地理総合の研究 付2018年センター地理AB本試・追試解説 

「地理講義」の続き。「地理総合」に「2018年センター試験地理AB本試・追試の問題と解答解説」を追加。

11.ブラジルの大豆栽培  地理総合

2019-01-28 18:50:14 | 地理講義

ブラジルのセラードはサバナ気候地域である。年降水量は1,000~2,000mmだが、夏の乾季における乾燥が著しく、イネ科の草原になる。根が深く、背丈の低い灌木も育つ。農業に不適当な土地240万㎢が広がる。セラードとは未開の大地の意味である。

ブラジルの大豆生産が増加し、中国への輸出も増加している。日本の開発したセラードが、ブラジルの大豆生産の中心地域である。ブラジルがアメリカに代わって大豆輸出市場を奪いつつある。


1973年の第1次石油危機の時、肥料不足と資材高騰のため、アメリカ産大豆が不作になり、ニクソンアメリカ大統領がアメリカ産大豆の輸出規制を始めた。日本の田中角栄内閣は長期的視点から、大豆の安定供給のために、ブラジルからの大豆輸入をめざし、セラードの開発に乗り出した。
国際協力事業団JICAが設立され、政府開発援助資金ODAがセラードの開発につぎ込まれた。1979年に始まり、2001年に終了するまでに300億円が支出され、農地開発が進められた。これがセラード農業開発協力事業であり、日本が最も成功した大規模開発プロジェクトである。
セラードでは日本の経済技術援助を得て、酸性土壌の改良と灌漑網の整備が進められ、3,400㎢の広大な大豆農場ができた。ブラジルの大豆生産量が1975年には43万トンであったが、2012年には7,800万トンに増加した。
セラードに広大な農地を得たのはそこに住む先住民や農民ではなく、他から移住した農民であった。移住者の巨大農地と町ができた。先住民の多くは都市のファベーラに住むことになった。
開拓初期、農家の営農資金はアメリカの穀物メジャーが融資した。アメリカ型の大規模機械化農業が展開され、コストの安い大豆が生産された。やがてブラジル資本や中国資本も進出しするようになった。直径800mの円を1灌漑農地とするセンターピボット農法が主体である。

連作障害を防ぐため、とうもろこしと大豆の輪作をする。また、中国への大量輸出に対応するために2005年から遺伝子組み換え品種に切り替えられた。除草剤のラウンドアップをはじめ、モンサントの農薬を大量に散布している。
ブラジル内陸のセラードから輸出港湾で大豆を輸出するため道路・鉄道が不足している。中国資本が高速道路・大陸横断鉄道などの大規模プロジェクトを手がけ、見返りに中国への大豆の安定供給を図っている。

 


 


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