view 旅情運び続ける寝台列車 「カシオペア」“第二の人生”

タタン、タタン…。寝台列車の個室内に響く、レールのつなぎ目を通る際に生じる規則的なリズムが眠気を誘う。消灯すると、星空のようにきらめく夜景が車窓に浮かび上がった。宮沢賢治の「銀河鉄道」に乗ったなら、こんな景色なのかもしれない、と夢想した。
JR東日本の寝台特急「カシオペア」は上野(東京)-札幌(北海道)間1214キロをつなぐ列車として平成11年、運行を開始した。高水準のサービスや客室が提供されたことから、豪華列車の代表格として名をはせたが今年3月、北海道新幹線の導入に伴い、定期運行を終了した。
6月以降、カシオペアの車両は団体専用臨時列車として“第二の人生”を走り始めている。先月、企画列車「カシオペア紀行」が上野-長野間を運行した。

午後4時18分、カシオペアは上野駅を出発し常磐線を北上、武蔵野線を経て中央線へ。乗客はダイニングカー(食堂車)でゆっくりと豪華な夕食を取った後、列車は塩尻で7時間ほど停車して一夜を明かす。
朝8時半過ぎに出発。篠ノ井線に入ると、黄金色に色づいた田んぼや、北アルプスの山々が車窓を彩る。沿線では、ふだん見かけることのない列車の通過とあって、鉄道ファンや子供たちが写真を撮ったり手を振ったりして“出迎え”てくれた。

車内で出会った東京都杉並区の三村武夫さん(74)は「食事や就寝の時間に停車したこともあり、ゆったり過ごせました。旅情があっていいですね」とにっこり。
日本三大車窓にも数えられる姨捨(おばすて)駅を通過し、2日目の午前11時43分、長野駅に到着。約19時間半ぶりにホームに降りて吸い込んだ信州の空気は、秋の香りがした。 (写真報道局 古厩正樹)
◇
◇
<iframe src="https://www.youtube.com/embed/B1O4bM-6kQA" frameborder="0" width="640" height="360"></iframe>

