地理総合の研究 付2018年センター地理AB本試・追試解説 

「地理講義」の続き。「地理総合」に「2018年センター試験地理AB本試・追試の問題と解答解説」を追加。

2018年地理A(追試)第1問解答解説 自然 

2018-12-30 09:58:27 | 地理講義

2018年センター試験地理A 第1問 

解答
【1】③
解説 プレートテクトニクスと地形
①◯ ナスカプレートが南アメリカプレートの下にもぐり込む、狭まる変動帯。チリ海溝ではしばしば大地震が起こる。1960年のチリ地震津波は24時間後に日本に到達、大被害を与えた。
②◯ 北アメリカプレートとユーラシアプレートの広がる境界であり、大西洋中央海嶺が存在する。アイスランドは大西洋中央海嶺の陸地化した火山島である。現在、分裂中である。
③× 「なだらかな山脈」が誤りで、「高峻の山脈」とするのが正しい。インド・オーストラリアプレートがユーラシアプレートの下にもぐ鋳込む、狭まる変動帯。ヒマラヤ山脈ができる。
④× 太平洋プレートが北アメリカプレートの下にもぐり込む、狭くなる変動帯。千島・カムチャツカ海溝では大きな地震が起こる。
詳細な解説
プレートの動きによって、大陸の移動や地形、地震・津波などが説明される。東太平洋中央海嶺から出発した、太平洋の各海洋プレートは年5~10cmの速度で移動して、大陸プレートの下にもぐり込み、そこには海溝と火山山脈ができる。なおフィリピン海プレートは海洋プレートであり、この下に太平洋プレートがもぐり込み、伊豆小笠原海溝ができる。海溝・火山帯のできる部分が狭くなる変動帯である。
大西洋中央海嶺からは南アメリカプレート、北アメリカプレートが西に移動する。またユーラシアプレートとアフリカプレートが東に移動する。アイスランド島は大西洋プレート上にある。



 

 

解答
【2】④
解説 温帯気候3地点の気候判定。
温帯気候の判定D-キ:ブエノスアイレス。Cfa。乾季がない。ブエノスアイレスは降水量は少なめである。
E-ク:ケープタウン。Cs。周囲はステップ気候であり、年降水量は少ない。
F-カ:プサン(釜山)。Cfa。気温年較差が大きく、年降水量も多い。
詳細な解説
Dはアルゼンチンのブエノスアイレスである。温暖湿潤気候Cfaは雨季がなく、夏には22℃を越える暑さであり、大陸東海岸に見られる。

Eは南アフリカ共和国のケープタウンである。アフリカ南端にあり、沖合を寒流のベンゲラ海流が流れ、年降水量は少ない。特に夏に少ないので、地中海性気候Csである。

  Fは韓国のプサン。日本の福岡とほとんど変わらない。Cfaである。梅雨・台風のために年降水量が多くなる。



解答
【3】③
解説 アルプス、アンデス、サハラの家畜の比較写真。
J(アンデス)-シ(リャマ)*入試センターは写真非公表。これは代用。
K(アルプス)-サ(乳牛の移牧)
L(サハラ)-ス(砂漠のラクダ隊商)
詳細な説明
アンデス:ペルー・ボリビアのアンデス高地ではリャマを荷物運搬用に飼育するラクダ。毛採取用に飼育するアルパカは、リャマの近縁種である。
アルプス:酪農は伝統的には移牧の形をとる。冬には山麓の畜舎で飼育し、秋には高地牧場アルプで飼育する。観光牧場ではチーズが加工生産され、観光客に直接販売されている。
サハラ:ラクダの隊商がサハラ砂漠を横断して荷物を運んでいたが、最近は高速道路をトラックで輸送する。ラクダの隊商は砂漠奥地から岩塩などの鉱物を運ぶことに利用される。

解答
【4】①
解説 地図投影法の比較
①◯ グード図法:低緯度をサンソン図法、高緯度をモルワイデ図法で描き、40度44分で接合した。高緯度の形のひずみを小さくするため、海洋部分を断裂した。面積が正しい。
②× サンソン図法:経線が正弦曲線で表される。緯線は等間隔の直線である。面積が正しい。
③× メルカトル図法:図上の直線が、実際の角度と等しくなる。正角円筒図法ともいわれる。面積と距離が正しく表現されないが、海図には適している。
④× モルワイデ図法:経線が楕円曲線で表される。高緯度部分の形のゆがみが小さい。世界分布図に適している。面積が正しい。
詳細な説明
グード図法:面積が正しい。海洋部分を断裂させると形も正しくなる。分布図に適している。最短コース(大圏航路)が地図外に飛び出る欠点がある。サンソン・モルワイデ図法。

サンソン図法:経線はサインカーブ。面積が正しいが、高緯度の形のゆがみが大きいため、中・低緯度部分だけが使われることが多い。2点間の距離も方位も正しくない。

モルワイデ図法:楕円曲線。面積の正しい正積図法。形が全体的にゆがみが小さいので、世界の分布図に用いられる。距離・方位は正しくない。

メルカトル図法:2点間の直線が、正しい角度を示す(等角航路)。正角円筒図法である。正しい方位・角度・面積は得られない。高緯度の面積が誇張されているので、面積の比較計測はできない。方位や最短航路(大圏航路)が曲線になる。

 



解答
【5】①
解説 排他的経済水域の国際比較
国土面積の狭いのは日本とイタリアである。日本は周囲全部を海に囲まれているから、イタリアよりは排他的経済水域が広い。従って、正解は①となる。インドネシアとインドを比較すると、周囲が全部海のインドネシアの方が排他的経済水域が広い。インドネシアは②になる。
詳細な解説
① 日本。国土面積38万㎢、排他的経済水域448万㎢。
② インドネシア。国土面積191万㎢、排他的経済水域616万㎢。    
③ インド。国土面積329万㎢、排他的経済水域231万㎢。   
④ イタリア。国土面積30万㎢、排他的経済水域54万㎢。
排他的経済水域では沿岸国が漁業資源・地下資源の独占的利用ができる。大陸棚資源の独占の考えがさらに拡大されたものである。1994年の国連海洋法会議で承認された。

 

解答
【6】② 
解説 火山災害
①◯ 海洋プレートが1大陸プレートの下100km程度まで沈み込むと、高温・高圧によってマグマができ、火山が形成される。
②× 四国には活火山はない。1,500万年前に石鎚山系の火山活動を最後に、以後の火山活動は見られない。
③◯ マグマや水蒸気により、岩石が溶けたり砕けたりし、大きな火山被害が起こることがある。
④◯ 火山灰が農地に堆積すると農地が壊滅的な打撃を受ける。火山灰を除去したり、化学肥料などの散布により、土質の改善を図らなくてはならない。
詳細な解説
火山の発生は海洋プレートが、大陸プレートの下にもぐり込み、大陸プレートが地下100km付近で高熱高温になって溶け、海洋プレートがマグマになって火山ができる。四国ではフィリピン海プレートの沈み込みが浅く、フィリピン海プレートが溶ける深さに到達しない。このため、四国には火山がない。
フィリピン海プレートは海洋プレートだが、伊豆小笠原海溝で、その下に太平洋プレートがもぐり込んでいる。そのため、フィリピン海プレート東部にある伊豆・小笠原諸島では太平洋プレートが火山弧を形成し、地震も起こす。

 

 

解答
【7】①
解説 火山・地震災害
①◯ 断層のずれには地表面・地下の断層、正・逆断層、横ずれ断層がある。また、火山活動によってマグマが動くと地震が発生する。地震による火山噴火予知が進んでいる。
②× マグニチュードが1増えると、地震のエネルギーは31.6倍になる。マグニチュードが2増えると、地震のエネルギーは1,000倍になる。
③× 震度は地盤の強さだけで決まるこことはない。地震の強さ(震幅)、震源までの距離が、震度を決める大きな要因である。
④× ハザードマップには、現在の学問レベルでは地震予知が不可能であり、地震の発生予想日は分からないから、具体的日時を書くことはできない。
詳細な解説
① 火山の噴火予知の成功した例として有珠山が知られている。マグマの活動を微少地震でさぐるだけではなく、傾斜計形とひずみ計で有珠山の山体のわずかの変化を観測している。また、噴気の化学分析や温泉の温度変化も重要である。
② マグニチュードM=logA+B(⊿,h)で示される。Aは観測点の振幅、Bは震央距離⊿や震源の深さhによる補正項である。
地震のエネルギーEとマグニチュードの関係は、logE=4.8+1.5M である。
③ 震度は観測した地点での大きさである。地盤が沖積平野であれば大きく揺れて震度は大きくなるが、山地・台地であっても震源に近い場合には大きな震度になる。
④ ハザードマップとは地震・津波・高潮・洪水・浸水・噴火・土砂災害などの被害地域を予測し、避難に関する情報を掲載した地図である。具体的な災害発生日時を予測することは不可能であり、地図には地震の発生日時は掲載されていない。

 

 

 

解答
【8】②
解説 津波の避難
①◯ 建物のほとんどは最大浸水深0~10mにも、10mよりも深い地域に集中する。
②× 津波は地震直後に襲来することもあり、役所からの避難指示を待たずに避難しなくてはならない。
③◯ 津波の高さは地震の大きさ・震源、被災地域の地形・地盤・河川などの状況によって大きく異なり、想定とは異なることがある。
④◯ 海からの距離や地震の大きさによって、対応が異なるが、速やかに避難する必要がある。
詳細な解説
① 津波の高さが20m、30mという例も少なくない。水深10.0m未満でも注意が必要。
② 役所の避難指示までの時間を待たず、地震が近ければすぐに避難しなくてはならない。TVのニュース速報を見ていて、津波に流された例も多い(2011年東日本大震災)。
③ 2階よりも高い津波もあるし、建物を破壊する津波もある。
④ 奥尻島地震(1993年)では震源が近く、地震4分後に高さ16mの津波が海岸集落を襲った。

 

 


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