地理総合の研究 付2018年センター地理AB本試・追試解説 

「地理講義」の続き。「地理総合」に「2018年センター試験地理AB本試・追試の問題と解答解説」を追加。

28.熊本県のトマト 地理総合

2019-03-20 17:21:42 | 地理講義

はちべえトマト
トマトは地産地消の典型だが、冬春トマトは地産地消が難しく、熊本トマト特に八代トマト(はちべえとまと)の市場進出がめざましい。はちべえとまとは八代のはち、平野のへいから由来する愛称であり、2001年から用いられている。八代のトマトは7月に播種、9月に黄色灯点灯、10~5月に出荷する。


 病害虫の侵入を防ぐためと、端境期の冬春に重点的に出荷するために、トマトはビニールハウスで栽培される。全国各地の収穫時期になる7~9月には価格が下がるので、熊本は栽培準備の季節になる。

9~11月にはトマトの大敵オオタバコガが発生する。このオオタバコガを防ぐのが、黄色蛍光灯である。成育期間中は、夜には黄色蛍光灯を点灯させ、トマトを守る。八代平野には、黄色に輝くビニールハウスが浮かんで見える.

トマトは自然交配でも実る。はてべえは自然交配によらず、交配の確実な交配用ミツバチをビニールハウス内に放して交配させる。

オオタバコガのビニールハウス侵入を防ぶ一方、交配用ミツバチがビニールハウスから逃げ出さないように、ビニールハウスの隙間は厳重にふさがれる。


熊本県のトマト
はちべえトマトを筆頭に、熊本県のトマト収穫量は第1位である。熊本トマトの大半ははちべえである。

 

 

 熊本県のトマトは、ビニールハウスの栽培作業中の夏を除き、東京・大阪では市場占有率が高い。全国で70万~80万トン生産されるトマトのうち、12万~13万トンが熊本県産である。

トマトの輸入
日本国内のトマトが著しく不作の場合、韓国・ニュージーランドから緊急輸入される。熊本県産トマトの価格を下げるほどの輸入数量ではない。
また、イタリアからの加工トマトの輸入が多い。これは中国で生産されたトマトがイタリアで加工されて輸出するものである。流通ルーとが不明朗であったり、品質に問題があったりする。

 加工用トマト
年産70万トンが生食用トマト、5万トンが加工用トマトである。トマト加工品(半製品)の輸入は年20万トンである。輸入トマトの価格は国産トマトの10分の1であり、製品のコストダウンを図る上で輸入トマトは欠かせない。
国産トマトは高価だが、根強い需要はあり、
国産トマト100%
しぼりたて
信州生まれ
などの宣伝文句で売られる。
日本国内の契約栽培農家で加工用トマト2万トンが生産される。

 加工用トマトは露地栽培が多い。太陽光があり、大型機械を使えるので、利益が大きくなるからである。しかし、契約農家の高齢化により国内で加工用トマトの生産が難しくなっている。

そのため、輸入用トマトが増えている。輸入トマトは、輸入業者から購入する場合と、中国などの契約農場から購入する場合とがある。
商社経由の場合、産地と加工方法が不明であり、品質にもばらつきがある。他の野菜と混ぜて野菜ジュースにしたり、調味料を多めに加えたケチャップなどにする。
中国の指定工場から輸入する場合、日本の種子と肥料などを持ち込んで良質のトマトを栽培しているが、価格が高くなる。
加工用トマトは茨城県・長野県の生産量が多い。

 

 

 

 


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