー(小春日和)。調整に出したチェロをニックが取りに行く。新しいセッティング、新しい弦に、新しい弓毛。後は演奏会までに馴らし、鳴らすのみ。

 
「無伴奏バッハ四番プレリュード」
エアリング・ブレンダール・ベンクトソンというデンマーク人のチェリストは、1932年にコペンハーゲンで生れ、フィラデルフィアのカーティス音楽院でグレゴール・ピアティゴルスキーに学び、先生の助手も務めたそうです。ピアティゴルスキー特待クラスでは最年長の生徒でした。後年、ニックが彼のバッハ無伴奏組曲四番プレリュードの演奏を聴いた後で、先輩と後輩の間柄なので遠慮なく、「私はこのプレリュードを弾く時、重い煉瓦を一つ一つ積み上げて、自力で聖堂を建てる男の物語を思い描くんです。そんな呼吸を積み重ねて、初めてこの曲が弾けるような気がします。あなたの弾く速度では、到底煉瓦は積めません。」と、彼の演奏が速過ぎるのではないかと仄めかすと、ベンクトソンはこう答えた。 「君、もっと小さな煉瓦を使ったらどうかね?」 
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