地理総合の研究 付2018年センター地理AB本試・追試解説 

「地理講義」の続き。「地理総合」に「2018年センター試験地理AB本試・追試の問題と解答解説」を追加。

23.宮崎県のきゅうり 地理総合

2019-03-09 18:59:39 | 地理講義

宮崎県の気候
冬に温暖であり、冬の端境期にきゅうりを高い価格で大都市市場に出荷できる。きゅうりの都道府県生産量(2018年)は、宮崎県67,200トン、群馬県55,400トン、埼玉県46,600トンである。宮崎県は、冬の暖房費用が少なく、きゅうりを冬を中心に全国に出荷する。
きゅうりは1箱5kg詰め、大型保冷トラックで東京市場まで運ばれる。1本100円のきゅうりの運賃は、宮崎の農家から東京市場まで7円程度であり、東京近郊のきゅうり産地と比較しても不利ではない。しかし、宮崎県の冬のきゅうり生産コストが、他産地よりも低いので、冬を中心に大量に出荷される。

価格と市場
冬にきゅうり価格は高いのでえ、宮崎県からは大都市市場に大量に出荷される。7月~9月は、宮崎県のきゅうり農家は種まき・定植などの農作業が中心になる。夏はきゅうりの市場価格が安いため、他産地との競争を避けるのである。
東京市場では夏は近郊農業にまかせ、それ以外の価格上昇時には宮崎県の輸送園芸が大きな役割を果たす。同じことは大阪市場でも言えることである。

 

 

宮崎県のきゅうりの生産技術
大型鉄骨ビニールハウスには、低温時に備えて暖房施設が整っている。また、光合成促進機や大型加湿器を導入し、きゅうりの成長を促進させている。
品質の安定と連作障害を防ぐため、きゅうりの苗木をかぼちゃの苗に接ぎ木する。また、つる下ろし栽培による品質を安定される。きゅうりの収穫は、出荷用の5kgの箱に直接入れるワンタッチきゅうりである。選別・包装過程が省略され、コストダウンを図るとともに品質低下を防ぐことができる。

きゅうりハウス内で直接箱詰めするので、検品・選別・包装の手間が省略できるし、鮮度も保たれる。人手に触れるのは収穫時期の1回だけであり、ワンタッチきゅうりと言われ、大都市市場での評判がよい。

きゅうりには白い粉を吹くブルームきゅうりがある。白い粉はきゅうりの生理的なものだが農薬・肥料と誤解され、売れないことがある。そのため、白い粉のないブルームレスきゅうりの栽培が増加した。ブルームきゅうりとブルームレスきゅうりの違いは、接ぎ木の台となるかぼちゃの品種によるものである。

宮崎県と高知県のきゅうりは1970年代までは産地間競争が見られたが、宮崎県産が価格競争に勝ち、きゅうりの栽培をさらに増やした。一方、高知県はなすの栽培に転換した。

 


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