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ミセスローゼンの道後日記

紅葉かつ散る渾身のピツイカート

最初の出産というものは全てが未知で、恐ろしくもあり、楽しみでもあり、私は25年前のその日を最高の思い出にしたいと願っていた。次女の時は倹約と便利を第一に考えて産院選びをしたが、初回は、当時ハイヒールモモコさんがカッコよく出産されて評判のファンシーな産科クリニックを選んだ。マタニティー水中ヨガ、瞑想タイム、産後のフルコースディナー、ヘアケアサービスなどが充実していた。しかし、そううまくはいかなかった。母と同じように途中で力尽きて、陣痛が消えてしまい、二日がかりでへとへとになって産んだ偽、貧血してヨレヨレ、テーブル一杯のフルコースも喉を通らず、ヘアケアも受けずじまいだった。産んだ翌朝から母子同室でお乳が出ずに落ち込み、ミルクがうまく飲めない長女を一日中抱いて一緒に泣いていた。お見舞いに来てくれた祖父に、「ほう、この子は色っぽいね。」と言われた時だけ、思い切り笑った。赤ちゃんに対する褒め言葉にしては滅多に聞かない。25年後も色っぽいかどうかはお見せできませんが、今はニューヨークでコロナの魔手を避けつつチェロを教えて働いて、健気に暮らしている。お誕生日おめでとう!!
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