ボリショイ劇場 & シドニ-オペラハウス観劇記

元モスクワ、現在シドニ-赴任の元商社マンによるボリショイ劇場やシドニ-オペラハウスなどのバレエ、オペラ観劇記です

ボリショイ・バレエ スパルタクス 2006年10月22日

2012年01月09日 | Weblog

 

 

パルタクスは2006年10月21日、22日と二日続けて見ましたので今日は10月22日の記事を再録します。

カテコ動画もUPし直しました。

この日の記事へのコメントも貴重ですので合わせ再録します。

 

スパルタクスは初めて見るバレエということもあり二日続けて見て見比べました。

22日のスパルタクス役はアレキサンダー・ボロビヨフ、クラッススはアレキサンダー・ボルチコフ、フリーギヤはマリアンナ・リュジキナ、エギナは前日と同じシプリナ。

結論から言うと初日の配役の方が上でした。

まず主役のボロビヨフはこの写真でもお判りの通り前日のユーリと比べるとはるかに華奢で2幕、3幕の片手リフトも相手役のジャンプの反動でやっと支えているという形で腕が震えてぎりぎりという感じがありありで余裕なし。

相手役クラッススに関してはネポと比較すると一寸良いかも知れません。ネポだけ見た時は彼の何時もより良く見えたのですが比較すると上はいるかなと。

マリアンナはアンナの方がより愛情を感じさせました。

シプリナは二日目なのでじっくり見ることが出来ましたがクラッススを励まし時には脅す拳を握り締めて上に突き上げる動作が何度もでて単に妖艶なだけでなく鉄の女を表現していました。

オケは最初から華々しい金管の演奏でしたが聞かせるのであれば観客席との移動式の壁を下げるのかと思っていましたが余りに金管が華々しすぎる為か壁は全く下げないままでの演奏でした。それでも十分に豪快なオケでした。

又フィナーレは女声合唱がバックでアーアーと情感を盛り上げる中で死者となったスパルタカスをみんなが持ち上げてフリーギヤがその上に盾を載せて終焉。

尚 槍で突き上げられるスパルタクスの最後ですがユーリは串刺しの前に剣を自ら投げ捨てて串刺し、アレキサンダーは剣を持ったまま串刺しにされ

絶命したところで剣を落とすと細かいところですが差があります。

ボリショイ通の情報ではユーリは自分の解釈の中で潔く死を受け入れるというこの死に様を選んでいるとの事。

カテコ動画 

 
コメント
エギナ繚乱 (Nana)
2006-11-05 00:31:39
エギナは不思議な役で、一人一キャラといってもいい位踊ったバレリーナによってキャラが違って見えました。片やの敵将クラッススは、台本上は張子の虎でも見た感じは「敵ながらあっぱれ」なかっこいい男らしい大将系と、暴君・馬鹿殿系の、2大潮流があるように思ったのですが。(全て自分の主観で、私もボリショイに詳しいわけではないので、モスクワでの定着した見方はどんなのかしりませんが)以下私見。

80年代と思いますが、「ボリショイバレエ イン ロンドン」というビデオの中の、当時の金髪美人プリマ、アッラ・ミハリチェンコ。ローマの美人コンテストで優勝したような気品ある美女。かっこよく男らしい風情の敵将クラッススが得ることの出来た国一番の美女の雰囲気。踊りはポーズの美しさが目立つ。悪女度低い。

89年頃、ボリショイ劇場の映像。美人の顔を鬘と厚化粧で不美人にしたマリヤ・ヴィロワ。ポーズよりエネルギッシュなパのダイナミズム、解放感が快感を呼ぶ。彼女は自分の踊りをギャンブラーだと称していたが、まさにそんな思い切りのいい、ケガしそうな踊り。キャラはテレビアニメの悪女のような悪悪っぽい判りやすく類型的なものだが、それを確信犯的に嬉々として踊るさまが心地よい。敵将も暴君ネロかヘリオガバルスかといったイカれた系悪役のA。ヴェトロフでキャラの相性も良い。

90年代、日本の地方でのバレエのガラ公演。未見ですがN.セミゾロワ。
あの振付を最もよく動いて踊ったという話。「人間の身体があんなに動くのか!」といわれて、観た人と批評が褒めていたので私は見なくて失敗でした。ヴィロワのビデオを見てる人が、それとはかなり異なった印象の踊りだったといってたので、ヴィロワ以上にうごいたのでしょう。マイナー話題になってました。

02年ステパネンコ。グラチョーワに比べると、賢妻型。武士の妻、の如し。男性を立てる女性。ステパネンコはグラチョーワを観て、2回目は振りの一部に回転技を加えて変えていました。

02年グラチョーワ。男性を性的なとこで押さえて牛耳り、自身が支配者の如く振舞うこわ~い女性にも見えたけど・・。彼女なりの信義もありそうで、それがますます怖いエギナ。煮崩れたような熟女ボディの色気。女王様エギナ。どうみてもネポのクラッススより上に見える。相手がペレトーキンだと少し違ったニュアンスだったのかしら。グラチョーワ・エギナの官能性についてはここで語りつくせないので、概略だけ書きました。あの創造性には参った!

という調子なので、なんでもありなのかも、エギナ役。アラーシュも02年踊ってますが(未見)、近年評価を上げてるようです。

シプリナにはシプリナのエギナがあるのでしょう。

前日の私のコメントは、カテコのコールドが・・。やる気が今ひとつなのかな?と思う人がいて、この演目にいつまで明日があるのかわからないと思っただけで。男らしさが足りないとかではなくて。
総監督が「いつまでもプリセツカヤ、ワシリエフの踊った演目でもないでしょう」と日本の雑誌で発言してて、意図はわかりませんが、それで私は、次にどのレパートリーが消えるのかしらと考えたわけです。明日は明日の風が吹く。管理人さんたちがユーリらの「スパルタクス」をご覧になれて喜んでます。一期一会の出会いを楽しまれますよう。では。

エギナ (管理人)
2006-11-05 06:39:02
エギナは色々な人のいろいろな魅力が見せられそうな役ですよね。色々なエギナを見比べたいものです。
クラッスス (Nana)
2006-11-05 21:35:27
岩田さんのインタビューに、ボリショイで道化を踊るときについて、「昔の宮廷の道化はこういう動作だった」ということを踏襲してやっているというお話があったので、多分スパルタクスも時代考証など、かなり入っているのかなと考え直しました。

上記勝手に見たままを書いてしまったのですが、クラッススは一応実在の人物なので、02年グラチョーワの相手クラッススのネポロジニーの形象は、見る人が見たら、軟弱すぎて、史実から見て飛躍が過ぎると思うかもしれないなーと思いました。A.ヴェトロフあたりも危険水域かも。かなり荒れた暴君の形象でした。日本ではクラシカでテレビ放映された90年半ばのボリショイ劇場「スパルタクス」のクラッスス役、M.ペレトーキンが、おそらく過不足なく台本どおりのクラッススなのだろうと考えています。

でも面白かったネポの最軟弱クラッスス。ボルチコフは少し気が強そうな顔をしてるので、ネポやヴェトロフに比べ、普通に将軍っぽい形象だったのかなと、画像見て思いました。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿