地理総合の研究 付2018年センター地理AB本試・追試解説 

「地理講義」の続き。「地理総合」に「2018年センター試験地理AB本試・追試の問題と解答解説」を追加。

10.アメリカ合衆国の大豆栽培  地理総合

2019-01-28 18:49:47 | 地理講義

アメリカ合衆国は大豆の生産量が年1億トン、輸出は中国・メキシコ・EUなどに5,000万トンである。遺伝子組み換え大豆は製油用・飼料用として中国・日本などに輸出される。少量の遺伝子組み換えでない大豆は、食品用として日本に輸出される。なお遺伝子組み換え大豆は、製油用として日本に大量に輸出され、絞った大豆かすは飼・肥料用として、日本国内で広く販売されている。

アメリカの大豆生産量は世界第1位であり、輸出量も世界第1位である。アメリカの大豆生産地域はイリノイ・インディアナ・オハイオなどの中西部である。大豆栽培は19世紀から始まったが、製油用が主であり、需要は多くはなかった。第2次大戦後、生産効率が悪くて価格の高い中国・日本で、アメリカ産の安価な大豆の需要が高まった。
大豆は連作障害や土壌侵食を起こしやすい作物であり、アメリカでは不耕起栽培や5年輪作が行われるようになった。5年輪作とは、とうもろこし、大豆、とうもろこし、エン麦、牧草の形で、5年に1回、大豆を栽培するのである。また、遺伝子組み換え大豆を栽培することで、病害虫の被害をおさえている。
アメリカが、日本よりも大豆栽培よりも恵まれている点は、夏の気温がより1~5℃は高温であること、日射量が2割は多いこと、多収量品種を毎年更新していること、早まきをすることで登熟期に雨季にならないこと、栽培前に大量の化学肥料を与えて栽培中は施肥をしないこと、などである。
大豆畑の平均的な面積は137ha、日本は北海道で6haである。大型機械を用いた大規模農業によるコストダウンができる。また収量も10a当たり、アイオワ州で313kgであるのに対し、日本では174kgである。日本の大豆栽培は効率が悪い。

近年、ブラジルのセラード開発が進んで、ブラジルの大豆輸出量が増加している。アメリカとほぼ同量の輸出量である、中国ではブラジル産大豆の方が多い。ブラジルにはアメリカの大豆栽培を手がける穀物メジャーが進出し、栽培から輸出までを一貫支配している。しかしブラジルから北半球に輸出する場合、熱帯を通るので大豆は変質し、。

 アメリカ中西部で生産された大豆はミシシッピをはしけ輸送で河口のニューオリンズなどに送られるが、鉄道でシアトルやロスアンゼルスにも贈られ、中国・日本などに輸出される。輸送路としては熱帯を通過しないので、高い品質を保持できる。
アメリカの大豆輸出金額は、とうもろこしや小麦の輸出金額を上回る。アメリカにとっては重要な輸出品である。


 日本のアメリカからの輸入大豆は、2013年に166万トンである。そのうち72万トンが遺伝子組み換えではない大豆つまり食品用である。アメリカでは、日本向けに輸出する大豆栽培も重要である。アメリカの大豆栽培農地の94%が遺伝子組み換えであり、残り6%が遺伝子組み換えでない農地である。アメリカ産大豆は1億トンだから、遺伝子組み換えでない大豆生産量は600万トンという計算になる。
アメリカ産大豆の半分以上は中国に輸出される。中国では国内の灌漑農業が制限され、豚・肉牛飼育の飼料が不足するためである。

 


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