どの窓も秋の灯や源氏よむ

別れ際に、Ｄが寂しいことを言う。
「もう一度、あなたと一緒に弾きたい。あなたがたが日本へ発つ前に……」
先日のサマーミュージックサミットで先生とＤは一緒に弾いた。ミヨー、ドビュッシー、ベートーベン、アンコールのバッハ、どれもすばらしかった。出来の悪いのが一つもなかった。よく準備されてて、しかもエキサイティングであった。ピアティゴルスキークラスの優等生だった二人がいつもする思い出話がある。
別の生徒Ｓの演奏会終了後、Ｐ師はしみじみ煙草を吸いながら、二人に言ったそうだ。
「ただ、よく準備さえすればいいんだよ。そうすれば師に恥をかかせずにすむんだがなあ」
来月下旬、ワラワラワシントン、（ほんとうにそんな地名があるんです）で楼前先生はシューマンコンチェルトをオーケストラと弾く。「よく準備して、私のフィアンセに恥をかかさないようにするよ」と先生は言ってる。

巨大アボカド。